12月17日の本会議において、議案21件、請願1件、陳情2件の委員長報告に対する反対討論を行いました。(飯塚てい子議員)
簡易水道、下水道相次ぐ値上げに反対
議 第212号 松江市簡易水道条例の一部改正については、平均11・89%の値上げです。旧松江市、鹿島地区は据え置くものの、もっとも上げ幅の大きい八束町では28・74%もの値上げです。
過大な水需要予測で高い料金となる尾原ダムからの受水を前提としていること、合併後の料金統一、平成28年度の上水との統合を見越しての料金改定です。市民負担を増大させる値上げ改訂に反対するものです。
議 第213号 松江市公共下水道使用料条例の一部改正について、及び議 第214号 松江市集落排水処理施設使用料条例の一部改正について、及び議 第215号 松江市公設浄化槽条例の一部改正について3件は関連がありますので、一括して討論します。
今回の改定は平均9・58%の値上げです。
公共施設である下水道に受益者負担の考えを当然のように取り入れ、維持管理費のほぼ全額と資本費の約3割を使用料対象経費として賄うことにしています。こうした国の基準に従う義務はありません。
上水、下水合わせた全国の県庁所在都市の料金ランキングで今でも7番目に高い水準がさらに高くなります。資本費の約3割の住民負担にこだわらず、公費の投入をより厚く図るべきです。使わなくても料金負担が生じる基本使用料制の導入は低所得層への影響が心配されます。また、接続率を引き上げる見地からも料金の引き上げには反対です。
松江市営住宅条例及び松江市特定公共賃貸住宅条例の一部改正について
議 第217号 松江市営住宅条例及び松江市特定公共賃貸住宅条例の一部改正については、直営していた市営住宅の管理を島根県住宅供給公社へ管理代行させる制度や指定管理者制度の導入で、松江市の人件費などの経費を減らす計画です。
管理代行制度の導入により県営や市営など公的賃貸住宅の一元管理ができ、サービスの向上、事務処理の迅速化が図られるとしていますが、いくつかの問題点があります。
その一つは、入居者の募集、決定、明け渡し請求など、これまで松江市の権限に属していたことを島根県住宅供給公社に代行させることとなり、公的責任が後退します。
いま一つは、管理代行制度を導入する市営一般住宅と、指定管理者制度を導入する市営改良住宅および特定公共賃貸住宅で一元管理ができない恐れがあることです。
小浜、古志原、東朝日の3つの市営改良住宅と小浜の特定公共賃貸住宅は、指定管理者を原則公募しなければなりません。管理者が島根県住宅供給公社でなかった場合は、住宅供給公社が管理するものとビル管理会社などが管理するものの二元管理となります。一元管理できるという利点は薄れます。
公営住宅には、高齢者や障害者、母子世帯など社会的弱者の入居割合が増えており、生存権保障としての住宅政策と位置づけるならば、プライバシーの保護を含め、市が責任を持って管理、運営すべきです。
医療費の窓口負担軽減の意見書採択を求めることについて
陳情第23号 医療費の窓口負担軽減の意見書採択を求めることについて、委員長報告は不採択です。
医療現場で患者の命を守るために奮闘されている保険医から、このような医療費の負担軽減で患者の受療権を守ろうとする陳情を提出されたことは、日本の低医療費政策がここまで患者を追い込み、現場の医療スタッフのこころを痛めているかを思い知らされました。
生活保護制度のことを考えていただきたいと思います。すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する、と謳った憲法25条・生存権の規定から生活保護制度は存在し、受給者の医療費は無料です。経済的理由によりその最低限度の生活水準さえ維持できない状況が日本では常態化しています。異常です。病人になったけど、患者にはなれない状態です。医者にかかってはじめて患者といわれるのです。
委員会審議で、「保険料の引き上げになる」、「医療制度全体の改革を抜きにはできない」というような意見がありましたが、現在の制度の枠内で考えるからそうした発想になるのであって、この陳情は国の抜本的な制度改革を要望することでもあり、そうした意見と矛盾する話しではありません。陳情は採択するべきです。
住民の安心・安全を支える行政サービスの拡充を求めることについて
陳情第24号 住民の安心・安全を支える行政サービスの拡充を求めることについては、国家公務員労働組合共闘会議から提出されたものです。「地域主権改革」で国の責任を放棄する施策に対して、住民の安心・安全を守る立場からのものです。
今後行われようといている補助金の一括交付金化は総額削減の方向もいわれており、地方自治体の仕事は増えるもののそれに見合う財源措置がなされない恐れは、国家財政難のなか、おおいに予想されることです。国の出先機関改革にあたっては、公務員労働者の理解が不可欠です。陳情は採択するべきで、不採択とした委員長報告に反対します。
職員給与・期末手当削減について
議 第241号 平成22年度松江市一般会計補正予算(第5号)から議 第254号 平成22年度松江市病院事業会計補正予算(第2号)までの14件は、職員給与・期末手当削減の補正予算です。先の11月臨時議会で条例改正の可決に反対の討論を行いました。
公務員給与は、生活保護や年金など国民生活の基準となるものです。引下げは民間賃金の抑制効果となり、そしてさらに公務員給与引下げという、賃下げの悪循環となるものであり、反対です。
審査結果に対する会派の態度
12月定例市議会において7日、私は一般質問にたち、@行政改革、A市営住宅、B尾原受水と料金問題について一問一答方式で質問しました。
「地域主権改革」は国の責任放棄
片寄 民主党政権がすすめる地域主権改革は国の社会保障などへの最低基準の保障責任を解体し、「住民福祉の機関」としての地方自治体の役割を弱めるなどの問題点がある。市長の所見は。
松浦市長 地域主権戦略大綱では、高齢者福祉施設、保育所など国が一律決定していた設置基準について、都道府県で決定することが検討されている。保育所の設置については待機児童の増加に対応した新設が進まない点があるが、一人当たりの保育面積が緩和されれば、地域の実情にそって合理的な対応が図られる。きわめて妥当な考え方だ。
片寄 次期の松江市行財政改革の理念は何か。
野津総務部長 「新しい公共」だ。人を支えるという役割を自治体だけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などにかかわる人にも参加していただき、社会全体で応援しようというもの。
片寄 市の事務事業の見直しにおいて、旧同和地区の子どもだけを対象として行われていた学力促進学級の廃止や市民グループ協議会への補助金の廃止は当然のこと。同和団体への法令外負担金、研修費などの補助金も同様の位置づけとなると思うがどうか。
野津総務部長 運動団体への助成は、「補助金に関する基本方針」や「事務事業の見直し」などを行っていく中で、運動団体の活動実態の精査や島根県市町村法令外負担金等適正化審議会の議論の動向などを踏まえ、見直しを行っていく。
中心市街地に市営住宅 建設部長が答弁
片寄 松江市における市営住宅の需給見通しは。
中島建設部長 平成21年度から入居資格の収入基準が引き下げられたことに伴い、以前より応募者数は減少しており、平成21年度以降、募集戸数に対する応募者数の割合は5倍程度で推移すると見込んでいる。
片寄 市内で働く人の意見に、交通や買い物に便利な中心市街地での借り上げ方式の公営住宅の希望もある。立地場所と建設スタイルをどう考えるのか。
中島建設部長 中心市街地での借上げ公営住宅としては、寺町プラザとウィステリア天神があり、好評を得ている。今後、中心市街地の区域内で(公営住宅借上)採択要件に該当する住宅が建設される場合には、借上公営住宅として提供できるように取り組んでまいりたい。
片寄 市全体の公営住宅のあり方について、見直すといわれているが、どうか。
中島建設部長 今後、市営住宅の新築、建替及び大規模改修に伴う建設費を抑制するため民間賃貸住宅等の活用を図るための基本方針を策定、実施する。具体的には、民間賃貸空家住宅を借用して、市営住宅と同様に安価な家賃で一般住宅としての供給を検討する。また、民間賃貸住宅に入居を希望するものに対しては家賃補助等の支援を検討する。
片寄 国の現状回復に関するガイドラインでは自然損耗や長期間の使用しよる修繕などは入居者責任ではなく、公費負担とすべきと考えるがどうか。
中島建設部長 一部の自治体で、畳やふすま等の修繕を経過年数や痛み具合で、適宜、公費で行っていることもあり、そうした実態を調査し、負担のあり方を研究してまいりたい。
使わない水代を市民に負担転嫁するな
片寄 昨年、県企業局の照会で松江市も周辺市町すべてが人口増による水需要はゼロと回答している。需要予測・積算根拠の誤りの責任の所在はどこか。
原水道局長 参画当時・平成2年の松江市の人口動態は年間1・4%程度の増加傾向。昨今は人口減や節水機器の発達により減少傾向で推移している。不安定水源の転換や水質管理、水不足解消を考えれば、尾原ダム参画28100トンは必要不可欠なもの。
片寄 参画水量の6割しか使わない。後の4割の使わない水代まで市民に負担転嫁させてよいのか。
原水道局長 尾原ダム参画の28100トンは必要不可欠なものと考えている。