三島おさむの県政つうしん REPORT SHIMANE TOP
三島おさむについて
自己紹介主張
職務について
議会質問議会ではその他の活動
趣味と情報について
ブログ趣味と写真三島情報
関連項目
リンクメルマガ
HOME/トップページ
トップページ > 三島おさむについて > 議会質問 > 2012年2月議会一般質問

2012年2月議会一般質問

[2012/3/5]
  今回の質問は、不登校、引きこもりと人材育成に特に力を入れました。
  1. 不登校、引きこもりについて
  2. 学力観について
  3. 持続可能な社会を支える人材育成について
  4. 緊急雇用創出事業について
    • 緊急雇用創出事業の成果と事業が終わる人への雇用対策について
  5. 情報産業育成について
  6. 文化芸術振興について
 質疑内容は下記の通りです。それぞれ文字色で私の質問知事答弁関係部長・教育長答弁がわかるようになっています。
 最初に、貧困問題の要素となる、不登校、引きこもりについて。
 貧困問題について、一昨年6月議会で包括的に質問をさせていただきました。その認識を踏まえて質問させていただきます。
 2009年7月、子ども・若者の健やかな育成や社会生活を円滑に営むことができるようにするため、子ども・若者育成支援推進法が成立しました。
 法が施行されてから2年が経とうとしていますが、貧困の要素ともなり得る不登校、引きこもりの現状に対する認識と今後のあるべき支援の方向性について所見をお尋ねいたします。
 私への最初の質問は、不登校、ひきこもりの現状をどのように認識をするのかと、そして今後のあるべき方向性についての御質問であります。
 御指摘のように、不登校、ひきこもりなど、子ども、若者を取り巻く問題の深刻化を受けまして、子ども・若者育成支援推進法が平成22年4月に施行され、2年を経過しようとしているのであります。県内の状況を見ますと、まず小中高校における不登校の児童生徒数は、最近では大体1,100人ぐらいで、児童生徒数の2%を若干下回るような状況であろうかと思います。ひきこもりにつきましては、内閣府が調査をいろいろ全国的にしておりますけども、それに基づきまして推計をしますと、県内で3,000人を少し超えるぐらいではないかというふうに見ております。子ども、若者をめぐる問題は、県内でも深刻化してきておるという認識をしているところでございます。
 そこで、次に今後の対策のあるべき方向性についてどう考えるかと、こういう御質問でございます。不登校、ひきこもりの子ども、若者が家などに閉じこもりまして、自分の外の世界との関係性が希薄になってきておるわけでございますから、議員御指摘のように、そうした関係性の構築が円滑になるように、この行政としても支援をしていくということが基本だろうと思います。この問題は、そうした困難を抱えておられる子どもさん、あるいは若者、いろんな要因があるわけでございますけども、議員も御指摘になりましたけども、成長、発達のおくれでありますとか、障がいをお持ちになる子どもさんなどがおられる、そうした問題もあるわけでございます。
 また、家庭における問題もいろいろあろうかと思います。つまり、教育の場、教育だけではなかなか解決のできない問題でございまして、御指摘のように、医療の問題、あるいは保健の問題、あるいは福祉の分野、そうした各分野での専門家の助力を得たり、あるいは支援を得たり、助言を得たり、そういうことが大事になるというふうに考えておるところでございます。これは、先ほどの法律の中にもそうした考え方がきちっと規定をされておるわけでございまして、県といたしましても、そうした各分野の方々の連携、あるいはそういう連携をするための専門家の育成、そうしたことに努めていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
 そういう連携の一つの方法として、各地域におきまして総合的な相談窓口の設置をすると、教育、医療・保健・福祉あるいは雇用、そうした分野の総合的な相談に応じられるような体制をつくっていくということでございます。現在、県内では4市にそういう相談窓口を設置をしております。そしてまた、そうした各分野の連携を強化するようなネットワークをきめ細かく構成をし、関係者の間で連携を努めていく、そういうことに力を入れたいと思いますし、特に議員が御指摘になりますように、教育の場でやはり専門性を持った知識が必要なわけでございますけども、そういう問題に県としても一生懸命取り組んでいかなければならないというふうに考えておるところであります。
 この度、不登校、引きこもりなどの困難を抱える子どもや若者をサポートする学校や機関などを回り、現状を聞き意見交換を繰り返しました。
 その中で耳に残っているのは、助産師から聞いたという「羊水が整髪料の匂いがする」との言葉でした。また、学校が好き、友達も好きなのに学校に行けないという現実。五百川議員が質問で仰った時代感と通底するような、いかに困難な時代かと思いますが、早期からの対応や学校の体制と対応によっては、激流に掉さすことも可能かもしれないとも感じています。そんな思いで学校の課題等についてお尋ねいたします。

 最初に、本県は巡回通級指導教室を実施する特別支援教育先進地と聞いており、現場の皆さんからはこうした地道な取り組みを進めることで不登校や引きこもりを減らせるとの手応えを聞きました。
 一方、サポートする子供たちは障がいなどの困難を抱える子であり、親御さんとの深い信頼関係も必要となることから、担当教員には専門性や経験が必要とされますが、経験を持つ人材の不足など人材育成に課題があるようです。そのため、移動ルールの再検討を望む声もありました。
 更に、誰が担当するかは学校の裁量によるとのことで、人材不足を機能的に補う体制には課題があるように感じました。
 このような困難を抱える生徒たちへの高校の支援体制には、更に大きな課題があります。
 高校教育は義務ではないので、特別支援学校以外では行き届きにくいことになります。特に、困難を抱える生徒を多く抱える定時制高校では専門的知識も経験も少なく、試行錯誤しながら一生懸命支えているように感じました。
 高校で困難を抱える生徒への対応についての基本的な考え方を伺います。
 まず、高校で困難を抱える生徒への対応についての基本的な考え方ということでございます。
 高校での不登校などの困難を抱える生徒につきましては、まずは生徒の状況把握をきめ細かく行い、その生徒にかかわりのある複数の教員によりまして具体的な対応を決め、支援を行っていくように努めているところであります。
 そうした中で、高校で不登校やひきこもりなどに至ってしまう生徒の中には、発達障がいの2次障がいが要因の一つであるということも考えられます。こうした障がいについての理解を含めまして、生徒理解の能力を高めるなど、教員の資質を向上させる必要があると認識をいたしております。
 また、中学校のときから不登校やひきこもりがちであった生徒に限らず気にかかる生徒につきましても、中学校と高校の間で情報交換を丁寧に行っていくなど、連携を十分に図っていく必要があると考えております。
 また、通級や特別支援学級を受け持つ専門知識や経験を必要とする教員の養成の現状と課題についてお尋ねします。
 通級や特別支援学級を受け持つ教員の養成についてであります。
 通級や特別支援学級の担当者には、障がいにつきましての知識や理解、個々の障がいに応じた専門的な指導力が求められております。このため、国の研修機関や教育センターなどでの研修、特別支援学校教諭免許状を取得するための免許法の認定講習の実施、さらには特別支援学校と小中高校との人事交流、こうしたことによりまして特別支援教育を担う教員の養成に努めているところであります。
 ただ、特別な支援を必要とする児童生徒が増加をし、障がいの多様化も進んでおります。そうした人材が十分に確保されているという現状にはないと思っております。今後とも、専門性のある教員を確保し、さまざまな障がいの種類に対応できる力量を高めていく必要があると認識をいたしております。
 次に、背景の一つとして、具体的な学習で行われる小学校1、2年生への30人学級による手厚さと、抽象概念の理解が必要となってくる3年生以降の40人学級による手薄さのギャップによって、3年生、4年生でのドロップアウト現象を指摘する声がありました。
 先日も、ある学校の授業を見ながら、これだけ多様な子供たちを一人で支え続けるのは容易ではないと実感しました。
 3年生以降への少人数学級の拡充についてお尋ねいたします。
 この少人数学級は、よりきめ細やかな教育指導を行うこと、あるいは家庭保護者との連携を密にできる、こういった面で効果が期待されるものと考えております。そういった中で、学校現場や市町村教育委員会からは、特別支援教育への対応、あるいは不登校への対応、こういったことなどのために人員配置といった施策も強く求められているところであります。来年度の予算につきましても、特別支援教育への対応といたしまして、特別支援に関わります非常勤講師の増員、それから通級指導の教員の充実、それから不登校につきましても親と子の相談員の拡充、これらについて現在来年度予算について、今議会に提案をしているところでございます。
 したがいまして、今後小学校3年以降の少人数学級につきましても、国の学級編制に係ります動向、市町村教育委員会や学校現場の状況、移行などを十分に踏まえながら、教育施策全体の中で検討していく必要があるというふうに思っております。
 次に、安来市にある青少年サポートの会というNPOにお邪魔した折、困難を抱える子どもたちとの信頼関係が基本となり、親との関係性ができて活動が成り立っていることを教えられました。
 子どもたちとの関係を支えている職員は、6年間、中学校のサポーターとして、学校と一定の距離をとることによって子どもたちとの信頼関係が構築され、今の活動が成り立っていると仰っていました。
困難を抱える子ども全てではないにしても、教員を力の象徴として感じてしまうこともあるだろうと思います。
 保健室や図書館なども、そのような子どもたちの支え手の役割を果たしている現状があります。人次第ということはあるにしても、この例は、更に多様な形で支える体制整備が必要な時代だと考えられます。
 困難を抱える児童・生徒への支援の現状への評価と今後の考え方についてお尋ねいたします。
 困難を抱える児童生徒、特に不登校児童生徒に対する支援といたしまして、教員の指導に加えましてスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、あるいは子どもと親の相談員、これらを配置をして活用して取り組んでいるところであります。近年、こうした取り組みの成果もあらわれておりますが、一方ではいまだそうした子どもたちが多くいることも事実であります。引き続き重要な課題であると思っております。このため、来年度は不登校やひきこもりがちな児童が多い25の小学校に主幹教諭や子どもと親の相談員を重点的に配置をいたしまして、家庭とも十分な連携を図りながら学校全体で教育相談、生徒指導ができる体制を整備することといたしております。また、今後アンケート、QUの活用などによりまして、未然防止の視点からも取り組んでまいります。
ページのトップ
 次に、困難を抱える子どもたち個々に即した支援を行なうためには、関係者が専門的知見に基づく共通認識を持つことが必要であります。
 そのためには、学校と関係機関等が連携を図り、個々の児童生徒の状態を的確に把握し適切な支援を考えていくためのケース会議の充実が不可欠と思います。現状と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 困難を抱える児童生徒の現状を把握し、支援策等を検討するために、各学校ではケース会議が設けられております。ケース会議には、また状況に応じまして、児童相談所、警察、あるいは保健所等の関係機関の方にも参加をしてもらいまして、また小中高校間での情報共有も行われていると聞いております。このケース会議によりまして、例えば福祉関係者の参加によりまして、幼少期からの児童生徒の様子が確認をできましたり、あるいは協力関係が難しくなった保護者に対するキーパーソンが発掘できるなど、問題解決の糸口となる成果もあると聞いております。今後とも児童生徒一人一人に対しまして、関係機関との連携をさらに進めまして、さまざまな専門家の知見を結集させ、実効性のあるケース会議が実施をされまして、適切な支援が行えるように市町村や各学校に働きかけてまいります。
 次に、就業構造基本調査によると、本県の15歳から34歳の無業者の推計値は3000人前後といわれています。出雲市子ども若者支援センターの話では、中学校卒業時に引きこもりとなるのは年間10人前後、高校からの引きこもりは50人前後、そこから推計すれば、出雲の推計値800人は妥当な数字だろうとのことでした。
 こうした若者への支援は緒に就いたばかり。公的な機関では、若者サポートステーション、子ども若者支援センター、パーソナル・サポート・センター等が受け皿になりますが、地域的な偏在や体制など、まだまだ課題が多いと思いますし、本人や家族の前向きな姿勢がないと役に立ちません。しかし、社会との関係性が希薄で、抱え込んでしまいそんな元気も起こらない家庭も多い。
 どう支援機関に繋ぐかという意味では、連絡調整員や公的機関によるアウトリーチ事業の役割が重要になりますが、取り組みは緒に就いたばかりで機能はきわめて脆弱、量的な面でもあまりにも寡少です。
 民間団体でも取り組むところがありますが、費用は高額で、誰でも利用できるということではありません。
 若者サポートステーション、パーソナル・サポート・センター、子ども若者支援センター等の公的機関の機能充実と周知は喫緊の課題だと思います。相談機能の充実と必要とする人への周知、アウトリーチ事業の拡充について今後の考え方を伺います。
 まず、島根若者サポートステーション、パーソナル・サポート・センター、子ども・若者支援センターの相談機能の充実と必要とする人への周知、アウトリーチ事業の拡充についてお答えいたします。
 島根若者サポートステーションは、国の事業として、ニートなどの若年無業者の方々の職業的自立を促進するため、県が一緒になって松江市――これは平成21年5月開設でございます――と浜田市――これは昨年5月に開設いたしました――に2カ所に支援窓口を開設し、本人やその家族などを対象としたカウンセリングや就労体験等により、若者の職業的自立に向けた支援を行っています。平成22年度、これまでの実績では、延べ2,065人の来所者数、そして80人が進路を決定しております。また、今年度は、1月までの数字ですが、延べ3,956人が来所いたしまして、69人の進路が決定いたしております。
 相談業務については、窓口相談のほか、県内各地へ出かけて相談に応じる出張相談会の開催会場をふやすなど充実させてまいりました。来年度は、新たにこの出張相談会場において、就職セミナーや就労体験を実施するなど、相談支援機能の充実に取り組んでまいります。相談者の御自宅や学校等への訪問支援、いわゆるアウトリーチ事業については、これまで保護者の方から直接電話で訪問依頼があったり、医療機関や保健所、民生委員などから紹介を受け実施していますが、今後とも保健・福祉、労働、教育分野の関係機関とさらに連携を深め、取り組みを強化していく考えです。平成22年度の訪問実績では、延べ109人、その中から16人の方が進路を決定しておられるという状況でございます。
 一方、パーソナル・サポート・センターは、生活就労に困窮する求職者の方々に寄り添い方の支援を行うため、昨年4月から松江市を対象に国のモデル事業として取り組んでいます。相談業務については、保健、福祉、就労などの支援機関とのネットワークを活用し、相談者の支援に当たっています。来年度は、15歳未満の方や高齢者や病気などで就業が困難な方なども対象に加わることから、関係するネットワーク会議に児童相談所などの関係機関を加えて、相談支援体制を強化してまいります。
 子ども・若者支援センターは、平成16年度に設置した子ども支援センターを前進に、平成23年度には設置しておりました松江、出雲、浜田、益田市において、若者の相談にも対応できる機能を拡充して、子ども・若者育成支援推進法に基づく総合相談窓口として開設しております。
 センターでは、ひきこもりや不登校など、さまざまな困難を有する子ども、若者に対する相談に対応するほか、自立に向けた各種支援活動を実施しています。引き続き、住民の身近な地域での相談支援体制の整備などに努めることとしています。これらの支援機関への周知につきましては、これまでホームページへの掲載、関係機関へのリーフレットの配布、チラシの新聞への折り込み配布など、各種媒体を活用した広報を行ってまいりました。来年度は、インターネットを使った音声による活動紹介や県民の皆さんにより身近な公民館を通じて周知するなど積極的に取り組んでまいります。各支援間のこうした取り組みを通じまして、支援を必要とする方々のニーズにこたえていけるよう努めてまいります。
 次に、学校に行けない子どもや若者の受け皿となっている居場所やフリースクールの課題です。
 お邪魔した居場所の一つでは、ギリギリのところで活動が継続され、アウトリーチ事業などにも取り組まれていました。しかし、来ている若者はさまざま。自分たちで作る200円の昼食代もままならず、我慢している若者もいました。そんな状態ですから、運営は綱渡り状態。さまざまな補助金などを活用しながらかろうじて存続しています。
 また、フリースクールでは、県外の通信教育を行う高校と提携し、その高校に在籍しながら学んでいます。しっかりした理念と運営方針を持って運営されているところも、私塾ですから個々の負担が大きいのが実情です。
 生徒個々の負担については、高校に在籍していますので就学支援金が支給されますが、当然フリースクールとしてのサポートは自己負担となります。学校法人ではないので私学としての助成もありません。
 あるフリースクールの自己負担は、就学支援金を最大に受けられる生徒でも年間489,000円となります。ですから、相談に来ても入学を断念するケースもあり、まさに貧困問題と隣り合わせの現実があります。
 困難を抱える若者を多様に支えるという意味において、居場所やフリースクールの存在は不可欠の時代ではないかと感じています。
 学校に行けない困難を抱える子どもや若者の受け皿となっている「居場所」の運営への支援について、フリースクールの個に着目した支援に対する所見を伺います。(健康福祉部長)
 初めに、居場所の運営への支援、フリースクールの個に着目した支援についてお答えします。
 いわゆる居場所やフリースクールは、不登校やひきこもりの状態にある子ども、若者がその状況から立ち直り、自立していく上で重要な場所であります。そうした場での活動を通して自己肯定感を高め、就学就労などへつながっていくことが期待されます。
 しかし、議員御指摘のように、フリースクールや居場所を運営する側、また利用する側双方とも経済的に厳しい状況にあることも現実であります。フリースクールと提携した通信制高校に在籍することで、就学支援資金や奨学金の貸付制度を利用できる場合もありますが、そうでない場合、経済的負担感からフリースクールの利用を断念されるケースも想定されます。そうした経済的な理由によって学習意欲のある子ども、若者がその機会を失うことは貧困の連鎖にもつながりかねず、決して好ましいことではないと考えます。こうした立場に置かれた子ども、若者を社会全体でどのように支えていくのか議論していくべき重要な課題であると受けとめております。
 県では、島根子育て支援プラス事業により、困難を有する子ども、若者の居場所づくりなどに取り組む市町村を支援しているほか、住民生活に光をそそぐ交付金を活用し、民間団体のモデル的な活動に対しまして助成を行っているところです。今後、不登校やひきこもりなどの困難を有する子ども、若者に対する支援がどうあるべきか、教育委員会など関係機関と連携しながら検討を重ねてまいります。
 また、フリースクールの実態はさまざまなようで、懸念を感じるところもありました。フリースクールの現状について所見を伺います。(教育長)
 フリースクールとは、学校教育法で定める学校とは別に民間におきまして、学習支援でありますとか、相談、居場所の提供、その他保護者からの相談等に応じている、そういった場所であると認識をいたしております。県内におきましても、特に都市部のほうでこうしたフリースクールがいろいろな工夫を凝らしながら設置をされているということでありますが、その運営につきましては議員からもございましたように、居場所の提供が主体の施設から高卒資格取得が可能な施設までさまざまあります。このようなフリースクールは、不登校やひきこもりの児童生徒などにとりまして、一人一人の実態に応じて貴重な受け皿の一つとしての役割を担っているというふうに考えております。
 先日、福岡県で開催された「子どもとメディア日韓共同フォーラムin福岡〜「メディア中毒」からの脱出〜」に参加しました。
 ネット中毒やメディア依存症の研究や対策は緒に就いたばかりですが、韓国のメディア中毒問題の第一人者である精神科医の金先生から興味深い報告がありました。
 それは、不登校とネット中毒は相関が深いこと。衝撃だったのは、発達障害との相関が深いとの報告でした。
 ネット中毒の治療ですが、韓国では熱心に取り組まれ、大きな効果があったとの報告がありましたが、成長すればするほどその対応が困難で、本県でも教育支援センターや各種機関から学校復帰や社会に出て行く割合はとても低い現状です。仮に社会に出られるとしてもそこまでこぎ着けるには大変な社会的コストを要することになります。また、社会に出られないとすれば、その社会的損失は計り知れません。
 このフォーラムでは、妊婦健診や乳幼児健診時に母親への啓蒙活動を行政支援なしに行うことによって、大きな効果を生んでいる事例報告がありました。
 日韓の治療プログラムは、突き詰めて言えば、子供時代にだれもが経験した遊びでした。そして、メディア依存に陥ってしまう背景は、関係の貧困の深刻化です。
 母親への啓蒙活動は、例えば授乳する時には携帯やTVを離れ、目を見て授乳しよう、休日には家族一緒に外で遊びましょうなど、ごく当たり前のことです。それが、関係の貧困を克服する一歩になり、メディア依存や引きこもりの予防対策につながるのです。
 予防のため、妊婦健診や乳幼児健診時にマンツーマンで母親への啓蒙活動を行うことなど、乳幼児期からの対策について、所見を伺います。(健康福祉部長)
 次に、メディア依存予防のための乳幼児期からの対策についてお答えします。
 県内全市町村におきましては、従前からテレビ、ビデオ等の視聴により、親子のコミュニケーションが阻害されることを問題とし、新生児訪問や乳幼児健診の際にテレビ視聴時間を把握し、個別指導を実施してきたところです。平成16年に、日本小児科医会、小児科学会等から相次いで子どもとメディアに関する提言が出され、その中で乳幼児期のコミュニケーション不足は心や言葉の発達に大きな影響があり、2歳までのテレビ、ビデオ視聴は控えるなどの注意喚起がなされたところです。この提言を受けまして、市町村ではこれまでの取り組みに加え、妊婦健診、妊婦教室、子育て教室などの機会も利用して、母親に対しまして乳幼児期のメディアの有害性についての啓発を実施しています。
 こうした取り組みによりまして、1歳6カ月児の健診と3歳児の健診の際に調査しました結果、2時間以上テレビなどを見ている乳幼児の割合は10年前と比較しまして、1歳6カ月児では19%から14%に、3歳児では30%から20%に改善されたところです。このように、改善が図られてきたとはいえ、ゲーム機、携帯電話、またスマートフォンの普及など、子育てをする若い世代を取り巻く環境は急激に変化し、親子のコミュニケーションに影響を与える電子機器にも視点を広げた対策が必要であると考えます。
 県としましては、引き続き市町村や医療機関の母子保健担当者を対象とした研修を実施するなど、市町村のメディア依存予防対策につきまして支援をしてまいります。以上です。
ページのトップ
 第二に、学力観について。
 先日、掃除に学ぶ会の方とともに、ある高校のトイレ掃除に参加しました。運動部の男女生徒と一緒でしたが、彼らを見ながら二つのことが気になりました。
 一つは、家の手伝いはほとんどしたことがないだろうなあという点と、言われたことしかできない、言われたことも満足にできないということです。野球の強い学校で、普段鍛えられているはずの野球部の生徒であります。
 経営者の皆さんなどの若者評価は、指示待ち、マニュアル主義、打たれ弱い、交わらない、勉強しない等々、共通していますが、巷間指摘されるような「今時の若者」の特徴についてどのように認識していらっしゃるのか、お尋ねいたします。(教育委員長)
 まず、いまどきの若者の特徴についてどう認識しているかということでございますが、3月1日の山陰中央新報明窓の欄に、席を譲った女性に席を譲った高校生の話が載っていましたが、なかなかできることではございません。彼のような若者もたくさんいると思いますけれども、全体的には私もおっしゃるような印象を持っております。さらに加えるとしたら、あきらめが早いような気がいたします。指示待ちが多いと言われましたが、私も初めて職についたときは、やはり指示待ちでございました。仕事柄からかもしれませんけれども、指示を待たずに勝手に事を進めてしまうと、失敗をしなかったとしても勝手なことをするなというふうに怒られたり、大体よいことはありませんでした。ですから、先輩のやることを一生懸命見ながら、顔色を見て少しずつ動いていたように思います。今は、勝手に事を起こして注意をされたり怒られたりして、自分の思うようにならなかったりしたらふてくされるか、切れてしまうか、しょぼくれてしまうような若者が多くなってきたように思います。勢い指示待ちになりがちなのかなというふうに思っております。
 しかし、顧みますと、そんな大人も多くなってきたような気がしております。今の若者に影響を与えているのは、少なくとも大人であるというふうに感じております。
 先日、我が国の若手農業者では最も尖っているのではないかと思われる二人の若者と話す機会がありました。彼らの時代観はなるほどと思わせるものでした。
 それは、今、所得倍増計画のような明確な将来ビジョンが長らく示されていない。その中で、皆が政治や会社のせいにして、自分のことと考えられないことから閉塞感が広がっている。また、人口減少、高齢化時代であり、規模拡大の時代ではないので、既存の仕組み〜高度経済成長時代の仕組みでは古くて通用しないというものです。
 彼らは、徹底的に仕事をしながら、徹底して学ぶ。そしてトライアンドエラーを繰り返しながら自分のビジネスモデルを作り上げていました。
 こんなことは、誰でもできるということではありませんが、新しい地域づくりなどの先端で頑張る人たちが大なり小なり、共通して持つ人間力であろうと思います。
 ある普通高校で、中学校から高校に来て、とても真面目で成績上位だった生徒の成績が下がる現象がある、それは、センター試験にも当てはまり、普段成績のいい子がセンター試験でこけることがママあると聞きました。真面目で覚えることが得意な生徒であっても、きちんと理解されていないと応用問題でこけることがあるのす。それは、テスト学力偏重に通じる点だろうと思います。
 近年、国際競争に勝ち抜くという大義のため、貧困と格差が拡大し、若者のワーキングプアや少子化問題など、労働力の再生産の危機が進行しています。
 その中で、持続可能で豊かに暮らせる地域を再構築するためには、新たな仕組みを作り出していけるような、創造力溢れる人づくりが必要だと感じていますが、島根の豊かな明日を創造してくれる、自らの人生を豊かに歩むことのできる子どもたちは育っているのでしょうか。
 島根の教育は、どんな人を育てようとしているのか、学校現場が呪縛のように感じていると思われるテスト学力主義との関係について、教育委員長のご所見をお尋ねします。(教育委員長)
 次の島根県の教育はどんな人を育てようとしているか、またテスト学力主義との関係についてでございますが、どういう人材かといいますと、知、徳、体のバランスがとれ、そしてこの島根を愛してやまない子に育っているのが理想だと思っております。
 また、学力主義についてですが、私はそもそも学校とはそうしたものだと思っております。学校は学ぶところであり、集団の中で学力を養いながら徳や体をも育てていくものだと思っております。学びの確認がテストであり、テストをすればよい子も悪い子もいるのは当たり前の話であります。点数によって進路も振り分けられることも当然の話です。でも、テストの点で人生のよしあしが決まるなんてだれも思っていないということもまた事実でございます。テストでよい点を目指させることで努力とか忍耐、また挫折や競争の厳しさを教えることにもつながると思っております。うろ覚えで恐縮ですけれども、マリナーズのイチローが小さいことを重ねることがとんでもないところに行くただ一つの道であるというふうなことを言っていたと思います。スポーツであれ、勉強であれ、どんなことでも平凡なことをこつこつ積むことで、努力を怠らない人間としてバランスのよい子どもを育てることにつなげることができると思っております。以上です。
ページのトップ
 第三に、持続可能な社会を支える人材育成について。
 既存の仕組みや手法では地域の存続が危ぶまれるとの危機感からでしょうか、学生や社会人を対象にして、啓発型から一歩踏み込んださまざまなセミナー、ビジネスコンテスト、人づくり系の塾、起業家スクールなど、さまざまな取り組みが行われるようになりました。
 自身、いくつかのセミナー開催に係り、人づくりや起業塾などにも参加してきましたが、啓発から一歩踏み込んだ次代を担う人づくりには、今までの手法には限界があるのではないかと思うようになりました。
 前述の若手農業者は、「講演では、この話をどう生かそうかと考えているやつだけが、時間を投資している。実践に結びついて初めて話を聞いたと言える」と話していました。
 また、「一律全体を引き上げることは出来ない。幻想である。一人を引っ張り上げる、すると追随してくる。これが正解である」とも。
 実践に結び付ける、しかも、既存の仕組みや手法でないものを創造できる人材育成が喫緊の課題であろうと思います。
 先日、ある市の青年会議の取り組みを聞き、行政側の意識が旧来手法を脱していないのではと感じました。特に、人づくりを企図する側の意識改革が必要だと感じています。
 県内で取り組むべき人づくりの視点について、知事の所見をお尋ねいたします。(知事)
 次に、県内で取り組むべき人材、人づくり、どのような視点で行っていくのかという御質問でございます。
 議員も御指摘になりましたけども、高度成長する時代におきましては、大きな企業等において、そういう中で活動ができる若者を育てていくということが一つの方法でございましたけども、今社会全体、経済、あるいはこれは日本だけに限りませんけれども、世界全体で大きな変化が起こっておるわけでございます。そういう意味におきまして、個々人が一定の技能を有する、あるいは能力を有する、あるいは個人が独立していろんな事業ができる、そういうことも大変大事な時代になってきておるわけでございまして、議員御指摘のように、近年におきましても、そうした後継者を育てるセミナーでありますとか、いろんな活動が行われてきておりますけども、しかしそれも単に知識を提供するということだけではだめなんであって、それが実践に結びつくようにしなければならないというのが議員のご主張でございますが、私もそのとおりだろうというふうに思っております。いろんな挑戦をする、挑戦をするためにはいろんな支援も必要なわけであります。リスクがいろいろあるわけでございますし、そういう意味で若者たちがいろんな挑戦ができるような支援をしていく、あるいは県内ではそういう挑戦をして見事に御自分のビジネスを確立をしてこられた方々もおられます。そういう方々のお話を普及をしていくと申しますか、広報していくと申しますか、情報提供していくと、そういったこともやっていかなければならないと思います。
 島根の場合は、伝統的に物づくりの産業があります。こういう分野での支援、あるいは議員御指摘になりましたけども、農業あるいはITのソフトビジネス、あるいは観光、いろんな面で県の特色のある、県がある意味で優位性を持ってる分野がたくさんあるわけでございます。そういう分野におきまして、若い人たちがいろんな挑戦をしていく、それを県が必要な支援をしていく、そういうことにもさらに進めていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
 また、現在取り組まれているあまたの人材育成などの取り組みの現状と成果、今後の課題について所見を伺います。(担当部長)
 島根県においては、これまで産業振興や地域づくりなど、さまざまな分野で人材育成に取り組んできています。例えば、産業人材の面では、平成13年より企業家スクールを開講し、これまで約600名が受講しました。成果としましては、そのうち59名が実際に起業しています。ほかに10名がNPO活動などを開始しております。今後は、受講者の起業がさらに進むよう、実務的かつ受講者のニーズに合わせた支援を行っていくことが必要だと考えています。
 地域づくりの面では、今年度県外在住者がUIターンして、地域課題解決などをテーマに起業するビジネスプランコンテストを実施しています。23件の応募があり、1月に4名の受賞者を決定し、現在実際の移住や起業に向けた準備を始めたところです。今後、受け入れに向け、地域市町村などと一体となって支援していくことが必要だと考えております。
 また、平成22年度から中山間地域研究センターにおいて、地域おこし協力隊員などを対象に、地域資源の調査、活用や鳥獣対策などの研修を実施しています。新任の協力隊員が地域へ定着し、研修参加者同士のネットワークが形成されるなどの成果が上がっております。今後は、協力隊員等がそれぞれの地域の実情に応じた課題に対応できるよう、きめ細やかな研修の実施を検討していくこととしています。島根県の次世代を担う貴重な人材がおのおのの分野、現場で実践的に活動いただけるよう、その育成に取り組んでまいります。
 次に、自立できる農業者の人材育成についてであります。
 ある道の駅の産直市の野菜が、明らかに硝酸態窒素の影響でとても苦かった。
 硝酸態窒素は体内に取り込まれると、亜硝酸態窒素に還元され、酸素欠乏症を引き起こしたり、2級アミンと結合して発がん性物質を生じると指摘されています。
 しかし、表示には安心・安全の野菜と大書きされていたため、生産者が集まる会で安心・安全の基準は何かと聞いたところ、そんな基準はない、それは消費者が決めるものだとの答えが返ってきたと聞きました。
 前述の農業者が、今の農業の問題点として、農家に価格決定権がないこと、生産者の名前が消されて流通していることの二点を挙げていました。
 確かに、一般的に生産者は生産に手いっぱいで流通まで手が回りません。でもそれは、乗っかれば、手間いらずで流通できる仕組みがあるからで、知恵を使う必要のない構造的問題があるからであろうと思います。
 安心・安全の基準は生産者が決めるものとの言葉は、知恵を使う必要のない構造的背景から生まれてきているのではないかと思います。
 そんな意味では、農業再生の鍵は、形を整えることではなく、農業者自身が6次産業化なども含め、いかに出口までをプロデュースできるかにかかっているのではと思います。
 今、新しい一人一人の成功モデルを創出できる農業者を育てなければ島根農業の未来が危ういように思いますが、自立できる農業人材育成についての所見と今後の考え方についてお尋ねいたします。(農林水産部長)
 議員が御指摘のとおり、みずからが安全・安心な農産物を生産するという意識を持って、消費者ニーズを踏まえ、生産から販売までをマネジメントできる農業者が育つことは大変重要なことと思っております。
 県では、これまでも若手農業者が市場調査や新技術開発を行う活動に助成したり、あるいは専門家の助けをかりて商品開発や販路拡大を行う事業展開に支援してまいりました。その結果、生産した有機農産物をスーパーマーケットへ契約販売する事例ですとか、みずから製造した牛乳を原料としてパンやソフトクリームの製造販売を行う6次産業化などの事例などが誕生しております。
 また、ことし4月に開設します農林大学校の有機農業コースにおきましても、学校施設内での学習に加え、生産から加工販売までを実践する農業者、サテライト校と申してもいますが、こうした農家のもとでビジネスモデルを学んでもらうカリキュラムを実践することとしております。
 県といたしましては、今後も多様な農業人材の育成を行う中で、新たな成功モデルをみずから創出できる農業者が一人でも多く育つよう支援してまいりたいと思っております。
ページのトップ
 第四に、緊急雇用創出事業について。
 先日の地元紙に、松江開府400年祭で大活躍した若武者隊のメンバーが浪人隊と改称し、NPOの立ち上げ準備を進めている、その下には、こねっこ隊結成と報道されていました。
 この記事を見ながら複雑な気持ちがしました。
 松江の若者を席巻した舞姫隊、おばさま族の視線を釘付けにした若武者隊は、結成当時から決められていた通り、多くの市民の存続への嘆願を一蹴する形で解散しました。
 彼らは、世界同時不況対策として創設された緊急雇用創出事業を活用して雇用されたのですが、同事業は原則半年、更新することで最長1年の雇用機会が与えられました。
 本県では、この事業を活用し、様々な事業主体で新分野のビジネス創出や地域づくりのための事業が展開されてきたと承知しています。
 それは、本県産業のすそ野を広げることに多少なりとも貢献したのではないかと思いますが、特に人づくりと事業創出がリンクした事業については、途半ばにして撤退を余儀なくされたものもあるのではないかと想像しています。
 本来の趣旨ではないかもしれませんが、緊急雇用創出事業を人づくりや新事業創出につなげるという意識での取り組みの現状と、その結果についてお尋ねいたします。
 また、昨年末の有効求人倍率が0.92で、雇用情勢が持ち直しているといわれる本県ですが、事業によって職を得た皆さんのその後の状況や、今年度末に外れる人たちへの雇用対策についてお尋ねいたします。(商工労働部長)
 次に、緊急雇用創出事業を人づくりや新事業創出につなげる取り組みの現状とその結果についてお答えいたします。
 緊急雇用創出事業は、リーマン・ショック後の厳しい雇用情勢の中、離職を余儀なくされた失業者に対して、次の雇用までの短期の就業機会を創出するため、平成20年度から取り組んでいます。これまでの実施状況では、平成24年、ことしの1月末現在ですが、1,118事業で延べ8,723人の雇用が創出されています。また、この事業は、短期の就業機会の創出だけでなく、介護、農林水産、観光など、今後成長が期待される分野での人材を育成し、雇用に結びつけていくことも目的としております。
 人づくりについては、すべての状況を今とらえておりませんが、聞き取り調査などをしたところ、例えば介護福祉士やホームヘルパーを養成する事業では昨年度59人のうち30人がホームヘルパーの資格を取得し、29人が委託先でそのまま継続雇用をされています。
 また、若手人材の育成については、この2年間で55社、224人が緊急雇用期間中に知識、技術の習得に励んでおり、ことし1月に14社を調査したところ、122人のうち113人が継続雇用されるなど、人づくりに大きな成果を上げています。
 新事業創出では、重点分野雇用創出事業を使って、例えば邑南町ではいやしの邑南町、五感を満たすセラピータウン構想推進事業として、ハーブを素材とする新たな商品開発や地元高校生とのスイーツの共同開発などに取り組まれています。
 また、海士町では、水産資源の付加価値を高める新商品開発プロジェクトとして、雑魚の付加価値を高めるための干物の開発や海藻を活用したサプリメントの開発、販路開拓に取り組まれています。それぞれ平成23年度は邑南町で5人、海士町では3人の方が雇用されています。
 このように、さまざまな事業化の取り組みも見られますが、まだ緒についたところであり、県としてはこれらの事業がビジネスとして定着するよう大いに期待しており、今後も支援をしてまいります。
 最後に、緊急雇用創出事業によって雇用された方、その後の状況と今年度末に期間満了で退職される方への雇用対策についてお答えします。
 平成22年度の緊急雇用創出事業で雇用された方を対象に、県が昨年実施したアンケート調査では、回答していただきました243人のうち、雇用期間終了後も引き続き174人の方、率にして72%になりますが、次の雇用につながったというふうに回答しています。また、このうち28人の方は、正規職員として雇用されています。今年度末で期間満了により退職される方の今後の雇用については、この事業を実施している事業主の方に対し、雇用された方の経験、技術が有効に活用できるよう、引き続き継続雇用をお願いしているところです。今後とも、緊急雇用創出事業の実施に当たっては、ハローワークや市町村、商工関係団体とも連携をして、この事業を受託している企業などに新たな雇用や継続雇用を働きかけてまいります。
ページのトップ
 第五に、情報産業育成について。
 本県情報産業協会が実施する「ソフト系IT業界の実態調査」の昨年の調査結果によると、厳しい環境下にある情報産業界の中で、本県は大健闘し、伸び続けているとのこと。県と情報産業界が二人三脚でRubyと本県情報産業を育ててきた結果であろうと思います。
 アンケート調査の結果では、売上高も従業者数も堅調に伸びています。
 また、情報産業伸長を支えるRubyエンジニアも20年79名、21年138名から22年189名と飛躍的に増えています。Rubyによる開発売上高の比率は高くありませんが、質の高いRubyエンジニアの集積は、島根の情報産業界の評価につながり、受注増につながっているのです。
 また昨年、日立ソリューションズが、同等のスキルを持ったRubyとJAVAのエンジニアを使い、同じソフト開発を同時進行で行った結果、JAVAは609時間、Rubyは189時間で、Rubyは実に3倍以上の速さで開発できたとの実証結果が示されました。また、Rubyアソシエーションの新認定制度やRuby のJIS化が実現しましたし、近々には国際標準規格として勧告される見通しとのことで、一層の追い風が期待できる環境が整ってきています。
 今、設計から開発・テスト・実行、そしてお客様の声などを受けての評価を、さらに設計にフィードバックするというフィードバックループの中で、より良いソフトを作り上げていくアジャイル開発が注目されていますが、このスピード感に最もフィットしているのがJAVAに比べて 1/3の時間で開発が可能なRubyと聞いています。
 県内の事業者が、こうした開発手法をどうスキルとして持つかということも課題ではないかと思います。
 今後、追い風をどう情報産業界の成長につなげるのかが大きな課題だと思いますが、本県情報産業の現状認識と成長への戦略、その中でのRubyの位置づけについてお尋ねいたします。(知事)
 次に、島根県の情報産業の現状認識と成長への戦略についての所見を問うという御質問であります。
 現状につきましては、議員もお触れになったわけでありますけども、県内の情報産業を見ますと、従業員数は平成19年度から22年度まで県内の従業員数を見ますと、16%ぐらいふえております。県外にも支店もつくっておられるところもございますから、そういうところを入れますと、平成19年度に約1,400人弱でございましたが、平成22年度には1,800人を超えると、県外も含めてでありますが、3割ぐらいの増加があるわけでございます。この間の売り上げも121億円から165億円と4割弱の伸びになっておるわけでございます。
 ただ、システム開発という分野を見ますと、これは技術の日進月歩によりまして、いろんな変化が起こっておるようであります。特に、クラウドサービスによるシステム、クラウドによってシステムをみんなが利用ができるといったことによりまして、システム開発市場がやや縮小するといった動きもあるわけであります。そういう意味におきまして、県内の情報産業がさらに発展をしていくためには、いわゆるビジネスだけでなく、医療でありますとか、教育でありますとか、農業など、さまざまな分野でITを活用した新たな市場をつくっていくということが大事ではないかと思います。
 県内におきましては、医療分野におきましてITを活用するというのは全国に先駆けて相当前からやっておりまして、この分野では一定のアドバンテージを持っておる。あるいは農業におきましても、農業にITのソフトウエアの技術を活用するといった取り組みも既に県内でも行われているところでございます。こうしたものをさらに推進をするようにしていきたいというふうに考えておるところでございます。つまり、大手のソフトウエアビジネスの下請をするというだけでなく、みずから自社固有のシステムをつくる、そういうものをこれからも支援をしてまいりたいというふうに考えているところであります。
 次に、Rubyについての御質問でございます。
 Rubyにつきましては、議員も御指摘になったわけでありますけれども、ソフトウエアを早く立ち上げると申しますか、システムをつくるのにほかの言語と比べて3分の1程度の時間でできるといった優位性を持っておるわけでございまして、Rubyの特徴を生かした開発手法をさらに広めるように、いろんな支援を行っていきたいというふうに考えておるところでございます。
 県内では、Rubyの技術を普及啓発などを行う機関として、Rubyアソシエーションというのが形成をされております。そうしたRubyアソシエーション、あるいは県内企業と連携をしながら高度なRubyエンジニアの育成に努めまして、競争力を豊かな産業に発展をさせていきたいというふうに考えておるところであります。
ページのトップ
 最後に、文化芸術振興について。
 昨年11月議会で、文化芸術団体の皆様の長年の悲願が条例の形で結実しました。
 この厳しい時代にあって、重要であるけれども不急と判断されがちなのが、スポーツや文化の分野であります。財政健全化の流れの中で、かろうじて高総文祭は開催されたものの、国民文化祭の開催は見送られ、後継者育成を支えていた学校の専任教員の採用も少子化の中で先細り、文化芸術を取り巻く環境は非常に厳しいと感じています。
 最初に、知事の文化芸術振興に対する思いをお尋ねいたします。(知事)
 次に、島根における文化芸術の振興についての御質問でございます。
 島根県は、豊かな自然、風土、そして出雲神話に代表される固有の歴史文化を持ち、数々の文化芸術がはぐくまれてきておるわけでございます。こうした中で、県内各地におきましては、音楽でありますとかあるいは美術、あるいは工芸、あるいは伝統芸能など、さまざまな文化芸術活動が県民の皆様によって取り組まれておるわけであります。文化芸術は、暮らしの中で、ゆとりあるいは潤いをもたらし、我々の生活を豊かにしてくれるもんだというふうに思っております。そうした人々の豊かな生活というものが島根のいわば評価につながると、そこに住んでいる人たちが美しいものを愛し、そういうものに関与する人たちが非常に多いといったことは、人々にとっては訪ねてみたい場所にもなる大きな要素でございます。
 今般、条例が制定をされたわけでございます。過去から受け継がれた島根の歴史文化を県民の皆様が再認識をし、さらに文化芸術活動に主体的に参加する機運を、この条例のもとで県としても活動してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
 特に、ことしは、古事記編さん1300年を迎えまして、各地の芸能文化等々を公演をするとか、あるいは出雲大社横におきます神話の博覧会におきまして、各地の芸能なども紹介をする、あるいはいろんな物産などの展示をするといったことがあるわけでございまして、そういう神々の国しまねプロジェクトを通じましても、文化芸術の普及、県民の皆さんの積極的な参加を進めるよう努力してまいりたいと考えているところでございます。以上であります。
 関係者との懇談を通じて、特に課題と思われる何点かについてお尋ねいたします。
 最初に、文化ファンドの運用ですが、自立への道が容易ではない舞台系の利用の柔軟化、裾野を広げる意味で特に子どもを対象とした鑑賞への適用、取り崩し型の基金保全や利用枠拡大のための寄付受入れの強化など、検討すべき課題と思いますが所見をお尋ねいたします。(環境生活部長)
 まず、文化ファンドの運用についてでございます。
 文化ファンドは、県民の皆さんみずからが企画をして実施をする文化芸術活動を支援するために平成3年に設立したものでございます。その運用につきましては、幅広く多くの活動を支援しようとすることから、一定の基準を設けておるわけでございまして、ファンドの設立以来、これまで県民の文化芸術活動の状況など、折々の課題に応じまして見直しを行ってまいりました。また、文化ファンドの安定的な運用のためには、寄附による支援など、県民の皆さんの支えが必要であるというふうに認識をいたしております。
 こうしたことから、県民の皆さんの文化芸術活動の状況に応じた運用ができるよう引き続き必要な見直しにつきましては検討していきたいと、このように考えております。
 次に、先日放送部顧問をしている教員と話した際、放送部活動を通じて、校内外の出来事に関心を持つ、他人の話を主体的に聞く、人と話すことが苦手な生徒も抵抗感なく話せる、アポイントのとり方、目上の方との話し方などが身につく、わかりやすく伝えるための技術が身につく、認められることにより自己肯定感が生まれることなど、生徒たちがどのように変わるかを列挙してくださいました。まさに、今の若者に必要とされる力です。
 こんな視点でも、文化部の活性化、即ち後継者育成対策の充実は課題であろうと思います。それを指導する文化芸術に優れた指導教員の任用や育成に対する所見を教育長にお尋ねいたします。(教育長)
 文化芸術についてでありますが、島根県の将来の文化芸術活動を担う人材の育成にも、この文化部活動を資するものであると考えております。こうした文化部活動を指導することのできる教員の確保は、大変重要なことであるというふうに思っております。このため、これまで教員の任用につきましては、例えば文化芸術活動等に特にすぐれた実績、資格等を有していること、こういうことに配慮をいたしますとともに、今年度は近年生徒数、クラス数の減少で芸術教員の数も減ってきたという状況にございましたが、例えば複数の学校の芸術科目を兼務する教員の配置、それから新たに美術を担当する教員の採用試験を実施をしております。来年度から配置をすることにいたしております。
 一方で、育成のほうでございますが、島根県高等学校文化連盟、ここがいろんな組織を持っているわけでございますが、それぞれの専門部において講習会を行っております。そういった講習会や教育センターにおきます教育に係ります研修、こういったところで該当教員の指導力の向上に努めているところでございます。今後とも、学校におきます文化活動につきましては、外部の人材の活用も含めまして工夫を凝らしながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
 また、アートプロデューサーなどの指導者・後継者育成対策の拡充について、及び、新たに計画されている新規事業推進について、多忙感で切迫する学校とどのように意義を共有しながら事業を進めるお考えかお尋ねいたします。(環境生活部長)
 次に、指導者、後継者の育成対策と学校との授業推進をどのように進めていくかについてでございます。
 文化芸術を継承発展させるためには、将来の文化芸術活動を担う人材の育成が重要でございます。このため来年度は、次のような事業に取り組むことといたしております。
 1つは、文化芸術団体が学校や地域に出向きまして音楽や演劇などを指導したり、一緒になって発表公演を行う事業でございます。
 もう一つは、文化芸術を地域に根づかせ支えるといった地域の文化芸術活動を中心となって推進する人材を養成する事業でございます。これら事業の実施に当たりましては、教育委員会とよく連携をいたしまして、さまざまな機会をとらえて事業の周知に努め、学校現場の御意見、御理解も伺いながら取り組んでいきたいと、このように考えております。
 また、事業の実施事例や取り組みの成果を紹介するなど、事業の一層の拡大に努めてまいりたいと、このように考えております。

 

前のページ ページのトップ