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2010年2月議会一般質問

[2010/3/5]
 いささか擦れ違い、と思いながらも質問時間をオーバーし、再質問ができずにちょっと悔しい!そんな今回の質問戦。
 また、もう少し取り上げなければならない問題もあったと思いますが、現場へ足を運んだコンセプトを中心に取り上げました。
  1. 新年度予算編成と県単独公共事業について
  2. 韓国との経済交流・貿易の振興について
  3. IT産業振興について
  4. 島根の未来を支えるコミュニティづくりについて
  5. 西部医療の提供体制について
  6. がん検診の拡充について
  7. 子どもの読書活動推進について
 質疑内容は下記の通りです。それぞれ文字色で私の質問知事答弁関係部長・教育長答弁がわかるようになっています。
  質問の第一は、新年度予算編成と県単独公共事業についてであります。
 「コンクリートから人へ」という政権の基本方針の中、国の公共事業費が18%削減されました。そんな中、本県では経済対策として当初予算と補正予算を合わせて203億円の事業を追加したほか、県の財政負担となる県単独公共事業に70億手当てし、総額では22年度ベースで1.4%、15億円増額の予算が組まれました。
 県の財政健全化の取り組みによって減り続けていた本県の公共事業費ですが、一昨年のリーマンショックに端を発した世界的な経済危機に対応するため、大規模な経済対策予算が組まれ、久しぶりに活況を呈した建設業界です。
 しかし、国やわが県の財政状況を考えた場合、基調としては、公共事業の漸減は不可避であろうと思います。そんな中での県単独公共事業に70億円を投じて、1.4%増の予算であります。
 本県の経済の状況や、21年度事業費の増加によって雇用された人たちのことを考えれば、理解できるのですが、公共事業費漸減という基調から考えると、こうした形の公共事業バブルは、県内建設業の体質を加速度的に疲弊させることになるのではないかと懸念致します。
 一方、先年まで公共事業が縮小してきたことによって建設業者が疲弊し、除雪や災害対策など、県民の安心、安全を支えるセーフティーネットへの影響が度々指摘されてきました。
 そうしたセーフティーネットはどうあるべきか、その姿を示し、そこへのロードマップの中で、県単独公共事業70億円を投じるのだというような、明確な姿を示すべきだと思いますが、その姿は具体的にイメージされているのか、あわせて県単独公共事業70億円の意義付けについてお尋ね致します。
 最初は、県民の安全・安心を支えるセーフティーネットの姿を具体的にどのようにイメージしているのかと。そして、その関連で、県の単独公共事業70億円の意義づけについて問うということであります。
 県内の安全・安心、いろんな面があります。警察の関係で行っていること、あるいは医療の問題等々ありますが、ここでは公共事業に関連したことでお答え申し上げますと、県内にはいろんな災害、雨がたくさん降ったときの土砂崩れ、あるいは雪による雪害、いろいろあるわけでありますが、そういう問題に対しましては、県内の中小建設業者の方々が除雪の作業、災害復旧などで大きな役割を演じておられます。近年では平成19年8月の隠岐の豪雨災害、21年1月の豪雪被害に迅速な対応をしていただいたと考えております。
 一方、公共事業等が減ってまいりまして、建設業界が非常に疲弊をしておられるということも事実でございます。このために県としましては、地域に密着した優良な建設業者の方々ができるだけ安定して経営が行われるよう、いろんな工夫をしてきておるわけであります。例えば、工事の入札において県内業者ができる工事は県内業者に発注をする、あるいは入札の価格だけでなく総合的な評価をする、それから請負者に対する工事の下請、建設資材の県内調達を義務づけるなどやってきておるところであります。
 また、予算自身におきましては、昨年度から経済対策を行っておりますけども、地域の安全・安心につながり、地域の建設業者が受注しやすく、また県民の方々、住民の方々が必要と思われている歩道の整備でありますとか、そういうきめ細かな工事につきまして、重点的な配分を行ってきておるわけであります。今回の県の単独公共事業70億円についても、そういう観点から地域に密着した日常生活等に非常に必要とされる、しかし他方で国の補助事業等には基準が合わないものを中心に積算をし、計画をしているところであります。こうしたものは各地にたくさんあるわけでございます。今後も予算が許す限りやっていく、そういうものではないかと思います。日ごろどこら辺が必要かというのは、各事務所におきまして、地元の方々からの要望あるいは現場の状況を見ながら考えておるところでございます。
 そこで、70億円の意義づけ、内容について御説明申し上げますと、おくれております歩道など生活道路の整備に約33億円、それから土砂崩れ、土石流などの危険性がある災害防除、砂防事業など安全・安心対策に20億円などを計上しておるところでございます。今後とも安心して暮らせる島根をつくるためには、道路、下水道など基盤施設、砂防、治山など災害対策といった整備を着実に進めていきたいと考えておるところであります。
 地域のセーフティーネットとして機能してきた建設業者は、なんと言っても中山間地域が中心です。その中山間地域では、限界に近い縁辺の地域コミュニティ再構築のために残された時間は5年程度と言い切る専門家もいらっしゃいます。
 その過疎(中山間)地域に過去40年間で投じられた予算は88兆円になるとか。これは、小学校区に割り戻すと年間1億円を超える額になりますが、縁辺の地域コミュニティは疲弊の一途をたどっています。
 そうした地域コミュニティの再構築は、小学校区程度が適正ではないかとも言われ、そのような地域コミュニティの再構築のための費用は、ハード事業に比べると圧倒的に小額、そこでは何人かの雇用も発生すると試算されています。
 そこでは、建設業者などもさまざまな形で新たな役割を果たしていくことができる、否、果たさなければならないのではないかと思います。
 ハード整備は、効果は短期的、後年度には維持費が発生します。例えば、地域コミュニティの再構築は、永続的な雇用を発生させ、持続可能な地域づくりにもつながっていくと思います。
 持続可能な県土を形成するための喫緊の課題は他にもたくさんあるはずです。そうしたソフトもうまく組み合わせながら県単独事業を組み立てる必要があると思いますが、所見を伺います。
 それから、ソフト事業、先ほどの公共事業と関連しまして、ソフト事業を組み合わせて県単事業の組み立てが必要と考えるけども、どういうふうに考えているかという質問がございました。
 御指摘のように、ハードとソフトの事業を連携してやっていくということは、非常に大事な課題だと考えております。議員がお触れになった中山間地域における地域コミュニティーの再構築に関連しまして、県は来年度の予算におきましては、例えば中山間地域でお年寄りの方々が買い物がしにくいといったような場合に買い物代行サービス、あるいは病院に行く、そうした場合の輸送サービスなどにつきまして、住民の自治組織がいろいろ取り組んでおります。そういうコミュニティービジネスに対しまして、若干でありますけども支援をしていこうというようなことを始めることとして、来年度予算案に盛り込まれております。
 また、中山間地域等におきましては、農業がやはり地域の発展にとって大事であるわけでございまして、農産品の加工あるいは農家レストランなど経営の多角化、取引の拡大、山地や地域を牽引する形態を支援をするといったようなことも始めようと考えておるところでございます。このほかに地域医療の確保あるいは地域の子育て支援、全県的でありますけども、そういうことも行おうとしているところでございます。
 御承知のように、過疎法が3月末に期限切れになるわけでございますけども、新過疎法の成立が与野党で合意をされております。これがなりますと、中山間地域等におきますソフト事業に対して過疎債を発行して、その基金をそうした事業に充てることができるということになっておりますから、県も関連市町村と協調、共同しながら、ハードの事業とソフト事業がうまく組み合わされて実行されるように努力をしてまいりたいと考えております。
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 質問の第二は、韓国との経済交流・貿易の振興についてであります。
 鳥取県の肝煎りで、境港−韓国・東海−ロシア・ウラジオストクを結ぶ国際定期貨客船が就航し、境港では7月9日から通常運航されています。
 就航後、乗船客は堅調に推移しているようですが、貨物は採算ラインを相当程度下回り、鳥取県と中海圏域の5市町が協調して支援されているものの、厳しい運行が続いていると聞いています。
 また、本年定期航路開設10年を迎える浜田−釜山航路も荷の確保に苦労されていると聞きます。最初に、境港、浜田港の定期コンテナ航路の現状認識とわが県の取り組み、今後の見通しについてお尋ねいたします。また、DBSクルーズ問題では、県内の関係者から島根県の積極的関与を求める声も聞いていますが、それに対する考え方もお聞かせください。
 境港及び浜田港の定期コンテナ航路につきましては、境港は韓国航路が週3便、中国航路が週2便、また浜田港は韓国航路が週1便それぞれ運航しております。一昨年秋以来の世界同時不況の中で、昨年のコンテナ貨物の取扱量は、対前年比で境港が20%減、また浜田港が40%減と、いずれの航路も大幅に減少いたしましたが、ここに来て減少に歯どめがかかり、持ち直しの兆しが見られます。
 この間、県といたしましては、浜田港につきましては航路の利便性や、航路を利用する企業に対する補助制度などについて、県内外の企業への一層の周知に努めるなど、浜田港振興会と一体となった貨物の確保対策に取り組んでまいりました。また、振興会への財政支援も行っているところでございます。
 境港につきましても、境港貿易振興会を中心とした企業訪問や企業説明会の開催などのポートセールス活動に対する財政支援を行ってまいりました。
 今後の見通しといたしましては、両港のコンテナ貨物取扱量や国の貿易統計からの推移から見て回復基調にあると見ておりますが、今後の景気や為替の動向など不確定な要素もあり、決して楽観できる状況にはないと認識しております。今後とも両港の定期コンテナ航路への支援、地元とともに取り組みたいと考えております。

 次に、DBSクルーズへの県の関与についてお答えします。
 DBSクルーズの貨客船航路につきましては、とりわけ中海圏域の経済発展に資するインフラとして、その活用が期待されております。貨物につきましては、就航以来当初見込みを大きく下回る状況が続いております。その主な要因といたしましては、韓国東海との航路は、既設の3航路に対する優位性が必ずしも明確でないこと、またロシアウラジオストクとの航路は、主要貨物として想定されておりました中古車の輸出が激減し、これにかわる貨物の確保が容易でないことが挙げられます。
 この航路は現在、日本、韓国、ロシアを結ぶ唯一の貨客船航路であります。境港のポートセールス活動に対して引き続き財政支援を行うとともに、鳥取県を始め関係機関と連携し航路のPRに努めてまいります。
 また、観光に関してですが、貨客船を利用する韓国人観光客は、大山登山のほか県東部の松江城、武家屋敷、足立美術館など多くの方が訪れていらっしゃいます。しかし、これらのツアーは船中泊のみで現地の宿泊を伴わない、いわゆる弾丸ツアーが多くを占めるため、宿泊客の誘致が課題となっております。
 このため、新年度から鳥取県と協力して、宿泊を伴うツアー客に対する助成金制度を設けることとしたいと考えております。この制度の活用によりまして、主に韓国人、ロシア人観光客の山陰両県での宿泊増加、ひいてはDBSクルーズの利用客の増を図っていきたいと考えております。
 さて、世界はアメリカの一国覇権体制から多極化に向かっていると言われ、EUをはじめとする経済圏形成の動きが加速し、東北アジア経済圏構想を模索する動きもあります。BRICSが台頭する中での世界の中の東北アジア、その中のわが国の将来を考えたとき、日韓の経済的な結びつきの強化は、喫緊の課題ではないかと思います。
 そのような認識に立って見てみると、我が県と最も近い対岸韓国との経済的関係は極めて脆弱です。07年のわが県の貿易概況調査を見ると、輸出では8.7%で5番目、輸入では2.9%で9位であります。輸出品目では、卑金属や電気機器が大半を占め、一部の大手事業者で大半を占めています。
 韓国KBSの「歴史スペシャル」での出雲取材と全国放映を機に、昨年からの大韓民国浦項に拠点を置く慶北日報関係者の島根訪問をきっかけに、経済交流を模索する動きもあるようであります。
 先般、ソウルを訪問した折、松江ラーメンの店に案内していただきました。まだ松江にもない松江ラーメンのお店を韓国人が経営し繁盛している。韓国では初めてとなる生麺のお店とも聞きました。
 店主は、松江や島根のポスターを店内に張り出し、観光パンフレットも多数置いてあるなど、大の日本ファン、松江ファンでした。
 なぜソウルに松江ラーメンのお店がと疑問に思いますが、人のネットワークがこのお店開店につながったようです。人のネットワークでは、島根と韓国には在日の皆さんや国際交流員、民間交流などで培ってきた大きなパイプがあると思います。
 慶北日報の社長は、大の日本びいきで、月1回、日本からお茶の先生を招き、お茶を習っていらっしゃるとか。かの国の日本ブームは侮りがたい。経済交流に生かさない手はないと思います。
 日韓の経済関係についての基本認識と、我が県にとって最も近い韓国との経済関係について現状認識と今後の考え方について知事にお尋ね致します。
 議員が数字等についてはお触れになっておりますけども、2009年の国の貿易統計によりますと、日本から韓国へは電気製品、一般機械、鉄鋼など4兆4,000億円余りを輸出をしております。韓国の製造業が必要とする中間的な部品あるいは資材を中心に日本から輸出をしておるわけでございます。そうしたものが韓国の電気製品等に使われるという面がかなりあると思います。
 それから、他方、韓国からは韓国でつくられた電気製品、一般機械等々2兆円余り輸入をしております。そういう意味で、日韓では韓国の継続的な貿易の赤字、日本では黒字が続くといったような関係でございますが、補完関係にもあるということだろうと思います。
 それから、輸出入を合わせて6兆4,000億円ぐらいになりまして、アジアでは中国に次ぐ大きな、相互に関係の深い国だということになるわけであります。
 いずれにしましても、日韓は最も近い距離にあって、古くから経済、文化等々いろんな面で交流の深い国であります。それから、韓国自身も先進国の領域に入ろうとする国であります。相互補完関係と同時に競合関係にもありますが、非常に密着した関係にあるということでございます。
 また、ちょっと目を広くしてまいりますと、人口十数億の中国が本格的な経済発展を始めておるわけであります。今後も相当なスピードで進むということであります。そういう関係では、中国の周辺国ということでは日本も韓国あるいは東南アジアの国々、同じような関係にあるわけであります。日韓関係におきましては、竹島の領土問題という懸案が長年にわたって解決できずにいるわけでございますが、その問題は粘り強く日韓の外交努力によって解決をするようにしなければなりませんが、それを除く経済交流、文化交流等につきましては、さらに進展するように国も努力する、県も努力する、あるいは民間においても努力をしていく、そういうことが必要だと認識をしているところであります。
 そういう意味で経済、ビジネスの世界で見ますと、鳥取県も含めた山陰と韓国との間には定期航路、定期航空路が就航しておりまして、地域経済の活性化を図り、両地域間の観光、それから経済交流等々に大きな役割を演ずることが期待をされておりますから、県としてもこの面について、できる限りの支援努力をしてまいりたいと考えております。
 県としましては、島根産業振興財団、ジェトロなど関係機関と連携しまして、韓国市場の動向等の情報提供あるいは具体的な海外取引案件に対するアドバイスなどを通じまして、企業支援を実施していきたいと考えているところでございます。
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 質問の第3は、IT産業振興についてであります。
 2月1日に行われた「JETRO、情産協合同ICTビジネスセミナー」で、松江市長は松江市のシステムを基本的には全部Rubyで構築しなおすと話し、続けて市のシステムが110あるがそのうち4つは無理。残りをと思っているが、担当はいささか腰が引けている。だから、簡単なところから入っていって、全部Rubyでの構築を目指すと。そして、松江市情報産業の技術力の向上につなげて行きたいと挨拶されました。
 この話を僕のブログで読んだ長崎県の情報担当の島村CIOは、駄目という4システムは、税、住基、財務会計、給与あたりがですかね。長崎県では、これらもPHP+OpenCOBOLで取り組んでいますので、Rubyでできないなんてことはありません。出来上がったシステムを他自治体に輸出するくらいの意気込みでお願いしたいものです。とメールが来ました。
 それはともかくとして、市町村等のRubyを使用したシステム導入を支援する事業があり、今年度は4つの事業が対象になったと聞きました。4つという数、どう評価して良いのかわかりませんが、新年度も継続されることになっており、公共調達における県内企業の受注確保や開発実績の県内蓄積、蓄積した技術による県外への広がりが期待されます。どうそこにつなげていくお考えかお尋ね致します。
 Rubyはだれにもわかりやすい言語であり、今後の普及が見込まれておりますが、まだ利用実例が多くないという状況にございます。県といたしましては、Rubyの普及拡大には開発実績をより多くつくり出していくことが、まずもって必要だと考えております。
 他方、下請が多い受注構造を持つ県内IT企業がRubyの開発実績を積むためには、県も含めた県内の地方公共団体が率先して導入を図ることが望まれます。このため、県のシステムにおきましてはRubyを導入してきましたが、来年度はRubyを使ったシステムをさらに推進することとしております。
 御質問のございました事業は、今年度から市町村に対して財政的なインセンティブを与えることで、公共部門の業務システムへのRuby導入を積極的に図ろうというものでございます。県内企業がこれら開発実績を積み重ねることによりまして、その実力を蓄え、将来的には県外の官公需や、また民需のほうへ進出し、Rubyの普及拡大につなげたいと考えております。
 また、県内IT企業のRubyに係る技術力は、世界的にもすぐれております。県内公共主体のIT投資に際し、Rubyを発注要件とすることによりまして、県内IT企業の受注確保にもつながると期待しております。
 次に、新規事業として計画されているRubyビジネスモデル研究実証事業、基幹系業務システムの開発・実証を行い、開発手法のノウハウを県内企業に普及するとあります。
 ビジネスとしての構築が課題とされているOSSのRubyですが、Rubyの国際標準化とあわせ、一番の課題を克服していく大きな鍵に生るのではないかと期待するのですが、具体的な事業の中身とどのような形でビジネスにつながっていくのか、更にそうした動きを拡大するためには何が必要とお考えか、お尋ね致します。
 最近の情報システムは、開発期間を短縮すること、また頻繁にシステムを見直すことが求められております。Rubyはこうした要求に柔軟に対応できる特徴がございます。新規事業はこうした点に着眼いたしまして、Rubyだから実現できる顧客満足度を高める開発を、県内事業者の業務システムなどを研究対象に実証しようとする事業でございます。
 具体的な事業の進め方ですが、県内IT企業から公募で提案された中から、有識者で構成する組織によりまして審査を行い、研究の対象を二、三件決定いたします。その上で、その研究実証で得られた開発手法や手順などの成果をビジネス展開につなげるとともに、広く県内のIT業界で共有し技術普及を図る、こういった内容でございます。
 この分野でのビジネス拡大を加速する上では、こうした県内IT企業の活動をRubyビジネスセミナーなどにより県外市場にPRすることや、Rubyの国際標準化を進めている情報処理推進機構の事業展開とも連携いたしまして、Rubyの信頼性を高める取り組みを進めてまいります。島根発のRubyビジネスモデルを創出いたしまして、県内IT企業が県外市場で事業拡大することを目指してまいります。以上でございます。
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 質問の第4は、島根の未来を支えるコミュニティづくりについてであります。
 一昨日の中村議員の産業政策的な農業、地域政策的な農業のバランス論はじめ、昨日の農林水産にかかる論議を興味深く拝聴しました。
 そのような論議からすると、真反対のようですが、島根は、規模の経済ではなく共生のコミュニティづくりを目指すべきではないかとの思いから質問させていただきます。
 先日、富士宮市のエコビレッジ、「木の花ファミリー」を尋ねました。
 木の花ファミリー、0歳から70歳までの18家族、57人が有機農業で自給自足しつつ、極力環境に負荷をかけないライフスタイルを追求しながら、一つの家族として暮らしています。しかし、カルトでも宗教でもありません。
 エコビレッジとしては、世界で最も進んだ形と評価されていると聞きましたが、人間の集まりだから、必ず確執や不満がたまっているはず、行って一番見たかったのはそのことでした。
 子どものミーティング、大人のミーティングの他、10人余りの人からじっくり話を聞きました。
 休みはないし、自分の時間はほとんどない。でも、みんな表情が明るい。
 土建屋の跡取りという若い夫婦は、溢れる豊かさがあると言い、引きこもり歴3年、その間に両親と話したのは10分だけという過去を持つ若者は、ファミリーの一員になって1年半、毎日が楽しくて仕方がないと言っていました。
 有名国立大学大学院の臨床心理学の教授だった61歳の女性が来ていました。10年間、重度の欝に悩まされ続け、あらゆる近代医学療法を試したけれども直ることなく退職してやってきたとのこと。ここに来て3ヶ月、強い薬の影響が残っていると仰っていましたが、とても明るい表情でした。
ここで治療はありませんが、3日で欝が回復する。重度でも1ヶ月と仰っていました。
 ファミリーの最大の特徴は、ITも含め、皆が自分の得意分野の仕事をファミリー内で自己完結的に分担するため、女性に仕事の負担が集中することがない。お金に関しては、収入は大人で均等に分配し、教育費などは皆で負担する。豊かではないけれども、明日への不安がないので、心がとても豊かです。だから、他人の幸せが自分の幸せと真顔で言える。子どもたちの意識も自分への誇りと利他の気持が溢れているようでした。
 「木の花ファミリー」のようなエコビレッジ、どこでもできるとは思いませんし、誰でも参加できるとも思いませんが、お金があるわけではないけれど、本当に豊かな生活は実現できるのです。
 そして、このような共生のコミュニティには、日本の病理である「経済的な貧困」と「関係の貧困」、そして地球温暖化問題を解決する鍵があるように思いますし、島根の中山間地域の目指すべき、発信すべきエッセンスが詰まっているように思います。
 このようなエコビレッジについて、知事はどのような所感をお持ちか、お尋ね致します。
 次に、エコビレッジ、木の花ファミリーについてお話がございました。所感はいかんということでございますが、有機農業など環境に負荷をかけず、皆さんで仕事を分担して生活をしておられるということで、議員御指摘のように非常に心豊かな暮らしをしておられるなあと。今やそうしたものが非常に先進的な取り組みになる、評価される時代になっているなあというふうに感じたわけであります。
 しかし、古くをたずねますと、古来から人々は自然を身近に感じ、互いに支え合う地域社会で暮らしてきたわけであります。そういうものがどんどんなくなっていっている、特に大都市部においてはそういうものがなくなってきたわけであります。人口の過密、核家族化、それから地域社会の喪失、そんなものが起こっているわけでありますが、それが日本全体あるいは大都市部等におきまして、大きな社会問題の根源にあるような問題になってきておるわけでございます。そういう意味におきまして、自然を活用する、自然の中で生きる、そういうことが見直されておると思います。
 それが一つの大きな世の中の流れになっていると私も考えておりますけども、そういう意味で見ますと、島根県はいつも言うことでありますが、発展がややいろんな事情でおくれたがために、豊かな自然が残っている、豊かな地域社会が残っている、古きよき歴史、文化が残っているということでございます。人々が求めるようなものがたくさんあるわけでございます。そうしたものを活用していくということが大変大事なことだというふうに考えておるわけでありまして、具体的なそういうものを活用することが我々に求められておるわけでございます。農業の振興あるいは漁業の振興、林業の振興あるいは古き文化、歴史を活用した観光の振興等々いろいろあります。
 そうした中で、今年度の予算などでは、都市などからそうした自然の中で暮らしたいという若者たちもおります。いわゆるIターンでありますけども、そういう方々も念頭に置きながら、半農何というんでしょうか、農業以外の仕事で組み合わせで生活をするというような方々に対しても、農業の研修などについて助成をするというようなことを始めようとしております。
 それから、農業大学校におきまして、24年度からでありますけども、有機農業などを正式な科目として教えようというようなことも始めようとしておるわけであります。
 いずれにしましても、世の中は非常に先端的な競争の分野あるいはグローバルな競争がある非常に忙しい世界、あるいは途上国などで大規模生産をする世界、それと自然に非常に近いところで豊かな生活をする、いろんな世界があるわけでありますけども、最後に申し上げました自然に近いところで生活をするということに対して、世の中の評価が大きく変わっている現状にありますから、そういう流れの中で島根県もそういうものを、島根の持つ魅力を大いに活用するように努めてまいりたいというふうに考えておるところであります。
 先日の中国新聞に、中山間地域研究センターの藤山科長の寄稿が掲載されていました。最後となる今回、「生業革命」をテーマに、中山間地域の産業のあり方が提言されていました。
 ここに、「高度成長期に入る60年前後、中山間地域はまだ美しく光に満ちていた。それは、戦前の封建的な風土から開放された「自治」と石油文明以前の「自給」がつかの間、両立していた時代だった」と書かれています。私は、島根が今目指すべき中山間地域像は、こうした姿を一歩進めた共生のコミュニティではないかと思うのです。
 中山間地域研究センターでは、「自治」と「自給」が両立するコミュニティづくりとのコンセプトを持ち、弥栄地域をモデルに、「脱温暖化の郷づくり」に取り組まれているように思います。その成果に期待していますが、研究の現状と今後の展開についてお尋ね致します。
 この研究は、自然と共生してきた中山間地域の潜在力を実証し、都市からの定住に向けた実践的なモデルづくりを地域住民を中心に行おうとするものであります。平成20年度から中山間地域研究センター、県立大学、浜田市が連携して実施してきております。これまで住民とともに行う昔から伝わる弥栄らしい暮らしの魅力の再発見、食料、エネルギーの潜在的な供給能力と、地域外から受け入れ可能な人口の分析、耕作放棄地の再生を具体的に実証する試み、県立大学の協力による人材育成セミナーなどを行ってきたところでございます。
 今後は、これらの調査研究に加えまして、住民主体の地域運営の組織づくり、家族での定住のモデルづくり、次世代の担い手づくりなどの実証を予定しておるところでございまして、地域の潜在力を生かした持続可能な地域社会の未来像を提示することとしております。
 さて、存廃の危機を背景に、多くの地域で持続可能な地域づくりに取り組まれていますが、多数ではありません。ですから、冒頭にも述べた縁辺の地域コミュニティ再構築のために残された時間は5年程度という言葉も真実味を帯びています。
 最初に触れた、小学校区程度単位での地域コミュニティという考え方は、従来縦割りで入ってきていた補助金など、各分野の規模の経済を追及し、連結化して範囲の経済として機能させようとするものです。組織としては、地域コーディネーター機能を一歩進め、地域のマネッジメントを総括的に行う法人などを設置し、連結化してマネッジメントしようという試みで、形としては木の花ファミリーの機能と共通した点が多くあります。
 そこには雇用も生まれ、自立的・持続的な地域づくりを支えることが可能となる。ぜひ現実のものとして動かしたい考え方です。そこには、さまざまな課題があると思いますが、最大の課題は行政との協働ではないでしょうか。
 各分野の規模の経済を追及し、連結化して範囲の経済として機能させるためには、各分野に精通し、そうした取り組みを行おうとするところを支援する機能が必要不可欠です。
 過疎法の継続にソフト事業への支援も盛り込まれるとのことであり、環境的には追い風です。
 今後、共生のコミュニティを再構築する上で必要になるであろうと思われる、地域を包括的にマネッジメントする機能に対する考え方、支援する機能と人づくりについて、所見をお尋ね致します。
 中山間地域では人口減少、少子高齢化に伴い集落機能が低下し、既存の集落単位の取り組みでは地域を維持することが難しくなってきております。このため、複数の集落をまとめました、例えば小学校区や公民館単位での新たな地域運営の仕組みづくりが急務となっております。
 こうした考え方から、自治会や住民活動グループ、集落営農組織、NPO法人など地域のさまざまな主体の連携、協働による集落を越えた新たな地域運営の仕組みづくりを、市町村と連携してモデル的に進めているところであります。この仕組みを進めるためには、さまざまな主体の活動を調整し、人、資金、地域資源の活用などを総合的にマネジメントする組織が必要であり、またその組織の運営を支えるために、地域マネジャーの配置などが必要と考えております。
 平成20年度から実施しておりますコミュニティー再生重点プロジェクト事業により、5市町、10地区のモデル地区でこれらの体制を立ち上げ、約1年半が経過いたしましたが、これまでの活動を見てみますと、地域マネジャーなどの人材確保と人材育成、活動資金の確保などが重要なポイントであると考えております。
 議員御指摘のように、地域住民が主体的、自立的に地域づくりを進められる環境を整えることが重要でありまして、アイデアを具体化するための情報、人材や資金確保などに対する行政のサポートが必要であると考えております。
 今後、こうした新しい地域運営の仕組みづくりが拡大していきますように、新たな過疎法に導入されるソフト事業への財政支援を活用しながら、モデル地区の成果、ノウハウの提供や人材育成支援などを行うことにより、積極的に市町村に働きかけてまいります。以上でございます。
 中産間地域での生活を可能にする上で、半農・半Xという働き方を確立することが必要だと思いますが、都市部では、市民農園と半農の中間的な自給的農業・大半Xを目指す人は、農地取得へのハードルがとても高い。特に、そのような生活を目指す人が住みたいであろう地域は0.5haとかハードルが高い。高度成長からの価値観の転換が起こり、“癒し”などが大きな意味を持つこれからの時代、こうしたニーズも、農業を下支えする大切な要素だと思いますが、所見をお尋ねいたします。
 近年、精神的な豊かさを大切にする声を始めとして、人々の意識や価値観には変化が見られるようになってきております。また、農業に対する意識も、本格的に農業をしたいというように農業を主たる職業として考えている人から、田舎暮らしをしたい、あるいは家族と健康的に暮らしたいなどといったように、大変多種多様なものとなってきているところであります。
 これまで島根県におきましては、農業で自立する担い手育成を主体として施策を展開してきたところであるわけでありますが、こうした価値観の多様化、意識の変化を踏まえまして、来年度からはUIターン就農者定住定着支援事業を創設したいと考えているところでございます。この事業においては、農業以外の兼業、他の職業からの収入を加えて農村地域に定住定着を望む人の相談に応じたり、農業技術の習得あるいは就農後のそうした人のフォロー体制の整備などに県独自で取り組むものであります。
 なお、議員からの御指摘の中でありました農地取得の下限面積についてでありますけれども、市町村の中でも地域ごとに一定の条件のもとで、最大10アールまで下限面積を下げることができることとされております。また、今回の農地法改正によりまして、農地の遊休化が特に深刻な状況にあるなどといった場合には、10アール未満での設定も可能となっております。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたUIターン就農者定住定着支援事業などのような形で定住定着を幅広く進めていくことで、農業が有している環境保全、生命循環、教育的な効果などなど幅広いさまざまな役割に関心を持っていただき、農業のよき理解者、応援者、サポーターとして、みずからも農業生産や地域活動などに携わっていく人々がふえていくことは、これからの島根県農業、農村の活性化につながる重要なことだと考えておるところでございます。
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 質問の第5は、西部医療の提供体制についてであります。
 重なる質問なのでなるべく簡潔に。西部医療の提供体制、後ろ向きにではなく機能分担などについてしっかり論議をしなくてはならない局面だと思います。検討組織の設置も含め、その考え方をお尋ね致します。
 まず、西部医療の提供体制でございますが、基本的には各圏域におきまして、県民の皆さんが安心して医療を受けられるような体制の確保に努めていかなければならないと考えております。そのための対策を県といたしまして強力に取り組んでまいります。
 しかしながら、医師不足の深刻化によりまして、県西部地域の医療情勢は極めて厳しい状況にございます。すべての医療機能を2次医療圏の中で確保することは困難な状況となっております。
 このため、当面圏域の枠組みを超えて相互補完をしていくことも必要でございますし、また救急対応等もございますので、関係医療機関の皆さんなどの意見を聞く場も必要であると考えております。
 次に、大田市立病院の救急指定病院返上にともなう救急体制についてであります。
 出雲への救急搬送時間が平均53分程度、江津への救急搬送時間が平均44分程度、大量出血患者の救命率を表すカーラ曲線での目安は26分から30分。救急指定病院返上にともない後遺障害の増加と救命率の低下が懸念されます。どのように予測し、どのような対応を取ろうとされるのかお尋ね致します。
 大田市立病院の診療体制の変更に伴いまして、特に大きな影響があると考えられます出雲圏域につきましては、先般大田市立病院や出雲圏域の2次、3次の医療機関、消防、それから保健所などの関係者が集まりまして、受け入れ態勢や搬送態勢についての検討を行っております。
 今後、大田圏域から出雲圏域などの圏域外の病院への救急の搬送は600件程度が見込まれております。そのうち大量出血患者などの救命救急処置が必要な患者は、大田市立病院で初期対応を行った上で搬送を行うことが確認されております。
 今後、県といたしましても関係機関の皆さんと一緒になりまして、定期的に搬送実績の検証を行いまして、安全・安心な救急医療体制の確保に努めてまいります。
 大田市立病院の業務縮小により、収容できない入院患者が出雲を中心にシフトすることになります。周辺部の病院に入院する患者による負担増の懸念と病院の体制作りについてお尋ね致します。
 大田市立病院での対応が困難となります救急医療や、手術等が必要な患者さんについては、出雲圏域等の隣接圏域の病院において受け入れに協力をいただくことになっております。その際、受け入れ先病院の負担をできるだけ軽減することが必要でございます。そのために、大田市立病院の使われなくなります病床を利用するなど、大田圏域から隣接圏域に搬送した患者が回復期に入った段階で地元に帰れるような受け皿づくりについて、関係機関の皆様と調整を図ってまいります。
 救急搬送で効果が期待されるドクターヘリについて、検討委員会の最終報告書が提出されました。そこには、23年の早い時期とされているが前倒しはできないのか、できないとすれば、せめて大田圏域への防災ヘリの出動を考える必用があると思いますが、その対応と課題についてお尋ね致します。
 また、大田圏域の救急医療を考えた場合、過渡的にでもドクターヘリの夜間出動態勢の整備が不可欠と考えます。夜間へリポート整備への考え方と併せ、所見をお尋ね致します。
 運航会社によります機材の調達、それからヘリコプターに搭乗する医師、看護師の研修、訓練、それからドクターヘリ運航に必要な調整、これは消防等でございますが、調整や諸準備に最低1年はかかります。したがいまして、平成23年度の導入とならざるを得ませんが、関係の皆さん方の御協力をいただきながら、少しでも早く運航ができるように努力をしてまいります。
 それから、ドクターヘリを導入するまでの間の防災ヘリの活用についてでございますけども、ドクターヘリの場合と同様に、救命救急の専門スタッフの研修、訓練に相当の期間を要します。また、防災ヘリはもともと医療専用でございませんので、時間の制約がございますので、現場救急としては難しいと考えております。ただ、9号線等の事故等によりまして道路事情が悪いときなども考えられます。そういう場合の緊急搬送などに活用する必要が出てくると考えております。
 次に、大田圏域のドクターヘリの夜間出動態勢の整備についてでございます。
 ヘリコプターで夜間運航をするためには、有視界飛行が可能な安全なルートの確保が必要でございます。このため、防災ヘリの運用におきましては、ほかの緊急搬送手段がなくて障害物のない海上を飛行します隠岐島からの搬送を例外的に行う以外は、夜間救急搬送は原則実施しておりません。また、夜間に救命救急科医師等がいつでも出動できる態勢をとるためには、多くのスタッフの確保、充実が必要となってまいりますので、早急に態勢を整えることは難しい状況でございます。こうしたことから、ドクターヘリ運用に当たりましても、既に導入している他県と同様に昼間のみの運航となると考えております。
 医療体制が手薄な浜田以西について、ドクターヘリ30分圏域外で、複数配備が必要です。できないのであれば、隣県との共同運航も検討すべき課題であり、検討委員会の報告書にも課題として上がっていました。隣県の動向、隣県との協議状況についてお尋ね致します。
 ドクターヘリの効果的な活動範囲でありますとか、県境部における住民の受療の動向、それから県外医療機関との連携の現状などを考えますと、東西に細長い地理的状況にあります島根県においては、隣接県との広域的な連携の検討がどうしても必要でございます。
 また、隣県の状況といたしましては、岡山県は平成13年度から運航を行っておいでになります。今後は鳥取県が兵庫県、京都府との共同運航により、また山口県は単独で、いずれも来年度の導入に向けて準備を進められております。さらに、広島県もドクターヘリの検討を始めると聞いております。
 こうした状況の中、これまでも隣県の皆さんと情報交換を行ってまいりました。また、検討委員会におきましても、他県との広域連携を検討せよという提言もいただいておりますが、今後各県と情報交換を密にしながら、広域連携につきまして協議を図っていきたいというふうに考えております。
 続いて、がん検診についてでございます。
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 質問の第6は、がん検診の拡充についてであります。
 今年度、国の経済危機対策の補正予算で、がん検診の受診率を向上させるために、特に女性特有のがんの検診受診率が低いことから、検診費用が無料となる子宮頸がん、乳がん検診のクーポン券事業が始まりました。
 H19年度の県内市町村の受診率は、乳がん検診が7.4%で全国平均の14.2%を下回り、子宮頸がん検診は15.2%、全国平均が18.8%と、それぞれ低率となっています。
 また、市町村が実施している検診の受診率を比較すると、30%を超える自治体もあれば、10%にも満たない自治体もあり、それぞれの取り組みの強化が必要でありますが、その一助として、このクーポン券事業が受診率の向上に繋がることを大いに期待しているところです。
 さて、自治体では、受診者を増やす対策として巡回検診も実施されていますが、県内には環境保健公社が所有する乳がん・子宮がん検診車が各1台しかないことから、自治体からは検診車の予約が取れないと聞いております。受診率向上のためには、巡回検診の充実を図ることも必要ではないかと思いますが、乳がん検診車、子宮ガン検診車等の拡充について、所見をお尋ね致します。
 議員の御指摘のとおり、医療機関が不足している離島や中山間地域を抱えます本県にとりましては、利便性の高い検診車の果たす役割は重要であると考えております。そのため、来年度におきましては子宮がん検診車1台、それから検診車にも搭載できますマンモグラフィー検診機器2台を整備をいたしまして、検診体制の充実を図ることとしております。
 乳がんは、40〜50歳代の女性に特に多くみられ、この年代の女性にとって最も多いがん死亡の原因となっています。この対策として検診の推進が重要ですが、乳がん検診は、乳腺外科医等による視触診とマンモグラフィをセットで検査することが国の指針に定められていると聞いています。
 このことが検診率の上がらない原因の一つと聞きます。島根の乳がん検診の現状と課題、今後の受診率向上に向けての考え方についてお尋ね致します。
 本県の乳がん検診は、病院等の施設と島根県環境保健公社が所有する検診車、この2つの方法で行われております。病院での検診につきましては、国の指針に基づきまして、その病院に勤務をされます外科医でありますとか乳腺外科医によります視触診やマンモグラフィー検査にあわせて行われております。
 しかし、検診車によります検診の場合は医師を確保することが難しいことから、視触診は行われておりません。ただ、専門家によれば、マンモグラフィー検査だけでも受診することが乳がんの早期発見に有効であるとされております。本県では、視触診を併用しない検診車による検診も推進すべきだと考えております。
 なお、検診車で受診した方には、乳がんにはマンモグラフィー検査で見つかりにくい種類のものがあること、それを補うための視触診が併用されていないことを説明した上で、自己触診を習慣づけるように啓発をしていきたいと考えております。
 子宮頸がんの罹患率を年齢別に見ると、人口10万人に対し20代後半では5人ですが、30代後半には21人に上昇し、40代後半までそのまま推移するとのことで、40代後半までは増加傾向のようです。子宮頸がんは、もっとも初期の段階ではほとんど完治するとのことで、やはり、早期に発見して治すチャンスを逃さないためにも、今後、若年層の受診を増やす努力が必要だと考えます。現状とその対応についてお尋ね致します。
 本県の子宮頸がんの罹患状況は30歳代でピークを示しております。しかしながら、一番受診してほしいこの世代の受診率が低い状況にございます。若い世代の受診者をふやすためには、若い人々が集う場所や機会をとらえて啓発を行うことが重要だと考えております。
 例えば、成人式で啓発する方法もその一つでございます。子宮頸がんのチラシ配布は、多くの市町村で実施されております。県といたしましても、松江市の成人式にブースを設置をいたしまして啓発を行ったところ、多くの新成人が立ち寄っていただきまして、盛況でございました。
 また、企業と連携することも重要でございますので、若い年代を中心に1万9,300人を集められたドラッグストアのイベントに参加して啓発も行いました。このように今後も多くの関係者と連携を深めることで、若い年代が集う場所や機会を幅広く把握をいたしまして、効果的な啓発を行っていきたいと考えております。以上でございます。
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 質問の第7は、子どもの読書活動推進についてであります。
 先日、第2回学校図書館活用教育フォーラムに参加してきました。
 フォーラムのメインイベントは、学校図書館を使った教育実践報告と報告者によるパネルディスカッションでしたが、4人の報告者の一人が揖屋小学校図書館の門脇司書でした。
 合わせて、芦屋の甲南中学・高等学校の中学1年の授業と武庫川女子大学付属中学校3年生の授業を見学しましたが、フォーラムも含め、東出雲町の学校図書館活用教育の質が如何に高いかを改めて実感しました。しかも、わずか数年の取り組みです。
 門脇さんは、学校図書館活用教育を実践する中で読むことと書くことの相関関係についてどう思うかとの参加者からの質問に、小学校1年生の動物の赤ちゃんという単元を例に、時系列で把握する力が付いている。それは、本をたくさん読めば付くと言うことではなく、工夫しながら学校図書館活用教育に取り組んだ結果、読み取る能力が備わったから。
 そして、成績とリンクするかと1年生の担任に尋ねると間髪を容れずに「ある」と言い、「算数の文章問題がさっと読める」ようになり、正答率が上がっているのだと。
 他校の先生の答えが霞んだ瞬間でした。
 彼女は、図書館活用教育で一番大切なことは、すべての子どもたちが意欲的に自分の課題を見つけて学ぶように支援していくことだと思っています。図書館を活用した学習を通じて「学び方」がわかるようになることと、それにより学習の「達成感」が得られるので勉強が好きになるのだと思うと補足し、学校図書館をめぐる施策が、今、全国一、充実している事を私たちは、決して忘れません。
 私が、プレゼンの中で話をした、「みて、これが僕たちの図書館だよ」と胸を張って母親に自慢してくれた1年生の男の子と同じように、「これが私たちの知事です」と私も胸を張って話しました!関係者の方も、会場の方も、島根県に続きたいと希望を語っておられました。とメールをくださいました。
 この東出雲を目標に、県教委職員の八面六臂の支援を得て、目覚しい取り組みが県内に広がっています。
 しかし、現場の皆さんの話を聞くと、そこを担う現場はさまざまな壁にぶつかりながら試行錯誤を繰り返しています。的確にアドバイスできる人、共に悩んで方向を考えてくれる人が圧倒的に不足していると感じています。
 現場への人配置事業は全国一。それを更に生かせる、伸ばせる体制、県教委として専任の指導主事の配置とか、支援センターの設置とか工夫していただけないかと期待しています。
 話は変わりますが、行政の役割分担の壁を乗り越え、圧倒的に本がない現場の要望に応え、公共図書館に蔵書を貸与する事業を計画していただきました。
 現場には、たとえ5万円分でも良いから学校に本をという声もありますが、門脇司書の「これが私たちの知事です」との言葉には、この事業を高く評価する現場の皆さんの思いもこもっています。
 知事のこの事業に対する思いを、現場へのメッセージとしていただけませんでしょうか。
 最後に、公共図書館の蔵書の貸与事業というのを今年度の予算でも増額をしておるわけであります。一昨年、この件についていろいろ県庁内でも議論をして、学校司書をふやそう、そういうことを始めたわけであります。それによりまして、今年度から県内すべての小中学校に学校司書や司書のボランティアの方々を配置をすると。その結果、学校図書館が非常に活発に活用されるという動きが見られております。使いやすい学校図書館にするために、図書館のレイアウトを変えるとか、いろんな努力が各学校の現場で行われておるという報告を受けております。
 そうした活動は、地域の人と学校の先生たちが一緒になってやったりしておる事例がありまして、そうした図書館を改造していく様子を、教育委員会が学校図書館大改造という幾つかの学校の実例をテレビに撮ってDVDにしております。それを全小中学校に配布をして、ほかの小中学校でもいろんな工夫をしようということになっております。
 その中で、そういう活動は大事なんでありますけども、やっぱり図書の充実というのが必要なわけであります。教育委員会も各市町村に対しまして図書の充実を言っておりますが、各市町村で見ますと、今年度の当初予算では県内の総額で約9,400万円ぐらいが図書の充実に使われていると。それに加えて今年度の補正予算で、各市町村合計しますと5,000万円ぐらいの図書の充実のための予算を追加計上していると。合わせますと1億5,000万円弱ぐらい図書の充実に使っているわけであります。
 しかし、まだまだ足らないという声を聞きますから、県のほうでは来年度の当初予算におきまして、県立図書館において小中学校用に2,000冊で1パック500万円相当のパッケージをつくりまして、これを12セット用意して、これを市町村の図書館などに県から委託をして活用してもらうというのを始めたわけであります。
 やはり議員のお話にありましたけども、読書の充実というのは子どもたちの発育にとって大変大事なものでありますから、司書の方々、学校の先生の方々、ぜひとも図書館のそうした図書を活用しながら、子どもたちの読書活動が進むようにお願いをしたいし、県も引き続き支援をしていきたいと考えておるところであります。以上であります。

 

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