9月定例市議会において、9月20日、一般質問にたち、平和行政、原発と地域防災計画について質問しました。一問一答質問方式による質問戦の要旨を紹介します。
地球環境保全と平和都市宣言 啓発塔を検討中
片寄 平成18年に議会議決した「地球環境保全と平和都市宣言」のアピール策は。
青木総務部長 広島の原爆の日、終戦記念日のある8月を中心に、一定期間、懸垂幕を掲示するなど市民への周知・啓発に努めたい。
片寄 広告塔のようなもの計画は。
青木総務部長 他の都市宣言(スポーツ都市宣言、男女協同参画都市宣言など)も合わせた啓発塔の設置を検討したい。
片寄 日本政府は、オスプレイの飛行運行を開始させると、安全宣言の文書を公表した。仲井間沖縄知事は配備に反対しているし、10万人もの反対集会会も行われたところ。オスプレイ配備に反対の立場を明確にするべきでは。
松浦市長 安全性や飛行訓練による周辺住民への影響等が懸念されるところであるが、国政の問題であり、国が責任を持って対応していただきたい。
片寄 国は国民の方に顔を向けず、アメリカのいうことを聞いてばかり。だからこそ地方自治体からものを言うことが必要だ。
30km圏内の自治体と連携を
片寄 島根大学の研究グループが行った市民意識調査結果が朝日新聞に掲載された。地元範囲を30km圏内とするのが49%、100km圏内とするのが20%、社会的に重要な決定は住民投票で決めるべきに66%が賛成している。出雲市や雲南市、安来市なども松江市と同じように権限を与えてほしいとの要望を拒絶しているが、理由は。
松浦市長 周辺自治体首長の思いは理解できるが、権限を複数が持った場合、どういう形で調整していくのか明確でない。松江市民の安全性がおろそかにされかねない。立地市の意見は最大限尊重してもらわなければならない。
片寄 調整することは県や国が考えること。周辺首長の言い分をそれこそ最大限にくみ上げないと、広域連携のリーダーとはいえない。
特権意識まるだしの「なじまない」論
片寄 昨日、市長は「原発問題は専門的な話なので住民投票にはなじまない」と答弁された。住民には判断する能力や資格がないとも受け取れる。議会も市長も(原発問題は)もともと素人ではないのか。素人が説明を受けて主権者として判断できるところまでもっていかないといけない。住民を主人公にしていない。撤回の考えは。
松浦市長 住民投票になじむものとなじまないものがある。単純にイエス、ノーで解決するものではない。住民を軽んじているわけではないが、説明をして、最終的に議会の意見をいただくというやり方を(従来から)しているので。
日本共産党議員団を代表して、竹島の領土権確立に向けた対策強化を求める意見書などについて、反対の討論を行いました。
竹島の領土権確立に向けた対策強化を求める意見書についての反対討論
議員提出議案第5号 「竹島の領土権確立に向けた対策強化を求める意見書について」、反対の討論を行います。
竹島は1905年、日本政府による閣議決定で日本領とされ、島根県に編入されました。
1951年のサンフランシスコ平和条約第2条a項も、竹島を、朝鮮にたいし放棄する島のなかに含めていません。
こうした経過から日本共産党は、日本の領有権の主張には、歴史的にも国際法的にも明確な根拠があると考えます。
竹島の帰属をめぐる紛争は1952年、「韓国」が李承晩ラインによって同島を一方的に囲い込み、占領したことから始まりました。
一方、1905年に日本が竹島を編入した時期と、日本が韓国を植民地にしていった時期とが重なっているという問題があります。
1904年には第一次日韓協約が結ばれ、韓国は事実上、外交権を奪われ、異議申し立てができない状況でした。
韓国では、国民の大多数が「竹島」は韓国の領土で、日本帝国主義の侵略で奪われた最初の領土だと考えています。
日本による植民地支配の歴史を無視したままでは、韓国との間で歴史的事実に基づく話し合いはできません。
過去の植民地支配の根本的な清算を日本側がしっかり行い、歴史的事実と国際法上の道理にのっとり、冷静な話し合いの土台をつくることが何よりも大事です。「竹島の不法占拠を韓国が一刻も早く停止することを求める」と、これまで政府も求めてこなかったエスカレートした要求をつきつけるなど、国会での竹島上陸避難決議は、逆に緊張を激化させるものとなっています。
本意見書は、その非難決議や国際司法裁判所への提訴をもちあげ、日本の一方的な領土権確立のための対策の強化を求める内容となっており、外交努力により解決をはかる観点が欠落しています。これでは解決になりません。よって、本意見書の可決に反対するものです。
尖閣諸島上陸に抗議し、対策強化を求める意見書についての反対討論
議員提出議案 第6号「尖閣諸島上陸に抗議し、対策強化を求める意見書について」、反対の討論を行います。
尖閣諸島の存在は、古くから中国にも日本にも知られていました。領有を示す記述は文献などにはありません。近代まで尖閣諸島は、どの国の支配も及んでいない、国際法でいう「無主の地」でした。1898年1月の閣議決定で尖閣諸島を日本領に編入しました。これは「無主の地」を領有の意思をもって占有する「先占」にあたり、国際法で認められている領土取得のルールです。
中国は1895年から1970年までの75年間、一度も日本の領有に対して異議も抗議も行っていません。中国側は領有権の主張の根拠に、「日清戦争に乗じて日本が不当に奪った」としていますが、尖閣諸島は日本が奪った中国の領域に入っていません。
このように、歴史的にも国際法的にも尖閣諸島が日本の領土であることは明らかです。
この点で歴代の日本政府の態度には、1972年の日中国交正常化以来、本腰を入れて日本の領土の正当性を中国側に対して主張してこなかった弱点があります。
日本政府は、中国政府に対して、その領有の正当性について、歴史的事実と国際法上の道理にのっとり、堂々と説く外交努力が必要です。「領土問題は存在しない」というだけの対応ではなく、冷静な理を尽くした外交がなによりも大切です。
意見書にはそのことを明記すべきですが、欠落しています。よって、可決には反対するものです。
平成23年度松江市一般会計歳入歳出決算についての反対討論
決算第1号 平成23年度松江市一般会計歳入歳出決算についてです。
(認定に反対する理由)
第1は、電源立地地域対策交付金・いわゆる原発交付金の使途の問題です。
交付金は、平成19年度の74億8800万円をピークに年々減り続け、平成23年度は28億1600万円余でした。昭和55年度の交付開始以来、平成23年度までに591億9600万円が交付されました。
交付金が、幼稚園・保育園、小学校・中学校、給食センター、恵曇・講武・御津公民館の館長報酬の人件費などにも充当されています。平成23年度は、実にソフト事業総額の3分の一以上を占めます。
人件費など経常経費を原発交付金に依存する財政運営は好ましくありません。東日本大震災と津波災害で原発の安全神話が完全に崩壊したもと、いつまでも原発に依存する財政体質を改めることが求められます。
これに関わって消防問題で付言します。
災害から市民の安全を守るうえで、消防本部・消防団・自主防災組織の役割は重要ですが、とりわけ消防本部の消防施設整備の遅れは重大です。
平成23年度から30年度までの松江市消防本部の消防施設整備計画では、各年度3から4基、合計27基の防火水槽を設置する計画ですが、一方、老朽化し撤去しなければならない防火水槽が今後27基も見込まれています。適切な場所に代替施設の設置も検討しようと思えば、今の計画では最終年での整備目標71%を達成できません。
整備計画の到達点は現在66%。島根県全域の平均値71%に目標を合わせたというのですが、全国の進捗率の平均は平成21年4月時点で80.4%です。原発立地自治体の松江市が全国平均にも遠く及ばない整備目標とは納得のいくことではありません。100%をめざすべきです。
松江市全域に141の消防機庫があるにもかかわらずトイレが設置されているところは29箇所。トイレ設置費用が電源立地交付金の対処事業となるかどうかについて執行部から経済産業省に問い合わせていただいたところ、「設置の必要性が重要であり、設置しても実際にほとんど使用されない、あるいは団員以外の者が主に使用するような場合等は対象事業として不適である」との見解のようです。
実際に使用される見込みがあり、団員が主に使用する場合は対象になるということです。
原発災害から市民の安全を守るために防災対策にこそ手厚く充てるべきです。
第2は、中海圏域での定住自立圏構想に立って、道州制の実態づくりをすすめていることです。
道州制は、財界の広域的開発や新しい国のかたちを模索する人たちには都合がよいかもしれませんが、住民にとっては政治が遠のくばかりです。そのことは、これまでの市町村合併で痛感していることではありませんか。都道府県をとっぱらって道州制の導入を地方の場から実態をつくりあげようとする考えは、地方自治の原則から逸脱するものです。
第3は、同和団体への多額な補助金や法令外負担金の支出の問題です。
同和団体には1団体あたり100万円以上の多額の補助金が支出されています。10年前に同和対策の特別措置法が失効しましたが、それ以前の考えを今日に引き続き適用すること事態、異常な行為であり、一般民間団体との公平性を欠くものです。補助基準の適正化、統一化を求めるものです。
また、全日本同和会島根県連合会には、島根県から800万円前後の補助金が交付されながら、関係市町から法令外負担金が支出され、松江市も永年、この法令外負担金を支出しています。一民間運動団体に対して、行政が「負担金」という性格のお金を払う悪弊はやめるべきです。
今日、同和問題は基本的に解決されており、最後の越えがたい壁といわれた結婚問題についても、当事者の話し合いや周辺の説得により「差別」を生み出さないよう社会的交流が進んでいます。同和という名目での特別扱いを完全にやめてこそ、真の同和問題の解決になるのではありませんか。