2010年9月定例市議会

議案・議決結果 2010年2月議会

平成21年度  一般会計決算の認定に反対

  片寄直行の反対討論をお知らせします。 (10月1日、本会議)


決算第1号 「平成21年度松江市一般会計歳入歳出決算」について

 4期松浦市政1期目の決算です。次の理由により認定に反対します。
 第1は、電源立地地域対策交付金、いわゆる原発交付金の使途の問題です。合併後のスローガンとして、新市の融合一体化を標榜し、行政サービスも公平、統一の方向に向かっているというのに、一部の地域だけは直接市民に対して電気料金が還元されています。合併後5年というのに、いまだ改善の姿勢が見えません。恒久的に実施する施策ではありません。早期に修正すべきです。
 また、電源立地地域対策交付金は平成21年度には57億4000万円余、対前年比17億2000万円の減、今後の予想としても22年には45億1900万円で12億2000万円の減、24年度以降は24億円から25億円で推移するとのことです。原発交付金が半分以下になるわけです。経常経費である人件費などを電源立地交付金に依存すると、極端な財政悪化になることが予想されます。こうなると、財政上の関係から、原発増設や原子力関連施設による交付金を要求するようにさえなりかねません。原発交付金依存体質から脱却し、健全財政に転換すべきです。そして、原発の危険から市民の安全・安心を守るために、学校や公共施設、個人住宅の耐震リフォームなど耐震化の促進や防災対策にこそ重点的に充てるべきです。
 第2は、同和対策の根拠とされていた法律が2002年3月31日に失効しましたが、島根県も松江市も5年間の延長措置をとりました。これで同和対策のハード事業は終了しました。同和対策事業を終了したのにもかかわらず、ソフト事業において、同和教育を人権課題の筆頭に掲げ、別格扱いしていることです。学力促進学級という名で旧同和地区の子どもだけを対象とした公設の学習塾ともいえる取り組み、他団体に比べ同和団体には突出した活動補助金、支出根拠に乏しい全日本同和会への法令外負担金の支出は同和問題の解決方向に逆行します。学力向上対策というなら、関係地区児童に限定することなく、全児童生徒を対象として取り組むべき課題です。
 第3に地産地消、安心安全の学校給食に逆行する調理業務の民間委託が進められたほか民生、福祉分野での市民サービスが不十分です。
 市立幼稚園では、低賃金、不安定雇用の非正規雇用の幼稚園教諭が増えていることは、大切な幼児期の保育・教育を担う点で問題です。
 待機児童が増大する中、私立保育所は定員の120%をこえる受け入れで対応しているところも少なくありません。関係者の長年の要望である公私格差是正のための市単独補助の増額、保育士、給食調理員の加配などありません。
 公民館については、施設管理業務ではない分野への指定管理制度の導入を見直し、地元負担は中止すべきです。児童クラブについても指定管理制度は見直すべきです。
 第4に中海市長会が受け皿となっている定住自立圏構想は地方の側から道州制の実態をつくりあげるものであり、中海の湖岸を周遊できる道路や中海架橋など多額の事業費をともない、また環日本海定期貨客船運航については一往復の運行につき、100万円を上限に赤字補填を行う事業があります。
  以上の理由から、この決算第1号の認定に反対します。
 

決算第2号 「松江市国民健康保険事業特別会計歳出歳入決算」について

 平成20年度に導入された後期高齢者医療制度の創設によって初年度は約2億円の見込み違いが生じ国保財政を追い込みました。21年度は前年と比べ、財政構造は変わらないのです。つまり後期高齢者医療制度の害悪を引きずったままです。医療費増の影響も深刻で21年度は基金を4億円を取り崩さざるをえませんでした。
 滞納のため資格証明書が発行されている世帯が、3月末で447件、短期保険証が605件、差し押さえ件数が154件にも及んでいます。市民の命と健康が脅かされる事態にありながら、機械的な保険証の取り上げが抜本的に改善されていません。医療を受ける権利の侵害です。
 21年度は介護納付金の限度額を9万円から10万円に引上げ負担を増やしました。
 メタボ対策に特化した国の特定健診の推進で、この費用が国保会計の負担とされ、松江市の持ち出しはルール分以外に4300万円もの持ち出しとなっています。この健診事業は、5年間の計画期間に健診率、肥満低減目標を保険者に競わせ、目標未達成なら国庫補助の削減などペナルティーを科すという健診の目的を逸脱した事業の推進です。 

決算第6号 「平成21年度松江市介護保険事業特別会計歳入歳出決算」について

 介護保険料が基準額で月220円の値上げが実施された一方で、新たに約5千万円の基金を積み増し、9億円の基金に達しようとしています。長引く不況の中、保険料・利用料負担は重く、介護サービスの利用抑制、認定を受けても利用しない人も多く、1700人を超える保険料の滞納者の中には、介護給付の制限が実施されています。特養ホームなど施設建設の抑制で待機者は増大するなど「保険あって介護ナシ」と言う事態がいっそう深刻になっています。保険料・利用料の負担軽減、介護基盤の整備で施設でも在宅でも安心して介護が受けられるよう介護基盤の整備を急ぐべきです。

決算第8号 「平成21年度松江市簡易水道事業特別会計歳入歳出決算」並びに決算第21号「平成21年度松江市水道事業会計決算」について

 将来の右肩上がり水需要予測は過去のものとなりました。人口減少と市民の節水意識の高揚によって、かつて島根県や松江市がたてた水需要予測は完全に破綻している状況です。
 松江市が尾原ダムから受け入れる水は2万8,100トンです。30年間の平均水量1万7,337トンで、参画水量に対しては61.7%ということで、4割弱の水は使わないのに契約することになります。この4割弱の余った水というのは余裕水量というような言い方で計画をされて、使わない水代まで市民に負担が転嫁をされることになります。
 松江市は、簡易水道の統合計画を策定し、半島部すべてパイプラインで連結し、将来は尾原ダム受水振りかえを前提としています。
 現在、飯梨川水系の水はトン当たり40円、忌部水系で80円ですが、尾原ダム水系からの受水は117円にも見積もられる高料金です。将来にわたる安定給水を確保するためとして、尾原受水を前提に進められていますが、需給見通しを誤ったつけを市民に押し付けることは許されません。見積もり間違いをただす有効な手立てを打てていない両会計の決算認定に反対するものです。

決算第15号 「平成21年度松江市駐車場事業特別会計歳入歳出決算」について

 駅前地下駐車場は2002年にオープン、総事業費約40億円をつぎ込みましたが、利用者は伸びず、赤字続きです。松江駅周辺に民間の駐車場が相次いで建設されたり、入庫、出庫に手間がかかることなどの要因で、地下駐車場利用の衰退が経営を大きく圧迫しています。大規模修繕をしてまで継続すべきか。廃止、縮小も含めた経営改善の論議が今、行われている最中ですが、独立採算の見通しのない破綻した事業会計となっており、認定に反対するものです。

片寄直行の一般質問


水道料金 H23年度の料金改定は見送り 〜水道局長が答弁

9月定例市議会で一般質問にたち、水道料金問題、斐伊川治水、生活保護、新交通システム、原発問題について質しました。来年度、尾原受水の関連で水道料金の値上げが予想されていましたが、水道局は来年度の料金改定は見送る方向を示しました。
 私は、7月に島根県がしめした受水単価がトン当たり117・28円で尾原受水により年間約5億円の増加になることをとりあげ、市民からは「需要予測を誤ったツケを住民に押し付けるべきではない」「これ以上、水道料金の負担が増えるのは耐えられない」との声がでていることを紹介。料金値上げ抑制を要望しました。
 原憲二・水道局長は、「近年、尾原受水に向け人件費の圧縮や建設改良費の大幅な見直しなど、第一次経営戦略プランに沿った経営努力によって、収支が順調に推移していることなどを踏まえ、平成23年度の料金改定は行わない方向で検討している」と答弁。また、「それ以降については、水需要の動向や尾原受水費の影響度なども注意深く見極めた上で上水道の料金改定について検討したい」と述べました。

大橋川改修未完了時 放水路への分水を要請

 斐伊川水系の治水について、尾原ダム、放水路が完成した後、大橋川改修が未完了の段階での洪水対策をとりあげました。
 昭和57年に出雲市が治水計画に同意した条件のひとつに「大橋川拡幅工事が完了しない限り、放水路へは分水しない」との経過があるが、緊急時には分水を要請すべきではないかと質問。松浦市長は「ただし書きに大橋川拡幅工事中であって重大な災害を及ぼすおそれのあるときは別途協議することとなっている。島根県に対し、出雲市との協議を開始されるよう働きかけた」と答弁しました。
 また、大橋川に設置された水位観測所のゼロ点がそれぞれ違う問題の解決を求めたことについて、「現在、出雲河川事務所において検討いただいている」と答えました。

生活保護 移送費の説明明記 〜しおり「改訂」へ

 生活保護受給後4年になる世帯で移送費(交通費など)の説明がなかったため苦慮しているケースをとりあげ、移送費説明の厳格化を要求。不十分な「生活保護のしおり」の改訂を求めました。
 渡部厚志・健康福祉部長は「保護のしおりについては、通院時の移送費のみならず、一時的に必要な扶助等もわかるよう早急に改訂するとともに、通院時の移送費を含む説明文書を全世帯に送付する予定である」と述べました。
 ホームレス対策について片寄議員は住宅の確保は厳しい現状があり、一時保護所の設置を要望しました。 
 渡部部長は「一時保護所の設置については、需要の実態を踏まえ、必要があれば住宅を借り上げるなどの方法を研究したい」と答弁しました。

LRT構想は まちの大改造計画

 8月に新交通システム研究会が報告した新型路面電車・LRT構想について、巨額な建設コスト、中心部での道路容量の低下、合意形成、松江大橋や新大橋などの橋の架け替え問題を指摘、どうクリアするのか質問しました。
 松浦市長は、「議員懸念の事項を含め多くの課題があると認識している。(車優先の交通行動や生活スタイルのままでは)高齢化、中心市街地の活性化、環境問題などの解決の答えになっていない。暮らしのカタチ、まちのカタチを変えていくことが必要。市民に理解をいただき、そうした中で個別の問題について、解決策を検討したい」と答えました。
 私がLRTさきにありきではなく、ブラジルや韓国でも実施しているバス利用も視野にいれた研究をと質したのに対し、松浦市長は「バスはまちの形を変える力はなく、容易に路線廃止も可能で過去には問題も発生してきた。人口減少、高齢化を考えるとブレない長期のまちづくりが肝要であり、そのためには、新しい交通システムによる動かしがたい都市軸の設定と軸周辺への都市機能の集積が不可欠」と強弁しました。
 私は、まちの大改造計画だと指摘しました。 

中国電力には  「外部監査」の導入を

 私は、島根原発の1・2号機の点検漏れ問題は運転の資格が問われる問題だと指摘。「安全文化の醸成ということを目標に掲げなければならない電力企業に原子力発電を扱う資格はない。こんなズサンな安全管理の企業に危険なプルサーマルなど実施させてはならない」と厳しく批判。そして、目にみえる改善として中国電力に外部監査制度を導入すべきと述べました。
 原発運転の再開の条件について、松浦市長が三島良信議員(松政クラブ)への答弁で、「運転再開については住民説明会等でいただいた市民の意見を踏まえたうえで、市議会や県とも協議し判断したい」と述べたことに対して、「説明会で住民の理解がえられない場合はどうするのか」とただしましたが、市長は同じ答弁を繰り返すのみでした。
 

宍道断層を震源とした地域防災計画へ見直し

 野津精一・総務部長は地域防災計画の見直しについて「宍道断層を考慮した地震被害想定調査については、島根県において、本年度から2ヵ年計画で実施される。その結果に基づき島根県の地域防災計画が見直されるので、松江市もそれにあわせ地域防災計画の見直しを行う考え」と答弁しました。
 

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