今回の質問では、障害者雇用をもう少し掘り下げたかったのですが、次への宿題です。
- 脳脊髄液減少症への対応について
- 防災・減災のための社会基盤再構築について
- 障がい者雇用について
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質疑内容は下記の通りです。それぞれ文字色で私の質問、知事答弁、関係部長・教育長答弁がわかるようになっています。 |
最初に、脳脊髄液減少症への対応についてであります。
交通事故やスポーツ外傷等、身体に強い衝撃をうけることにより、脳脊髄液が漏れて発症する脳脊髄液減少症について、患者の皆さんの努力もあって、保険適用に向けて少しずつ前に進んでいます。本県では、県当局のご理解ご支援で診療環境が整ってきていると思いますが、医療現場の意識はどう変わってきたのか、また、診断可能病院数と治療対応病院数、現在までの診断・治療実績について、健康福祉部長にお尋ねします。 |
脳脊髄液減少症の診療体制につきましては、最初に調査をいたしました平成19年度から23年度にかけまして、診断が可能な病院は6病院から12病院に、また治療が可能な病院は4病院から7病院にそれぞれふえております。
脳脊髄液減少症の治療実績につきましては、把握している直近の数値といたしまして、平成20年度から22年度の3年間の症例数は、診断実績が33例、治療実績が9例となっております。
このように、脳脊髄液減少症の診断や治療が可能な県内医療機関は年々ふえており、医療現場におきましても、脳脊髄液減少症に対する意識は高まっているものと思っております。 |
昨年10月の脳神経外科学会学術総会において、整形外科学会を含む関連学会8学会の承認のもと、「脳脊髄液漏出症の診断基準」が発表されたと聞いています。診断や治療の技術的な格差もあると聞いております。県内関係機関への診断基準の啓発も課題ではないかと思います。県当局の対応についてお尋ねいたします。 |
脳脊髄液漏出症、これは先ほどの脳脊髄液減少症の中の一つでございますが、この診断基準につきましては、学会などを通じまして医師には知らされているところであります。県としましても、脳脊髄液減少症の専門医を招きまして、医療機関を対象とした研修会を実施するなど、診断基準の周知に努めてまいりたいと思っております。 |
昨年5月、厚生労働省研究班によって「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」の中間報告がだされました。その総括研究報告書で「外傷が契機になるのは、決して希ではないことが明らかとなった」とされ、通常の保険診療と併用できる先進医療の申請が開始されました。
施設基準を満たしている医療機関には先進医療への申請を推進していただきたい。病院の動きや、先進医療申請に対する県の考え方についてお尋ねいたします。 |
このたび脳脊髄液漏出症の治療方法が先進医療として認められ、医療機関が備えておくべき施設基準が本年6月1日で示されたところであります。各医療機関におかれましては、これから申請に向けた具体的な作業が始まることと思われますが、県としましては、先進医療に関するさまざまな情報を提供することにより、認定に向けた動きを支援していきたいと考えております。 |
やっと先進医療の申請が開始されたとは言え、脳脊髄液減少症に対する認識はまだまだ低い現状であり、県内でも適切な治療が受けられず、人知れず苦しんでいる方が多数存在するものと思われます。また、学校現場においても、より一層の理解と周知徹底を図り、該当児童・生徒が安心して学べるよう環境を整えることが必要だと思います。
健康福祉部長に関係各機関や関係者に対する今後の啓発活動の考え方をお尋ねいたします。
また、教育長に脳脊髄液減少症の子供たちに対する支援の現状についてお尋ねいたします。 |
(健康副支部長) 脳脊髄液漏出症を含めた脳脊髄液減少症につきましては、これまで診断基準が確立されていなかったこともあり、原因不明の病気と判断され、周りの方から十分な理解が得られず、つらい思いをしている患者の方も多数おられるものと思っています。
県としましては、これまでに脳脊髄液減少症について正しい知識と患者の方に対する理解を促進するため、患者会と県との意見交換会や県職員を対象とした研修会などを開催してきたところであります。このたび診断基準が示され、治療法が先進医療として認められたことから、改めて関係者に周知することが重要であると考えております。
そのため、先ほど申し上げました医療関係者を対象とした研修会に加え、教育、警察、行政などの関係者や一般県民を対象としたセミナーなどをできるだけ早い時期に開催したいと考えております。 |
(教育長) 平成19年に、国のほうから、この病気に対する適切な対応につきまして通知を受けました。直ちに各市町村、各学校に周知を図ったところでございますが、現在、その後、養護教諭等を対象といたしました研修、毎年やっておりますが、その中でこの病気の症状や原因について周知を図っております。それから、事故等によりまして症状が発生した場合に、医療機関との適切な連携を図ること。あるいは、先ほど健康福祉部長からもございました周囲から症状について理解が得られないと例があるということから、個々の児童生徒の心身の状態に応じて、学校生活のさまざまな面で適切に配慮すること、こういう指導をしております。
各学校では、日々の健康観察あるいは保健調査等による子どもの健康状態の把握を通じまして、この病気も含めまして、健康課題を抱えている子どもたちが安心して学べるよう努めているところでございます。 |
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次に、防災・減災のための社会基盤再構築についてであります。
東日本大震災を機に、防災・減災のための社会基盤再構築が社会的重要課題として改めて脚光を浴びています。
社会基盤再構築は、高度経済成長下、急速に整備されたインフラの長寿命化・耐震化をどう図るかが大きな課題であります。
インフラの長寿命化・耐震化については、コスト的な観点から嘉本議員が詳細に取り上げて来られました。また、今議会でも、園山議員や吉田議員などの質問もありました。重複するところもありますが、土木部、農林水産部所管の橋梁、トンネル、港湾、ダム等における長寿命化・耐震化への取り組み状況について概要をお尋ねいたします。 |
(土木部長) 長寿命化についてでございますが、土木部におきましては、管理する主な公共土木施設につきまして、長寿命化修繕計画を策定することなどにより、これまでの損傷が発見された段階で修繕を行う対症療法的な対応から、施設をきちんと点検し、損傷が軽微なうちに修繕を行う予防保全的な対応へと転換を図っております。これにより、維持管理費の縮減と平準化及び利用者の安全・安心を確保してまいります。
まず、橋梁につきましては、平成19年度から23年度にかけて、長寿命化修繕計画の策定を行い、これに基づき完了しております。
トンネルにつきましては、平成21年度から平成24年度にかけ、管理するすべてのトンネルを対象に、ひび割れなどについて詳細な点検調査を実施いたしまして、この調査結果に基づき修繕を行い、長寿命化を図っております。
港湾につきましては、18港ある県管理港湾のうち、浜田港など重要港湾3港を含む8港について、既に長寿命化修繕計画を策定済みであります。残り10港につきましては、平成26年度までに計画を策定する予定でございます。
ダムにつきましては、洪水から多くの住民の生命と財産を守る特に重要な施設であることから、従来より他の施設に比べ、より重点的に点検、修繕を行い、設備の健全性を維持し、長寿命化を図っております。具体的には、職員により毎日ダム堤体のひび割れ状況などを目視で確認し、また毎月、ダム内部で異常な漏水がないことの確認やゲート設備の動作確認などの点検を行っております。さらに、毎年、電気通信設備などの機器につきましては、専門業者による点検を行っており、劣化状況などに応じた部品交換を行っております。
このほか、河川の大規模な水門や排水ポンプ場につきましては、今年度に長寿命化計画を取りまとめる予定であり、下水道につきましては、平成23年度に長寿命化計画を策定し、計画的な維持管理を行い、長寿命化を図ることとしております。
次に、耐震化につきましては、平成7年の阪神・淡路大震災を契機に、各施設の耐震性について確認し、必要な耐震化に努めております。
橋梁につきましては、緊急性の高い橋梁から順次耐震補強を進めております。
トンネルにつきましては、地震の影響を受けにくい構造物であり、阪神・淡路大震災、東日本大震災も大きな被害がなかったことから、さらなる耐震化については必要がないと考えております。
港湾につきましては、防災拠点となっている港湾のうち、東部、西部、隠岐の各圏域に1港ずつ耐震強化岸壁を整備したところであり、耐震化された岸壁に接続する臨港道路の耐震化や機能強化にも取り組んでいるところでございます。
ダムにつきましては、建設当時の国の基準に基づき、地域ごとに定められた設計震度を用いる震度法という手法により耐震設計を行っております。この基準によって設計されたダムは、阪神・淡路大震災後の国の評価において、同地震により生じたと推定される最大の強さの地震動に対しても十分な耐震性を有していることが確認されております。また、東日本大震災におきましても、ダムの安全性に影響を及ぼすような被害報告はされておりません。したがいまして、地震に対して十分な安全性が確保されていると考えており、現在のところ、さらなる耐震化については必要ないと考えております。以上でございます。
(農林水産部長) 農林水産部で造成する施設につきましては、漁港など一部の施設を除きまして、完成後は市町村に譲与し、市町村で管理が行われております。県としましては、市町村に対しまして、施設の長寿命化や耐震化についての指導、市町村と連携した施設の点検などを行っておりますが、農道につきましては、譲与後においても、一定規模以上の路線を対象に県が市町村からの申請により保全対策事業を行うケースもございます。
県が管理している施設の耐震化等の状況でございますけども、まず3つの県営防災ダムにつきましては、日常点検などを通じまして長寿命化の取り組みを行っており、また国土交通省の耐震設計基準を満たしていることなどから、機能性と耐震性は確保されているものと考えております。
このほかの県管理の林道や漁港などの施設につきましては、適宜点検を行い、長寿命化などの機能保全対策や耐震化等に努めているところでございます。 |
さて、農道にかかる橋梁は、管理主体が市町村とのこと。一定以上の規模の橋梁については市町村の要請を受けて県が長寿命化や耐震化工事を行っています。制度上やむを得ないのですが、市町村の意識や取り組みにも濃淡があります。一定規模以上とは言え、県も関与することになるわけですから、市町村とすり合わせを行い、長寿命化・耐震化の計画を立てて取り組む必要があると思いますが、いかがですか? |
議員がおっしゃるように、農道の維持管理に当たりましては、施設の長寿命化や耐震化は非常に重要な課題であると考えておりまして、補修、補強等の保全対策事業が適時適切に行われる必要がございます。先ほど申し上げましたように、一定規模以上の農道につきましては、市町村の申請により県がこうした保全工事を実施するケースがございます。こうした場合には、橋梁やトンネルなどの施設の劣化や損傷の度合いを専門的な視点で診断し、路線ごとに施設の保全計画を立てて行うこととしております。今後とも、農道に係る橋梁につきましては、管理者である市町村の意見や要望をよく聞いて、県、市町村いずれを事業主体とするべきかを整理した上で、厳しい財政状況を踏まえた優先順位等も考慮しつつ、計画的かつ効率的にこれらの施設の長寿命化、耐震化を図っていく考えでございます。 |
土木部における橋梁の耐震化への取り組みについて、耐震化対応の基準と耐震化対策の現状と対策を終える予定について、緊急輸送道路とそうでない道路に分けてお示しください。 |
緊急輸送道路は県庁、市役所、空港、港湾、インターチェンジ、病院などの各種防災拠点を結ぶ路線であり、県管理道路3,092キロメートルのうち1,305キロを指定しております。この緊急道路にある橋梁のうち、阪神・淡路大震災のあった平成7年以前に建設され、被災した場合に早期に復旧することが難しい長さ15メートル以上の橋梁につきまして、耐震補強が必要であるとし、その数は207橋ございます。
まず、耐震設計の考え方が一番古く、耐震性能が低い昭和55年以前に建設した橋梁119橋について優先して進めることとしており、平成11年度から計画的に整備を行っております。平成23年度末時点での進捗状況につきましては、119橋のうち107橋の耐震補強が既に完成しており、残る12橋につきましても耐震化に既に取り組んでいるところでございます。また、それ以外の昭和55年から平成7年の間に建設した橋梁88橋につきましても、平成23年度から耐震補強を実施しており、現在16橋について耐震化に取り組んでおります。残りの橋梁につきましても、順次、耐震化に着手する予定でございますが、すべての完成には平成30年代半ばになるんじゃなかろうかと考えております。
また、緊急輸送道路以外につきましては、同様に耐震補強の必要な橋梁が115橋あります。これらにつきましては、緊急輸送道路における対策がおおむねめどが立つと思われる平成30年ごろから調査を行うことになると考えておりますが、迂回路の有無など、道路の利用状況や新たな施設の立地状況、土地利用などを踏まえて、優先路などを市町村と相談しながら進めてまいりたいと考えております。以上でございます。 |
防災拠点となる港湾と漁港はそれぞれいくつあるのか、また、それぞれの耐震強化岸壁化について、現状と今後の予定をお尋ねいたします。 |
(土木部長) 土木部におきましては、災害時における救援物資などの備蓄拠点や集積拠点ともなる港湾を、広域的な防災拠点として島根県地域防災計画において指定しており、鳥取県と共同管理の境港を含め、90ある県内港湾のうち、防災拠点港湾として現在12港を指定しております。
岸壁を耐震化するには多大な事業費を要することから、本土側では、県西部の浜田港、県東部の河下港、離島隠岐では西郷港において耐震化することとしており、これまでに整備を終えているところでございます。また、境港につきましても、既に整備がなされております。
本土側につきましては、耐震化された港湾と地域の主要な地点が緊急輸送道路ネットワークで結ばれており、被災した他の港湾の施設が復旧するまでは、浜田港、河下港、境港の3港で対応が可能であると考えております。一方、隠岐諸島におきましては、災害時の救援物資等の輸送は海路に頼らざるを得ない状況にありますので、耐震強化岸壁を有しない島前地区において整備の手法も含め、関係部局と調整し、今後検討してまいりたいと考えております。
また、岸壁の耐震化を行った港湾において、輸送の確実性を確保する上で、臨港道路の機能強化が重要であると考えております。このため、今年度から浜田港において岸壁と高速道路を直結する臨港道路福井4号線を直轄事業で着手したところでございます。また、岸壁と国道9号を結ぶ既存の臨港道路福井1号線の橋梁耐震化につきましても、今年度より実施する予定でございます。以上でございます。
(農林水産部長) 防災拠点となる漁港ですけども、県の地域防災計画におきましては、第2次防災拠点として県管理の浜田漁港、恵曇漁港、和江漁港及び町管理の菱浦漁港の4漁港が指定されております。これらの漁港の岸壁につきましては、その一部を除き耐震化が実施されていない状況にございます。こうしたことから、県では老朽化した施設の長寿命化や機能保全対策を計画的に進めていくこととしておりますが、その際には耐震化等の機能強化もあわせて検討していく考えでございます。 |
現在の予算確保が続いたとしても、橋梁の耐震化も20年以上、県が地域防災計画に定めた防災拠点の港湾・漁港も計画されているのは一部。このままでは、耐震化対策が終わる頃には寿命が尽きかねないようにも思います。県民の安心・安全を担保する観点から、耐震化のロードマップ前倒しの必要性について、どのような認識をお持ちか両部長にお尋ねいたします。 |
(土木部長) 耐震化の早期実施につきましては、議員御指摘のとおり重要であると考えておりますが、国や県の財政状況は厳しく、また耐震化には多くの予算と時間を要することから、土木部といたしましては、社会資本整備総合交付金の全国防災枠予算や今後の補正予算など、あらゆる制度を有効に活用し、進捗を早めるよう努めるとともに、国に対しても財政的支援を強く要望してまいります。以上でございます。
(農林水産部長) 県管理の林道や漁港につきましては、緊急性の高いものから計画的に耐震化対策を進めることが重要と考えておりまして、効率的な事業実施に努めてまいります。
また、市町村へ譲与済みの農道や林道につきましては、管理者の主体性を尊重しつつ、県としても必要な指導や支援を行ってまいりたいと考えております。 |
次に、知事部局、教育委員会、警察の建物について長寿命化への取り組み状況を概括的にお尋ねいたします。 |
(総務部長) まず、私のほうから、知事部局の建物についてお答え申し上げます。
建物の長寿命化を図るというためには、長期にわたる計画的な保全を行っていくというのが、これ非常に重要なことだというふうに考えてございます。このような観点から、平成17年度より、延べ面積が500平米以上の主要な建物につきましては、長期保全計画というのを作成し、予防的な保全を行いながら、建物の長寿命化に取り組んでいるところでございます。
具体的な内容を申しますと、建物ごとに建物の構成要素でございます、例えば屋根であるとか外壁であるとか、あるいは設備機器などについて、実際、現地調査を行いまして、それに基づきまして、長期的な視点、これ大体15年を考えてございますが、15年間にわたる長期的な視点でライフサイクルコストというようなものを算出をいたしまして、計画的な修繕あるいは設備機器の更新に取り組んでおるところでございます。
(教育長) 教育委員会所管の建物でございますが、そのうち県立学校につきましては、毎年度、現地調査を行いまして、必要な修繕を実施をいたしております。また、建築後、おおむね15年程度を経過した建物につきましては、屋上の防水あるいは外壁の塗装などの大規模な修繕を計画的に実施をいたしております。
その他の施設、体育館や図書館などでございますが、これらにつきましても、適宜必要な修繕を実施をしているところでございます。
(警察本部長) 警察の建物につきましても、教育委員会と同様に定期的に点検を実施し、所要の修繕を行うことで施設の長期間使用に努めているところであります。引き続き、計画的な点検並びに適切な修繕に努め、施設の長寿命化を図っていくこととしております。以上です。 |
次に、耐震化について、防災拠点施設の災害対策の中枢施設、災害対策の活動拠点、多数の人を収容する建物、被災者の避難・救護施設、県営住宅について一括して総務部長にお尋ねいたします。 |
防災上の拠点施設の耐震化への取り組みについてでございますが、県の地域防災計画、これ震災編でございますが、これにおきまして、防災上重要な施設のうち重点的に耐震化を図る建築物ということで183施設を指定をいたしまして、耐震化に取り組んでおるところでございます。
この防災上重要な施設でございますが、議員御指摘のように、利用目的によりまして4種類に分類をして規定をしておるところでございまして、まず1つ目の分類は災害対策の中枢施設ということで14施設がございます。これは、災害時の活動拠点といたしまして、県の災害対策本部等を設置する建物でございます。
2つ目の分類でございますが、災害対策の活動拠点ということで43施設を考えてございまして、これは県の地方機関の拠点の建物でございます。
3つ目が、多数の人を収容する建物ということでございまして、例えば県立大学、県立体育館あるいは県立学校の校舎など81施設を考えてございます。
4つ目でございますが、被災者の避難あるいは救護施設といたしまして、市町村が避難所に指定をしている県の建物ということで、県立学校の屋内運動場を想定してございますが、45施設を考えておるところでございます。
このような施設の耐震化の実施状況ということでございますが、建物の耐震化につきましては、建築物の耐震改修の促進に関する法律というのがございまして、これに基づきまして、県といたしまして、島根県建築物耐震改修促進計画というのをつくってございまして、この計画におきましては、耐震化の目標といたしまして、平成27年度末ということを挙げてございますので、平成27年度というのを一つの区切りといたしまして申し上げますと、耐震性のあるものも含め、平成27年度までに耐震工事を終える予定のものということで申し上げますと、先ほど申し上げました災害対策の中枢施設14施設ございますが、このうち13施設。災害対策の活動拠点、これ43施設ございますが40施設。多数の人を収容する建物でございます、81施設ございますが80施設。被災者の避難、救護施設、これ45施設あります、これはすべての施設ということでございまして、計178の施設につきましては27年度までに耐震工事を終える予定というふうに考えてございます。
また、県営住宅でございます。5,084戸ございますが、これについてはすべて耐震性を有しているというのを確認済みというふうになってございます。
なお、先ほど申しました183施設と178施設の差でございます5施設についてでございますが、今後実施手法も含めまして検討していく予定としておるところでございます。 |
知事部局における建物管理は、担当セクション別にされている。技術的な問題や縮小化社会における集中化の問題、コスト管理の問題もあるので、一元的な計画・管理体制を敷くべきと考えます。現に、そうした取り組みを行う先進事例もあるようです。総務部長に所見をお尋ねする。 |
建物の管理につきましては、その性格上、一元的管理が困難と考えられるものを除きまして、御指摘のように一元化の方向で進めているところでございます。このような考え方で、現時点で一元化がなかなか難しいのではないかと考えられるものについては、大きく言って2つございまして、1点目でございますが、これは保健所などの単独庁舎を想定してございまして、このような庁舎の新築、建てかえあるいは大規模修繕というようなものにつきましては、行政需要を踏まえまして、その必要性を検討していかなければならないということでございますので、それぞれの部局の責任で検討、計画をしているということでございます。
2つ目でございますが、例えば美術館などのような公の施設、あるいは県営住宅などでございますが、このような施設については、運営と管理を一体的に行っておるというふうな事情がございますので、このような施設につきましても各部局が個別に管理をしておるというふうな状況になってございます。
その他のもの、施設でございますが、その他の施設の維持管理につきましては、清掃、警備、設備の保守点検などの共通する内容については一元的に管理をしていくことといたしまして、平成25年度から知事部局所管の73施設について外部委託をすることとしております。さらに、効率的な管理手法というような点につきまして、他の自治体の取り組みなどについて研究を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。 |
東日本大震災以降、にわかに脚光を浴びている首都直下型や三連動地震。私たちの地域にはそこまでの切迫感はないとしても、いつ起こるかわからない災害に対して、県民の安心・安全の確保は私たちの重要な責務であります。そんな中で、安心・安全を担保すべき防災・減災のための社会基盤再構築に対する本県の予算措置状況について、知事はどう自己評価されているかお尋ねいたします。 |
御指摘のように、安全・安心の県土づくりということは県の最も重要な課題の一つであります。そういうことで、先ほど来、土木部長、農林水産部長等が説明してまいりましたけれども、やはりいろんな社会インフラの安全度をチェックをいたしまして、それで長期的な改修計画でありますとか計画を立てて、緊急性の高いものから順次進めておるわけでございます。今年度の当初予算におきましても、安全・安心な県土づくりというのは4つの課題の冒頭に挙げて重点を置いておるとこでございます。23年度の補正予算と2月補正と、2月補正で大体50億円ぐらい、24年度の当初予算で350億円ぐらい、全体で400億円ぐらいの安全・安心対策、防災対策を含めてでありますが、そういう予算措置を講じておるわけであります。
しかし、長期計画を実現するには時間がかかるわけであります。そこは、やはり財源の制約がありますから、そういうものを見ながらやっていく必要があるわけでありますけども、それにつきましても、政府がどういうふうに国の予算を編成していくかということも、私どもにとっては大変大事な関心事であるわけでございます。補正予算で追加した50億円のうち一部は政府が一定の予算措置をしたわけであります。緊急防災・減災事業債というのを出して、それに対する手当てをするというようなことで、そういうものも活用したりしております。
今後におきまして、災害、いつ来るかわかりませんけども、非常な危険もあるわけであります。国におかれて各年度の予算編成、あるいは長期計画の策定等を通じまして、必要な対策をとっていただきたいと思いますし、県も国の動きだけでなく県単独でも必要なものはやっていかなければならないというふうに思います。
ごく最近の新聞報道なんか見ますと、国政の場においてもそういう論議があるようでございます。景気対策などをやる際に、防災対策などに配慮をするということも大事な課題ではないかというふうに思うところであります。 |
自民党では、「国土強靭化」政策を発表し、10年で200兆円の公共投資を行うという公約を掲げました。また、わが党では「防災・減災ニューディール」政策を発表し、10年で100兆円の公共投資を行うとしています。
先日の新聞に、ノーベル経済学賞を受賞した米国のポール・クルーグマン・プリンストン大学教授は、日本のバブル崩壊後の経済運営について、「悪い見本だと思っていたら、学ぶべき手本になった」「日本は我々ほどひどい事態にならなかった。失われた10年というが、あの期間一人あたりでは結構経済成長している」などと述べ、日本批判は一方的過ぎたことを認めていると書かれていました。
デフレ下で停滞する経済を集中的な「生命を守る」公共投資によって、雇用創出や本格的な経済成長をと期待する声も強いのであります。
知事、厳しい財政下でありますが、集中投資による社会基盤再構築に対する所見をお聞かせいただけませんか。 |
私も議員の紹介でクルーグマンの話を初めて聞いたんですけども、そういう見解があったのかとちょっとびっくりしたわけでありますが、やはり国土、日本の場合なんかは災害が多いわけであります。そういうものに配慮した社会インフラの整備をやっていくということは大事な課題だと思うわけでございます。
もちろん国、財政全般の中でどうするかという問題がありますけども、そうしたことに配慮をするというのも国としてなすべきことではないかというふうに思う次第であります。 |
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重点化について、しっかり取り組んでいただくよう要望して次の質問に移ります。
次に、障がい者雇用についてお尋ねいたします。
先日、公共施設維持管理を目的に区の外郭団体として設立された(株)世田谷サービス公社にお邪魔しました。障がい者雇用の先導的・先進的な取り組みを聞かせていただきましたが、ここでびっくりしたのは、養護学校からの応募が1/3になったという話です。
世田谷には大きな企業は余りなく、地域に密着した小さな企業が多いが、特に、障がい者自立支援法施行以来、そんな地域の企業の障がい者雇用に対する意識が変わってきたことが原因とのことでした。
もう一つ、ぜひ知りたいと思ったのが障がい者への支援員という取り組み。支援員の仕事は、指導や一緒に作業を行うというのではなく、障がいを持った人たちが苦手な部分を担うというもの。その支援員が集まらなくて困っていたが、募集の視点を変えて、ネットで募集を開始したところ、予想もしなかった志のある若者たちの応募が来ているとのこと。
若い世代が自分の心を満たせるような社会性のある仕事を求めているのです。
話が横道にそれましたが、わが県の障がい者雇用率は、全国平均を0.2P程度上回り1.84で、法定雇用率1.80を達成しています。様々な課題を抱えているのが本県の障がい者雇用の現状ではないかと感じてきましたので、ちょっと意外な気がしました。
障がい者自立支援法も施行され障がい者の社会進出の環境も整いつつあると思いますが、この間の企業意識変化なども含め、本県の現状を包括的にどう捉えているのか、知事の所見をお尋ねいたします。 |
県のまず障がい者雇用の現状でございますが、県内企業の障がい者雇用比率あるいは法定雇用率の達成企業数、あるいは雇用されている障がい者の方々の数、近年、いずれも増加をしております。例えば、雇用率で見ますと、平成21年度が1.78%でありましたが、平成23年度では1.84ということで、義務の数値が1.8でございますけども、1.84ということで高い数値になっておりますし、1.84というのは全国でも2番目の高さだということでございます。
これは、障害者自立支援法の施行などによりまして、障がい者の就労に対する相談支援体制や就労支援内容の強化が図られ、企業も受け入れやすくなった面があるのではないかというふうに考えられますし、また企業側の意識も変化をしてきておるんではないかというふうに見ております。
まず、障がい者が働きやすい環境をつくるということは、普通、健常者の方にとっても障害がないというのは非常にありがたいことなわけであります。それから、障がい者の方々は、研修や訓練を通じて技能が向上するといったようなことについて理解が進み、そうしたことが雇用者の増加につながったものではないかと思いますが、私の印象を見ましても、県内に障がい者の方々を雇用しようという経営者が諸方におられるというような印象を持ってるとこでございます。 |
最近、知的発達障がいのある皆さんの社会参加を進める活動のお手伝いをする中で、学齢期の子を持つ親御さんから一番の心配は社会への入り口との声を聴きます。
松江養護学校では、先生方が企業訪問を繰り返し行ってきた結果、ほとんどの生徒の就職ができていると聞きました。また、県内の就労継続支援施設はA型、B型ともに定員を満たしていない状況と聞きます。
障がい者の皆さんの働く環境は大きく整ってきているのかもしれません。
一方、今まで話を聞いてきた定時制高校生の就職の状況は極めて厳しいですし、各種県立高校でも手帳は持たないものの、困難を抱えた生徒の社会への入り口は極めて厳しいと思います。その上、就労後の支援体制も脆弱です。その結果の現れでしょうか、最近立ち上がったITに関係する仕事を持つある就労支援施設では、次々と応募者が訪ねてくると嬉しい悲鳴でした。
そんな声を聴く中で、一般就労と同じく、ニーズと提供体制の間にミスマッチがあるのではないかと感じています。
障がいのある生徒や困難を抱える生徒について、それぞれ就職ニーズの充足状況とミスマッチの現状、就労後の支援の取り組みについて、教育長にお尋ねいたします。 |
特別支援学校、それから県立の高校におきましては、キャリア教育を通じました職業観や勤労観の育成、それから関係機関と連携をいたしました生徒一人一人に適した進路選択への支援に努めております。
特に、特別支援学校では、現場実習あるいは障害者就業・生活支援センターなどと連携をいたしまして、就労時のマッチング等を行ってきております。
ただ、今、議員からもありましたように、厳しい経済環境もあるということもありまして、就職を希望していても就職はできない、あるいは本人が希望する職種につけない、こういった生徒もおるのも事実でございます。インターンシップや企業見学など、関係機関との連携を強化をいたしまして、就職を希望する生徒が社会や企業に対する認識を深めた上で、そうした願いがかなうように努めていきたいというふうに考えております。
それから、卒業後についてのフォローアップの御質問ございましたが、現在、各学校の教員が進路先を訪問いたしまして、状況把握を行いましたり、個別の相談に応じるなどのフォローアップを行いますとともに、何らかの理由で離職をしたという者につきましても、再就職などの支援に努めているところでございます。今後も引き続き、関係機関と連携をいたしまして、就職時あるいは就職後のフォローアップにも努めてまいりたいと考えています。 |
来年度より、法定雇用率が0.2引き上げられる予定とのことですが、この法定雇用率引き上げ分を埋めるには、新しい視点・新しい形での雇用の場創出が不可欠ではないかと感じています。社会性のある仕事を志向する若者たちの存在も増えており、彼らの新しい力を生かすことも積極的に考える必要があるように感じています。B型の工賃倍増の取り組みのヒントもそんなところにあるのかもしれません。
また、厚生労働省によれば、雇用されている8割近くは身体障がい者であり、重度の知的障がい者や精神障がい者の就労が進まないという課題もあるようですが、県内の状況はいかがですか?お尋ねいたします。
合わせて、法定雇用率引き上げを前に、今後、重度の知的障がい者や精神障がい者も含め、どう雇用の場創出を図るのか、企業への意識啓発も含め今後の取り組みの考え方を商工労働部長にお尋ねいたします。 |
県内の状況でございますが、島根労働局によりますと、平成23年度の県内の障がい者の就労数は全体として1,282人でございます。内訳を申し上げますと、身体障がい者は882人で約69%、知的障がい者は340人で約27%、精神障がい者は61人で約5%となっております。この割合はおおむね全国と同じような傾向でございますが、知的障がい者及び精神障がい者についての割合は全国よりやや高い状況にございます。
次に、来年の法定雇用率引き上げに向けての取り組みですが、県ではこれまでも、障がい者の雇用の促進に向けまして、高等技術校での障がい者向け訓練の実施や、特例子会社の設立支援、それから先進的な取り組みをしております企業経営者を招いたセミナーの開催、また先進的な県内企業を紹介したパンフレットを作成して配付などをしてまいりました。来年の4月から法定雇用率が引き上げられるわけですけども、一層の企業経営者の御理解をいただくことが不可欠というふうに思っております。これまでの取り組みに加えまして、今後は高等技術校に配置しております障がい者訓練コーディネーターによる企業訪問の強化、高等技術校での障がい者向け訓練の委託先企業のさらなる開拓、そして障がい者雇用促進のための各種助成制度を国が持っておりますけども、それらの広報の充実などをいたしまして、着実に進むよう、今後、労働局、障がい者就労支援機関、健康福祉部、教育委員会ともよく協議をしながら積極的に取り組んでいきたいと思います。 |
この後、教育委員会の法定雇用率引き上げの見解を求めるつもりでしたが、時間切れでした。 |
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