2012年2月定例市議会

議案・議決結果  2011年12月議会

片寄直行の反対討論

 東日本大震災と原発災害から1年が経過しました。民主党・野田内閣は、原発事故の原因解明、教訓に正面からふれることなく、原発再稼働を政治決断しようとしています。また、被災に追い打ちをかけるようにTPP(還太平洋連携協定)協議への参加、消費税大増税と社会保障改悪の一体攻撃に踏み出しています。
 SMBC日興証券が2月6日に発表したリポートは、政府の消費税増税計画には「恒常的所得の低下」、「駆け込み需要の反動減」をあわせて経済成長率を3・8%引き下げるマイナス効果があると試算し、これが実行されれば、「2014年度リセッション(不況)に陥る可能性が高い」と指摘しています。これでは、税収はさらに減り、財政危機もいっそう深刻化することは必至です。
 日本共産党は、2月7日に「消費税増税ストップ、社会保障拡充、財政危機打開の提言」を発表しました。経済・文化諸団体とも懇談をかさねています。その実現のために全力をあげて頑張ることを表明します。


市民には増税、大企業・富裕層には減税

議第4号 松江市税賦課徴収条例の一部改正については、東日本大震災の復興増税などです。個人市民税の均等割を500円加算するもので、2014年度から10年間です。退職所得にかかる住民税の見直し、市たばこ税の税率引き上げです。これらを合わせると2億1300万円の市民増税です。しかし、法人税の減税とセットのため、法人税は3億2600万円の減収となり、差し引き1億円以上の減収となるとのことです。減収分は交付税措置されるといいますが、どの程度の補填なのか、いまだ明らかではありません。市民には増税、大企業・富裕層には減税ではありませんか。地方税法の改正をうけてのものですが、地方自治の立場から考えると、このような条例改正には反対です。
 


介護保険料 21%の大幅引上げ 

議第24号 松江市介護保険条例の一部改正については、松江市の第五期介護保険事業計画に基づいて介護保険料を改定するものです。第四期介護保険料の算定は所得のない人に負担が重く、年所得200万円以上は一律基準額の1,5倍が上限とされていましたが、第五期では6段階を12段階に設定し被保険者の負担能力に配慮した保険料段階設定が行われていることは評価するものです。
 しかし、第五期保険料は、県の財政安定化基金、市の介護給付準備基金の取り崩しが行われ186円の値上抑制となりましたが、第四期保険料基準月額4,200円が第五期では5,085円へ21%の大幅な引上げです。第四期の3年間に限っても保険料未納者は約1,200人、未納のため介護給付の利用制限を受けている人が発生するなど保険料が重い負担となっています。保険料引上げによって滞納の増加、介護給付の一層の利用抑制が懸念されます。基金の一層の活用、一般会計の繰り入れなどの対応を求めるものです。
 安心して利用できる介護保険制度にしていくためには、介護保険会計への国庫負担を段階的に50%まで引上げていくことが緊急の課題であり、保険料の引上げに反対します。
 

圧倒的不足! 松江市営住宅 

議第34号 公営住宅の入居者資格としてこれまでは同居親族が要件となっていましたが、公営住宅法の改正により、この要件が廃止され、親族以外でも入居できることとなりました。しかし、本条例改正は、従来のまま、同居親族要件を設定するものです。
 このような考えになるのは、松江市の公営住宅が圧倒的に不足しているからにほかありません。住宅マスタープランの改定を待たず、借り上げ方式も導入し、需要にみあう公営住宅の提供をするよう求めます。そして、公営住宅法改訂の趣旨に沿った、早期の市営住宅条例の改正を願うものです。 


国保料大幅値上げ 

議第92号 平成24年度松江市国民健康保険事業特別会計予算は、16・43%の保険料引き上げを盛り込みました。
 相扶共済の理念は戦前の国保の理念であり、現在では社会保障制度の理念です。市町村国保の財政運営が厳しくなっているのは、医療費の増大の一方で、国が負担率をひきさげてきたことが根本にあります。国に対して国保財政危機の打開策として負担率引き上げを求めるべきでしょう。国保は制度的に疲弊しており、加入者の負担の限界を超えているのではありませんか。資格証明書発行により医療を受ける権利を侵害していることも重大問題です。3月29日に予定されている国保運営協議会には、当面、一般会計からの繰り入れなどで保険料を値上げしない方針を提案するよう、強く求めるものです。

後期高齢者医療保険料も値上げ

議第94号 平成24年度松江市後期高齢者医療保険事業特別会計予算は、7.4%の保険料値上げ予算、議第95号 平成24年度松江市介護保険事業特別会計予算は保険料21%の引き上げであり、反対します。 

破綻した駐車場事業 活用策を市民に聴け 

議第101号 平成24年度松江市駐車場事業特別会計予算は、破綻した事業会計であり、私どもは無駄な公共事業として一貫して反対してきました。昨年10月末で回転式駐車場機能は廃止されました。執行部におかれては、今後の活用策を議会や市民、全国から意見をよく聞いて策定されるよう要望するものです。

公的年金の改悪に反対する意見書提出を 高齢者の生活の底上げをはかることが必要 

請願第10号 公的年金の改悪に反対する意見書提出を求めることについて、委員長報告は不採択です。
 全国消費者物価指数が前年度より下落したため、年金は4月から物価スライドにより0・3%減額されます。また2000年以降の物価下落時に行われた物価スライドの凍結・抑制の累計が2・5%に達しています。これを「世代間の公平を図る」ことを理由に、今後3年間で解消する計画です。初年度となる今年は10月に0・9%、それ以降は13年4月0・8%、14年4月0・8%の年金引き下げです。
  税金や国保・介護保険の保険料の負担増、石油や食料など生活必需品の上昇が続く中、年金等の引き下げが高齢者やシングル世帯の生活に与える影響は深刻です。消費不況を加速し、ますます経済を冷え込ませることになりかねません。このようなやり方ではなく、低年金や無年金を解消し、高齢者の生活の底上げをはかることが必要であり、この請願は採択すべきです。 

平成24年度松江市一般会計予算についての反対討論

 議第91号 平成24年度松江市一般会計予算についてです。
 平成24年度予算で、子どもの医療費助成を小学校6年生まで拡充し、保育料軽減の拡大、70歳以上を対象とした路線バス、コミュニテイバス割引制度などの施策をしめされたことは評価するものです。私どもは、子どもの医療費は中学校3年生まで無料化し、社会保障施策の拡充を要望してまいりました。施策の前進は、野田内閣の悪政から市民の暮らしを応援する部分はありますが、全体的には市民の生存権、住民自治を守る立場にたちきっていません。


反対の理由 


 税制改悪による市民負担増の路線をそのまま持ち込み
  介護保険料は平均で21%もの値上げで、東出雲町では40%もの値上げとなります。230床の特養増設計画はありますが増え続ける特養待機者解消の見通しはなく、在宅介護を支える利用料負担の軽減策は無きに等しいもので、保険あって介護なし、という事態はますます深刻です。国保料、後期高齢者医療費の値上げも重なり、とりわけ高齢世帯は年金引き下げとあいまって、深刻です。来年1月から所得税に2.1%の付加税、2014年度からは住民税も引き上げられます。法人税の実効税率を5%引き下げ、大企業と富裕層には減税ばらまき、庶民には増税です。

 電源立地交付金の使途の問題
 原発立地自治体に交付される電源立地交付金は、不安定な財源です。それをかなりの部分、幼稚園、保育園職員、小学校、中学校、給食センターの職員など、経常経費である人件費にあてています。財政的に原発交付金依存症となっています。
 原発災害から市民の安全を守るための交付金であるなら防災対策の拡充こそ求められるところですが、防火水槽整備では、この数年間、充足率に大きな変化がみられません。しかも、100%の整備目標だったものを平成24年度予算では71%にひきさげるなど、財政の枠組みが防災対策に重大な影響を及ぼしています。消防機庫にトイレが設置されていない問題も財政のシーリングに原因があるのではありませんか。
 一定地域に特別に交付される電気料金還元は全市的に施策の統一をはかるべきです。

 道州制の実態づくりを地方の側から推進
  中海の湖岸を周遊できる道路や中海架橋などの基盤整備、日本海定期貨客船へ一往復150万円を上限とする赤字補填を関係自治体で行うなど多額の財政負担も伴います。

 同和問題解決に逆行
  昨年から組織機構名に「同和」の表現がなくなり、今年度から予算書の費目にも「同和」の表現がなくなり、「人権施策」に統一されました。このことは前進でしたが、同和団体には一団体あたり約100万円の補助金が支出されています。一般の市民団体と公平さを欠く高い補助金です。とりわけ全日本同和会島根県連には法令外負担金がひきつづき支出される予定です。自主的民間運動団体に対し行政が負担金という性格のお金を払うことは、今日、社会的に通用する話ではありません。補助金の一般ルール化、同和団体への法令外負担金の中止を求めます。

 公営ギャンブルの問題
  寺町の場外舟券売り場・ボートピアと東出雲町にある場外車券売り場・サテライト山陰の二つのギャンブル施設を持つ松江市となりました。場外舟券売り場は利用客の減少に対し開催日を365日以内に拡大し、優勝者に松江市長賞として賞金の授与など60万5千円の支出予定です。ギャンブル推奨の市政は国際文化観光都市のイメージとしてふさわしくありません。

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