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2008年2月議会一般質問

[2008/3/2]
質問者数を更新しそうな今議会一般質問では、下記の内容を取り上げました。
  1. 医師確保対策と救急医療体制について
  2. 高等技術校再編とそれにかかわる問題について
  3. 教育問題について
  4. 日本一の田舎作り計画について
  5. 消費者行政について
 質疑内容は下記の通りです。それぞれ文字色で私の質問知事答弁関係部長・教育長答弁がわかるようになっています。
 最初に、医師確保対策と救急医療体制についてです。
 石見の地域医療の最前線で活躍する医師の奥さんから、主人が余りのハードワークで疲れ切っている。余裕がなくて倒れてしまうのではないか、このままでは出身の地に帰ってしまうかもしれないと話がありました。
 この先生から二度ほどお話を聞きました。近隣の地域医療を担っている先生が高齢で倒れ、そのためのカバーや、近くの公立病院への週一度の応援など、ぎりぎりの中、使命感で頑張っていらっしゃいます。地域医療は、崖っぷちでかろうじて支えられている事実を改めて目の当たりにしました。
 この公立病院は、看護士確保がままならなくなり、病床をワンフロアー閉鎖した大田市立病院。新年度に向けて、ただでさえ少なくなっている医師確保で苦労されている話も伝わってきます。
 大田市立病院以外にも、県内公的病院の医師減の話しがあちこちから伝わってきます。
そこで質問ですが、新年度、県内公的病院の医師の動向と、産婦人科や小児科など、特に厳しい診療科の確保の見通しをお尋ね致します。 
 公的病院の医師の動向についてでございます。
 県内の医療機関の医師の動向につきましては、日ごろからその情報収集に努めてるところでございます。来年度、まだ確定しているわけではありませんけども、公的病院の中にはその確保の努力にもかかわらず産婦人科や小児科も含めまして現状の医師数を維持できないと、こういった病院が幾つか出てくるというふうに見ております。こうした病院を支援するために、県といたしましても設置者や病院とともに大学への働きかけを行ったり、さまざまなルートを通じて情報を集め、勤務していただける医師を求めて東奔西走し、確保に努めているところであります。しかしながら、御質問にもありましたように深刻な医師不足の状況の中では十分な確保はできていないというのが現状でございます。特に産科あるいは小児科などの勤務医は全国的にも不足しております。また、各県ともその確保対策を強化してると、こういった中で、今後より厳しい状況になってくるものというふうに見ております。
 そういった中で不足診療科の医師を育てていくと、こういったことが重要であるということから、来年度から自治医科大学を卒業した医師が不足診療科を選択できるような専門研修制度を設けたところであります。また、平成14年度から県の奨学金制度を設けてきております。これによって、将来県内の地域医療を担う人材を育てていこうと、こういった趣旨でございますけども、この取り組みの中で今年度は医師となった奨学生が初めて地域の医療機関で勤務を始めたところでございます。また、今後毎年少しずつでありますけれども、そういった方がふえていくということになってまいります。5年後にはこのままいけば38人ということになると思いますし、21年度からの島根大学医学部の定員増と、こういった要素も含めますと、10年後には160人を超える数になっていくというふうに見ております。当面は厳しい状況が続くというふうに見ておりますけれども、一方でこれまでの人材養成対策が確実にその成果となってあらわれてくるというふうにも見ております。
 非常に厳しい状況にはございますけれども、そういった中で連携と協力と、こういったことが非常に重要になってきてるという認識しております。例えば浜田圏域の周産期医療におきましては、市内の産婦人科医院で妊婦の健診を行い、分娩や手術は浜田医療センターと済生会江津総合病院が実施すると、こういったセミオープンシステムと呼んでおりますが、こういった取り組みがされております。このように、県、大学あるいは市町村、またそれぞれの医療機関などの関係者、関係機関が一体となって地域の医療を支えていくと、こういった取り組みが大切であるというふうに考えておりまして、そのような取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
 医師不足問題、診療報酬や臨床研修制度、訴訟リスクなど構造的な問題がありますが、今ここで、それを論(あげつら)ってもはじまりませんし、絵空事や小手先の対策では県民の命を守ることはできません。
 本県の医師確保対策、一生懸命、献身的にやっていただいています。大きな成果も上げていただいています。それでも医師の減少に歯止めをかけることができません。
 議会前の意見交換を担当課と何回か行いました。私は、医者の論理を乗り越える強いリーダーシップを県が発揮するとき、例えば、中央から強力な人を引っ張ってきて、医師確保特命副知事に任命するくらいの強いメッセージと、現実の取り組みをすべきだと言いましたが、医者の論理はそんな簡単なものではないとの現場の意見。
 意見を交わし、そうかもしれないと思いながらも、そんな悠長に待っていられる状況ではない、と焦りにも似た気持ちがあります。できないのであれば、せめて、厚労省などの将来を担う方に、我が県の医師確保対策に現場で汗をかいていただくなど、現実を毛穴から刷り込み、今後の医療制度改革に島根のメッセージを託せないかと思います。知事のご所見を伺います。
 最初に、医師確保対策につきまして、厚生労働省の専門家にも島根に来てもらって実情をよく見てもらって、それで国としての対策なども講ずるようにしたらどうかという具体的な御提案もございました。
 おっしゃるように、医師確保問題は県も努力をしなければなりませんけども、あるいは地元市町村も努力をしなければなりませんが、国の政策にも大きくかかわっておるわけでございます。従来は大学の医学部に医局というものがありまして、そこの医局の制度の中で、普通であれば行かない中山間地域の病院にも医局からお医者さんが派遣をされておって、それがその地域における医師確保にも大きな役割を演じたわけでございますけども、医師の研修の変更、研修制度の変更でありますとか、あるいはそういうものが影響しまして医局が変化し、それが中山間地域から都市に向け、都市から大都市に向け、医師が移動しておるということが大きくかかわっておるわけでございまして、そういう意味におきまして、国が医師不足が深刻な地域への医師の移動を進めるような、押すようなインセンティブが必要でございます。それは国自身が制度として考えなければならないわけでございます。そういう意味におきまして、厚生労働省との人事交流により地域医療の現状をよく知ってもらい、国の対策に生かしていくという提案、アイデアも、これは傾聴に値するアイデアと思いますが、直ちにこの問題がそれで解決するわけにはまいりません。そういうアイデアも頭に置きますが、当面国に対して制度の改正あるいはインセンティブの制度を構築するように努めるとともに、私どもも県内における医師確保に全力を挙げていきたいと考えてるところでございます。
 次に、救急医療確保についてです。
 ある圏域では産婦人科が風前の灯と聞いています。仮にこの拠点がなくなれば、2時間もかけて出産に出向くケースもありえます。
 今、救急車のみの対応では県民の大切な命が守れなくなっています。
 昨年来議論のある医療現場でのヘリ活用、防災ヘリ、警察ヘリを含め、早急に論議を深めるべきだと思います。また、今のヘリ法では島根などの実情に合いません。我々政治も行政と力を合わせ、国に働きかけを強めなければならないと思います。ご所見を伺います。
 それから、そうした医師不足との関連で、医療におけるヘリコプターの活用についての御質問がございました。
 何度か議会におきましても三島議員からこの問題につきまして提起を受け、お答えも申し上げておりますけども、島根県では従来から防災ヘリを活用した救急患者の搬送を行っております。離島からの患者搬送を中心として成果を上げておりまして、医療におけるヘリコプターは議員御指摘のように大変有力、有用でございます。医師不足などが地域医療を取り巻く情勢は厳しい状況にありまして、これまで以上に病院間の連携が重要になっておるわけでありまして、このために既存の防災ヘリなどを最大限に活用いたしまして、離島以外の患者搬送をもっとふやせないか検討を、私は事務部局に対しまして指示をしてるとこでございます。
 また、ドクターヘリについてのお話がございました。
 ドクターヘリ法に基づくドクターヘリは、島根県の実情では使用目的が救急患者の搬送に限定されることや、運用コストあるいはスタッフの確保、施設の整備などから課題がまだまだあるように聞いております。議員からは国への働きの提案がありましたが、私としては検討を指示した既存のヘリコプターの活用状況をよく踏まえまして、島根の実情に合った対応をさらに見きわめていきたいと考えてるところでございます。また、今後ともよく意見交換などをさせていただければと思うところでございます。
 前議会で、救急要請から病院までの所要時間が、救命率の分岐点と言われる30分以上が約半数とのことでした。
 このようなケースで特に活躍する救急救命士ですが、救急隊数の内、常時救急救命士運用隊数が、100%のところのある一方、例えば松江は38.5%、江津は50%、益田62.5%などとなっています。この大きな理由は、救急救命士の数と高規格救急車の配備の問題です。
 消防広域化論議のある中ですが、救急救命士配備数と常時救急救命士運用隊数について、県の基本的な考え方をお尋ね致します。
 救急救命士の配備数あるいは救急救命士を配置運用している救急隊数についての県の基本的な考え方をお答えいたします。
 救急救命士の配備につきましては、国が指針で目標を定めております。この指針は消防力の整備指針と申しまして、市町村においてはこれを目標といたしまして地域の実情に即して具体的な整備に取り組むことが要請されております。この指針によれば、救急隊員1隊3人おりますけれども、そのうちの1人以上は救急救命士とすることとされております。すなわち救急隊のすべてに救急救命士を配置することが、いわば最終的な目標とされております。
 県内の現状でございますけれども、救急救命士がいる救急隊の割合は、平成19年4月1日現在におきまして各消防本部平均で69%となっております。救急救命士は平成3年に導入されたもので、比較的新しいものですので、先ほど申し上げました最終的な目標に達していないんでございますけども、各消防本部におきましてはこの目標に向けまして救急救命士の養成を着実に進めております。平成16年から平成19年までの3年間で、この救急救命士のいる隊の割合は県内では55%から69%、率にして55から69で、14%増加してるとこでございます。救急救命士の養成は全国的な養成機関によって行われてますので、県内消防本部の救急救命士の養成がこの養成機関により円滑に行えるよう、県としましても必要な支援、調整を行ってまいります。
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  次に、高等技術校再編とそれにかかわる問題についてです。
 先日、仁万西往寺の鏝絵、双龍と安珍清姫を見に行きましたが、この安珍清姫は鬼気迫るもので、その見事さに見入ってしまいました。噂に聞く石州左官の見事な腕前で、職人というより、芸術家だと思いました。
 さて、この左官という職業、時代の趨勢に押されて衰退の一途。私の知人でも既に転職したもの、続けていても仕事にありつけるのは月の内良くて1/3、などという方もたくさんいます。その上、手間賃も激減。大工などとともにワーキングプア最前線の現実がここにもあります。
 出雲大工というのだそうですが、彼らの技量も惚れ惚れするものがあります。田舎を歩くと、山際の地形を見事に取り込んだ建物群の見事さにこれは芸術だと感じます。石工もそうですし、建具職人もそうです。
 在来建築斜陽の中で、職人育成の最後の砦とも言える高等技術校でありますが、ここもまた財政健全化という中で、再編問題が起きています。深く内容も分からず、早速現場を見せてもらいました。
 平成13年度から始まり、昨年度限りで休止となった伝承建築科の生徒さんの卒業作品として、神魂神社末社の部分模型、人参方役所門復元など6年間の見事な成果が残されておりました。古建築による精巧な造りには驚くものがありました。
 この科の入校生のほとんどが県外者となり、休止になったと聞きましたが、京都を始め県内外から一流の講師を招き、これだけの成果を見せ、出雲大工の名声を全国へ情報発信をしてきたものが、いとも簡単に休止となったことは誠に残念な気持ちで一杯です。
 官民含めて再開の道を検討すべきではないでしょうか。是非、知事にも見てもらいたいものです。
 実習場に足を運ぶと、左官科では若い生徒が熱心に鏝をふるい、何と1級技能検定課題に挑戦していました。又、建築科では現役大工の指導のもと、隅木を持つ屋根の組上げを行っていました。
 こうした職人による技能は、昔から連綿と伝え、受け継がれてきたものであり、絶やすことの出来ない社会的な財産であり、貴重な文化です。しかし、従来は棟梁が弟子を育て、最近では工務店が若者の指導を行ってきましたが、厳しい経営環境によって後継者育成や技術継承が困難な状況です。
 大工、左官とも50歳以下の数は大変少なく、大工では全体の14%しかいないと言われておりました。将来、本県の木材を活用した在来工法による家が建たなくなる懸念があります。
 川上から川下に至る木材の流れも滞って来るわけです。なんとしてもこの職人育成の機能は残す必要があると思います。
 先月、高知県の田舎インターンシップ調査に嶺北地域を尋ねました。急峻な山間の地域です。ここの材木屋さんの社長に引き会わせてくれました。斜陽産業の材木屋、会ってもしようがないと思いながら、話してみて驚きました。
 今、大学の建築科では木造建築を教えないのだそうです。この社長は、学生インターンに主催して貰い、全国の学生に呼びかけ、山林とのかかわりから実際に木造住宅ができるまで、1週間のワークショップを開催していました。勿論、彼等に、木造住宅へのこだわりを持ってもらい、将来的に木造建築を設計してもらうためです。
 また、吉野川下流域に住む皆さんとの交流会を定期的に開催するなど、嶺北杉の魅力を下流域の皆さんに刷り込む運動に地道に取り組んでいました。
 伝統技術の継承、県内林業の振興と木造住宅の振興、ワーキングプア問題、全て繋がった問題です。
 県内各地では、業者の皆さんが連携しての取り組みもされていると聞いていますが、嶺北のような長期戦略に基づいた振興策となっているのでしょうか。
 部局横断的に、一つの問題として検討し、長期的な視点での戦略的支援を行うべきと考えます。知事の所見をお尋ねいたします。
 それから、島根の有する伝統技術の継承の問題に関連いたしまして、例えば県内の林業振興と木造住宅の振興を結びつけるといった、県庁内で言えば部局横断的な取り組みをさらに進めてはどうかという御指摘がございました。
 御指摘のとおりでございまして、そうした問題は商工労働部、農林水産部とも関連をする話でございます。こういう連携につきましては私どもも大事なことだと考えておりまして、林業の振興と木造住宅建築の振興を連携して促進する取り組みとしまして、平成18年度から島根の木を活用した家づくりを進めるために、住んで安心「しまねの木の家」づくりバックアップ対策というものにも取り組んでおるところであります。その取り組みの一環として、こだわりの家づくりを展開する工務店グループが市、県と連携をいたしまして、松江市の秋鹿町におきまして木造住宅専用の団地づくりを進めているというようなこともあるわけでございます。
 こうした取り組みは、現代における木造住宅の魅力づくりは需要喚起につながりますが、従来工法を合理化したプレカット法というものが現在普及しているようでございます。現地で木材を切るんではなくて、工場で切ったものを持ってきて組み立てるということが効率的ということで、そういう工法も進んでおるようでございまして、そういうものは伝統芸能というよりは、そういう状況を考えますと、伝統芸能というよりは一般的な建築大工の大工さんの需要の拡大につながるというふうに考えておるところであります。高等技術校におきましても建築大工の技能習得のため、若年者を対象とした訓練科を設置しております。今後も林業や木材住宅建築の振興に取り組みによる人材ニーズの高まりを見ながら、必要とされる人材育成に努めてまいりたいと考えてるところであります。
 また、技術校の再編内容の考え方、今後の県内における建築関係の技能の伝承、将来的な建築環境の見通しをお尋ね致します。
 高等技術校の再編に関しまして、建築関係の技能の伝承あるいは見通しについてお答えをいたします。
 まず、見通しでございますけれども、新設住宅の着工戸数の動向等から考えますと、着工戸数そのものは減少傾向にありますが、木造住宅は本県の場合は約6割が木造住宅となっておりまして、全国と比較をいたしまして木造住宅の需要というものについては非常に底がたいものがあるというふうに考えております。また、木造住宅の一つのピークが約20年ぐらい前にございました。その後、高齢化の進展によるバリアフリー化あるいはライフスタイルの多様化などを考えますと、今後リフォームの需要というものが増大してくるというふうに予測をしております。こうしたことから、引き続き建築業界の担い手は不可欠であるというふうに思っております。
 しかしながら、御指摘がございましたように業界では担い手の高齢化あるいは後継者不足などによりまして技能の継承ということが困難になるというおそれもございます。また、個人でかつ零細な経営体というのが多いわけでございまして、職業能力形成制度が柱としております自社での人材育成というものも対応がなかなか難しいのではないかというふうに思っております。
 このため、高等技術校の再編整備計画案におきましては、東部校及び西部校両校にそれぞれ若年者を対象とする建築科を設置したいというふうに考えております。そのことによりまして、木造建築を担う若手技能者の育成を図っていきたいというふうに考えてるところでございます。また、建築大工の中堅技能者を対象としたセミナーもこの東部校、西部校という高等技術校におきまして開催をし、さらに高度専門的な技能の継承ということについても配慮していきたいというふうに考えております。
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  次に、教育問題についてです。
 最近、学生達や大学の先生方と話す中で、大学生の驚くべき生態を垣間見ることとなりました。
 曰く、学生はみな周りにとても気を遣いながら生きている。一番の親友とどう向き合ったらいいのか、聞きに来る学生もいるとか。休講の情報を共有することがない。一人一人がそれぞれ掲示板を見に来る。遊び仲間が集まっても、部屋でそれぞれが勝手にゲームに興ずる。一般的に深い論議をするのが不得手のようです。
 最近の学生は凄く忙しい。カリキュラムを真面目に目いっぱい受講する。しかし、学生は自分で考えようとしない。大人が忙しくしている。結局、自ら考えることが社会的に許されない形になっている。ある人は、じゃあ、学生は勉強してあげているんだねと。それにしては、勉強はしていないと。
 また、怒られたことがないので、怒られるとへこんだり、逆ギレする。何故怒られるのか理解できない。
 松江市内の普通高校の先生と意見交換したら、高校生も同じとのことでした。
 地域と接点を持とうとする学生は1%、と何人かの先生が仰った。蛸壷的に生きる学生像が浮かんできます。島根大学の副学長は、地域の学校と連携して変えていかねばと仰っていました。
 「努力しても報われないことが間々ある競争社会を、彼らなりの論理でうまくかわしながら、無駄なと思う努力をすることなくまったりと生きる」こうした生き方について、若者の行動に詳しいある識者は、「これは案外、競争社会を生き延びる知恵かな」と述べ、彼らはこのグローバリズム下の競争社会で、彼らにフィットする、新しい日本の形を作っているのかもしれないと言っています。
 丁度今、しまね教育ビジョン21の改定作業中でもあります。
 このような実情と、島根の子供たちの現状認識、本当に今の子供たち、変えていく必要があるかどうかを含め、しまね教育ビジョン21で目指す人づくりの具体像と今後の展望について、教育長にお尋ねいたします。
 子供たちの現状と目指す人づくりについてお答えいたします。
 御指摘のようなコミュニケーション能力の不足とか、学習や教養、忍耐力、地域とのかかわりなどが不十分な若者が見られるというふうな状況についてはさまざま報道もなされておりますし、また私も大学とか、あるいは幼稚園、保育所、小学校、中学校、高校を通じましてさまざまな意見交換を行った中とか、あるいは企業の経営者と意見交換する中でもそういうふうな話を聞いております。こうした状況については、いわば我が国が陥ってしまった複合的な社会病理とでも言えるんじゃないかというふうに大変危惧をしておるところであります。
 しかし、その一方で非常に頑張っている生徒がいるというのも事実だと考えております。例えば先日、難しい職業資格を取得した高校生の表彰を行いました。例年約250人前後がこうした表彰の対象になっておりますが、今年度は少し多くなりまして、303人の生徒が該当いたしました。例えば電気工事士の1種でありますとか、コンピューターのソフトの関係の基本情報技術者の資格、あるいは測量士補などの検定試験に合格した生徒でありました。そのうち各専門校の代表18人から話を聞く機会がありまして、自分が一生懸命頑張って勉強したということだけではなくて、資格を取得したことによって自信がついたということとか、自分を支えてくれた家族、先生方、友人に対する感謝の気持ちを語っておりました。また、昨年の高校総合文化祭では、高校生のさわやかなあいさつあるいは大会運営など、発表も含めましてさまざまな場面にはつらつとした態度が多くの皆さんに感動を与えてくれたと考えております。
 こういうふうに、さまざまな課題を抱えている若者がいるのは事実でありますが、一方その逆にさまざまな場面で頑張っている若者が多数いることも、これまた事実だというふうに考えております。私たちが目指しますのは、このような頑張る子供たちがいわば絶対多数となるということを目指すのが教育の責務だというふうに考えております。私は、感性を磨けば人生が楽しくなる、知性を高めれば人生が豊かになるという言葉をいろいろな機会にキャッチフレーズで使っております。教育ビジョン21の具体的な施策の改定を現在行っておるとこでありますが、ただいま申し上げましたような考え方に立ちまして、今後も島根の子供たちが感性と知性の両面を兼ね備えた心身ともに健康に育つように一層努力してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
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 次に、日本一の田舎づくりについてです。
 日本だけではなく、世界の行き詰まりが目前にあります。それは、今までの人間の生き方が根底から問われる時代です。
 都市軸一辺倒から、田舎住民の我々もこのままでは駄目だ、都市住民もこのままでは駄目だ、というトレンドの変化が確実に広がっています。特に、意識ある若者や学生と接していると、その潮目の変化がひしひしと伝わってきます。
 昨年、「日本一の田舎づくり計画」の座長を務めた作野先生が、あるMLに「日本一の田舎づくり計画」について投稿していました。その投稿に海士にTターンで来た青年がコメントを寄せていたので紹介します。
 47都道府県の中で,「最も知られていない県」である島根県は,その存在感は極めて薄い。また,高齢化率は全国1位であり,人口は加速度的に減少の一途をたどっている。その影響を最も早く,かつ深刻に受けるのは島根県であろう。
 なんかそんな状況だと言われると、正直とてもワクワクしますし、そんな日本の最先端の場所で生活し、活動ができていることがすごく嬉しく、誇らしいと感じます。ありがとうございます。
 むしろ少子高齢社会こそ島根県の真価が発揮できる時代だと考える。なぜなら,今後は経済一辺倒のあり方が見直され,社会構造全体が大きく変化することは間違いないからだ。
 これは、間違いないですね。すでに変化の兆しも至る所に表出してきていますからね。
 時代が変化しディス・アドバンテージ(劣位性)がアドバンテージ(有利性)へと変質した。
 だから、僕はここに来た。この変質をさらに生み出していくために。とも感じてます。

 袋小路の地球環境問題を考えても、近い将来の食糧問題を考えても、島根は大きなアドバンテージを有しています。恐らく、遅くとも15年後、更に多くの都市住民が田舎を目指すはずです。その時、われわれは、そういう人たちをしっかり選別して受け入れるだけの素地を築いておく必要があります。
 最初に紹介した医師が、医療問題はもっと長いスパンで考えるべき、医も、食も、農も全てベースは一つ、病気になりにくい体作り、医師を最小限にしか必要としないものをトータルとして作り上げることを目指すべきだと話していました。
 問題となっている医も、食も、農も、林業も、建築も、教育も、環境も、トータルとして機能していたのが田舎でした。われわれは、そのシステムを崩壊させてしまった。今そのシステムの再構築が求められ、それをうまく機能させることができれば、日本一の田舎を構築することになる。
 最後尾の島根は、それを可能にする方法を積極的に仕掛けなければならないと思います。
 ある記者が、ポスト過疎法問題で論議されている「過疎地域の未来を支える−島根からの提言−」について、今までと何ら変わっていない。何を変えようとしているのかまったく見えないといっていました。
 私も一読してそのように感じました。プロ根性で具体的プロジェクトを意識する余りの結果かもしれませんが、島根への限りない愛着、次代の島根への誇りと自信を持ち、島根からパラダイムの転換を図るとの気概が見えないように思いました。
 ポスト過疎法問題で島根は何を発信しようとしているのか、何を変えたいと考えるのか知事の所見をお尋ねいたします。
 次に、ポスト過疎法について御指摘がございました。
 議員御指摘のように、近年は人々の価値観やライフスタイルが多様化し、変化をしておりまして、単に物による豊かさだけではなく心の豊かさを重視する成熟した社会に移る動きがあるわけでございます。豊かな自然と歴史文化に恵まれ、ぬくもりのある人間関係が残る過疎地域におきましては、過疎地域は都市の若者や団塊世代の人々にとりましては生活の充足感や幸福感を実感できる貴重な場所であります。そういう意味におきまして、過疎地域はそういう目から見ますと多面的な機能を維持しておるわけでございます。豊かな森林があり、水資源をそこで供給をし、美しい自然を人々に提供してるわけでございます。そういう意味におきまして、過疎地域と都市との共生を図り、地域が自信と誇りを持ちまして、地域資源の活用と、地域内外の人々の知恵と経験を結集いたしまして特色ある発展を実現するよう、この新しい過疎法に向けまして努力をしてまいりたいと考えてるところでございます。そういう観点から、島根県も国に対しまして中国知事会あるいは四国を含めた知事会と一緒になって活動してますけども、島根としての提言をさらに国に伝えるよう、今作業してるところでございます。
 島根からのパラダイム転換を可能にするのは、人でしかないと思います。日本一の田舎づくり計画では、異なる価値同士を交流させ、価値の相克を行う必要性を説き、人の流動性を高める必要性と、県職員防人制を提案していました。
 まさに、防人として、園芸相談などを広範に引き受け、地域の健康づくりを牽引する方がいます。離島では、地域おこしや保健福祉活動の最前線で汗を流す女性がいます。酒米作りに汗を流し、新しい地酒を生み出そうと頑張る方もいます。本当に多くの県職OBの皆さんが最前線で頑張っていらっしゃいます。
 また、庁内でも、高いモチベーションを持って仕事をする多くの県職員を見ていますし、仕事以外でも、先日話をしたある県職員は、愛と地球と競売人の運営スタッフとして、子どもたちの育成に真剣に取り組んでいました。また、さまざまな場面で、現場の一線で活躍する県職員を多く知っています。
 一方、ある県職員に、島根の未来を信じることができるか、本当に楽しんで仕事をしているかと聞いたところ、残念ながらそうではないと答えました。じゃあ、そう思う職員はどの程度かと聞くと、希望的に見て2〜3割との見方でした。
 またある識者は、50台以上の県職員で「島根に未来がある」と感じている人は極めて少ない、 「田舎だからしょうがないよね。なんとかカバーしてよ」と心の底から思っている人が大半と表現しています。
 ひょっとしたら、県民の皆さんもこのように見ているのかもしれません。
 海士町の方が、20%から30%のカットだから本気になった、数%であれば、不満だけになり、モチベーションは下がるだけと話していました。取りあえず自分の身分は保証され、カットされた給与でどう島根が変わるのかも見えない。不満が先にたち、本気になれないということがあるのでしょうか。
 島根をリードすべき優秀な職員の多くは、総合発展計画に、日々の仕事に自信を、誇りを本当に持てないのでしょうか。
 中村議員は、「住民が地域社会の論理を地域の中で内発的に構築するといった経験が少ないという歴史からくる要因もある」と中山間地問題の難しさを述べていらっしゃいました。
 優秀で、長年培ったノウハウを蓄積しているのが県職員です。「内発的に構築する」ための価値の相克を触発できるのが県職員であろうと思います。
 また、先に述べた教育問題に関連し、大学を活かすことも大切だと思います。
 島根の大学を卒業した学生は、島根を熱く語ってくれるのでしょうか。島根にリピートしてくれるのでしょうか。彼等に、もっと地域を知ってもらう必要があるし、地域のいい大人と出会わせる必要があります。
 ある方が、4年間4万円で公共交通乗り放題パスという提案をされました。学生は島根県内を縦横に動き地域と繋がり、島根を知ることになる。空気を運ぶバスに学生が乗り、少しであるが収入が増える。まさにWin Winの関係ですし、価値の相克の生まれる可能性が大きく膨らむ。
 昨年、海士の民宿に泊まりました。
 一橋大学出身の宮崎君は、そこに泊まった際、大将が海で採ってきた魚と、田畑で自作した農作物で民宿の料理が作られていることに衝撃を受け、「海士には日本の未来がある」とここに住み込みで働くようになったとのこと。島根では当たり前のことが、都会ではもはや目から鱗が落ちるほどの貴重なことになっている。その彼は、先日海士町で起業しました。
 「島根には日本の未来がある」そのことに気づいていないのは我々島根県民であり、そのことを気づかせてくれるのは、県外出身者の人々でしかないのかもしれません。
 県庁は、出先を縮小し、殿町1番地に蟄居してしまいました。私も、国の役人も県庁職員も、もっと最前線に出て、誇りを持てないでいる住民とともに汗をかくべきだと思います。優秀な県職員をさらに生かすことについて、さらに、地域の振興に大学を、大学生をもっと活かすことについて、価値の相克、人の流動性を高めることを含め、知事の所見をお尋ねいたします。
 次に、地域づくりに若者たちをもっと生かす方策を考える必要があるという御意見がございました。
 私も同感でございます。若者たちは感性豊かであります。世の中の潮目を敏感に感ずる能力は大人よりも鋭いわけでございます。そういう変化を感じ取って、いろいろお話しになりましたように若者たちは新たな変化を模索し、変化をリードしてるわけでございます。そういう観点から、若者たちが地域の担い手として活動をしていくということは大変大事な課題だと考えておるわけでございます。我々はそうした若者たちの情報の発信力あるいはネットワークの広さも活用していく必要があると考えてるわけでございます。
 そういう観点から議員も触れられたわけでありますけども、実は県内でも若者たちの活躍が既にいろいろなとこで見られるわけでございます。海士町の例を引かれました。一橋大学の先生や学生と交流することで地元の若者も活性化し、子供たちがふるさとの魅力に気づき、誇りと自信を持つようになったというような話も私も聞いてるわけでございますし、あるいは例えば浜田市の弥栄地区におきましては、島根県立大学生が里山レンジャーとして空き家などの資源調査や、ここの集落や地域住民だけでは難しくなった農作業の支援、耕作放棄地の復興などにも大きな役割を果たしてるということを見ております。
 さらに、それに関連しまして、県職員の活動についても言及がございました。
 私も各地を回りますと、県職員のOBの方々がいろいろ地域の活動に参加するのを見るわけでございます。県の職員としていろんな経験を持っておられるということもあり、自治会でありますとかいろんな団体のリーダーの一人として活躍するのを見るわけでございまして、私は現役もいろいろ仕事の合間、休日等にやってると思いますけども、現役の職員もそうした社会貢献活動にできるだけ参加するように称揚しておるところでございます。さらに、県の現役の職員も仕事の中でそういう地域づくりに貢献するようなこともやっておるわけでございますが、来年度はNPOに対しまして県職員を10名程度、短期間でございますけども派遣をし、地域の活動に実際にNPOの方々と一緒に活動し、そこで経験を積むといったようなこともしたいと思います。
 それから、これまでは市町村に対しまして県職員を実際に派遣をしております。そこで、地域づくりの即戦力として地元でかなりの活躍をしてまして、地元市町村からは常に、任期が来ますと後を補充してくださいという要望を私はいつも受けるわけでございます。その具体的な活動状況の一端を御紹介しますと、海士町ではCASシステムを利用した商品開発や中国上海での営業活動、塩や梅干しなどの特産品の販路開拓に県職員が町の職員と一緒になって働いております。あるいは益田市では、匹見のワサビの復活やディマンドバスの導入にやはり益田市の職員と一緒に働いておりますし、美郷町では田舎ツーリズムの展開や、ヤマクジラと呼んでおりますけども、イノシシの特産品化を進めております。大田市では石見銀山遺跡の活用を図るため、石見銀山ツーリズムや銀の道ウオークなど観光を中心とした振興策をつくっておるわけでございます。実にいろんな幅広い活動を経験し、視野を広げております。こうしたものは県の政策形成におきまして将来きっと役に立つんではないかと私は考えておるとこでございまして、県職員に限らず県内外を初めとするいろんな方が地域づくりに参加をしていただくよう、そうした交流がますます盛んになるよう努めてまいりたいと思ってるところであります。以上であります。
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 最後に、消費者行政についてです。
 近年、食の安全の問題や、割賦販売と次々販売の組み合わせによる消費者被害の拡大等が次々に社会問題化するなど、消費者問題は一層大きな政治課題となってまいりました。
 こうした背景から、消費者の視点の大切さが見直されてきました。また、初めて総理が国民生活センターを視察したことが転機となり、今国会では特商法・割販法の改正など、消費者問題対策の充実が図られようとしております。
 このような中、本県でも、悪質リフォーム業者による被害や次々販売による被害が拡大し、現場の相談窓口では、法拡充以前の問題として、質・量ともの人材不足に悩まされていると聞いています。
 そこで、現場の専門相談員から聞く県に望みたいことについて、何点かお尋ね致します。
 第一に、市町村の相談体制についてです。相談員が配置され対応しているのは4市のみで、残りの17市町村には相談員による相談窓口がありません。県からの人材派遣なども含めて、市町村の相談体制を確立することについて、第二に、短期間で改正される消費者関連法習熟のため、市町村担当者研修を充実することについて、第三に、困難事案への対応の支援や情報の提供等について、県として積極的にかかわることについて、第四に、国の縦割りの弊害で、それぞれの省庁からの依頼や同様のパンフレットが届くなど、現場は混乱し煩雑になっているとのこと。消費者行政の一本化を積極的に働きかけることについて、それぞれご所見をお尋ね致します。
 まず、市町村における相談体制についてでございます。
 御案内のように、消費者基本法でも市町村は住民に最も身近な相談窓口として第一義的な機能を担うことが求められております。しかしながら、本県の場合、議員御指摘のようにその体制は十分とは言いがたい状況にございます。このため、市町村に対しさまざまな消費者問題に対応する相談窓口の設置充実とその住民の方々への周知を要請してきておりますが、今後とも引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
 御提案の県からの人材の派遣についてでございますが、県の現在の体制からいたしますと、直ちに派遣というのはちょっと困難な状況にございます。県におきましては、市町村の窓口担当職員が必要な法知識や、あるいは対応方法を習得するための研修会や、あるいは専門相談員の有資格者を養成するための消費者リーダー育成講座を行って、市町村における人材確保の支援をしてるところでございますが、今後とも市町村等の御意見を聞きながら施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、研修についてでございます。
 御指摘のとおり、消費者関連法は社会情勢の変化に伴い極めて短期間で改正されることが多いわけでございますが、こうした改正につきましては、市町村の担当職員の会議を開催いたしまして説明や意見交換を行ってるところでございます。また、窓口担当者の研修につきましては平成17年度から開催しておりますが、本年度から東部、西部においてそれぞれ年1回ずつ開催しておりましたものを年2回の開催とし、さらに多重債務についての弁護士による講演も行うなど内容の充実も図ってるところでございます。
 次に、困難事案についてでございます。
 困難事案につきましては、県の消費者センターの相談員が市町村の職員に解決方法についての助言を行っております。それから、事業者と相談者の間に入るあっせんなど高度専門的な案件につきましては直接県の消費者センターが解決に当たるなど、市町村への支援を行ってるところでございます。また、市町村への情報提供につきましては、特に被害の大きい事例をお知らせする消費者被害注意情報や、年4回発行しております消費者啓発情報誌、くらしの窓と名づけておりますが、そういうもの、あるいはホームページなどにより被害事例、トラブルの防止のポイントなど必要な情報提供を行っております。今後とも情報提供に努めてまいります。
 次に、国における消費者行政の一元化につきましては、現在有識者による消費者行政推進会議が設置され、新年度早々にも新組織案が提出されると聞いております。県といたしましては、このことにつきましては基本的には国の行政組織のあり方の問題でありますので、現時点ではその動きを注視してまいりたいと、かように考えてるところでございます。
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