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2006年6月議会一般質問

[2006/6/23]
1.骨太の方針2006と地方財政について
  新型交付税について
  夕張市の財政再建団体移行と本県の現状、今後の支援の考え方
2.指定管理者制度と県立図書館について
  師弟管理者導入後の状況
  県立図書館のあり方について
  開かれた図書館作りについて
3.外国人労働者と移民問題について
  外国人労働者の現状について
  農業後継者、医師不足等の現状認識と移民問題について
4.就業環境の整備について
  ニートを取り巻く問題ついて
  少子化と就業・雇用環境について
  キャリア教育について
5.介護保険法改正について
  地域包括支援センターについて
  介護予防の取組みについて
  健康づくりについて
6.認定子ども園について
7.靖国と歴史認識について
  靖国の本質問題について
  渡辺発言について
  シンガポールの戦争記念館開館について

移民、外国人労働者に関する再質問
 質疑内容は下記の通りです。それぞれ文字色で私の質問、知事答弁関係部長・教育長答弁がわかるようになっています。
 質問の第一は、骨太の方針2006についてであります。
 先日、骨太の方針2006策定に向けて、「地方一般財源の所要額確保」と「人口・面積のみによる新型交付税は導入しないこと」の二点について、党の政策責任者に要望活動を行ってまいりました。
 要望の趣旨や島根の実情について、充分理解していただいたと思いますが、わが党内においても都市と田舎の議員の意識には埋めがたい距離があるようですし、日本のおかれた現状と中央の情勢を見るにつけ、地方一般財源への影響は必至ではないかと考えます。
 報道によれば、自由民主党では、地方公務員の人件費について、1兆1千8百億円削減する方針を固めたとのことであり、財務省の示した1兆8千億の地方行政経費削減に比べて少なくはなったものの、一層の行財政改革は必至であり、県においても海士町並みの取組みを迫られる時がすぐそこに来ていると思えます。
 要望活動の中のもう一点、新型交付税の導入は既定路線であるとの印象を持ちましたが、同時に「算定方式について提案して欲しい、その実現には努力する」との言葉があり、複雑な思いを持ったところです。
 知事の思いは違うところにあるかもしれませんが、私の感ずるところでは、新型交付税導入が避けがたい現状において、どのように対応するのかお尋ねするとともに、島根発の提案について所見をお尋ね致します。
 新しく導入が検討されている新型交付税は、仮に、人口と面積のみを算定の根拠とした場合には、地方における標準的な行政サービスの提供に重大な支障を与えることが懸念されることから、これまで、県内の地方六団体による緊急アピールや六月十日の「地方自治 危機突破 総決起大会決議」などを通して、その問題点を強く指摘してきました。さらに、県選出の国会議員への要請を通して、国政の場へも、我々の声を届けてきたところです。
 現時点では、総務省からは「新型交付税の導入に当たっては、人口規模等による行政コストの差や、離島、過疎に配慮する」との説明がなされていますが、地方交付税本来の趣旨である、「あるべき財政需要を適正に算定する」という理念がないがしろにされるのでないかという懸念は、依然として残ったままとなっています。
 そもそも、地方交付税の議論に当たっては、まずは、地方が日本という「くに」づくりに対して果たしている役割を適切に踏まえ、それを支える地方税財政制度はかくあるべしという基本理念を明らかに
し、その上で、具体的な制度設計に当たるべきであります。
 こうした観点に立って、本県は、地方交付税の今後のあり方について昨年十月に提言し、その内容は、六月七日に地方六団体が国へ提出した「地方自治法に基づく意見書」にも随所に取り入れられています。
 経済財政諮問会議等で、地方財政に対する不当とも言える議論が展開される中で、今後もあらゆる機会を捉え、「国と地方」、「都市と地方」 の連携・共生の必要性と、それを財源面から支える地方交付税の財源保障・財源調整機能の重要性を強く訴えることにより、必要な地方一般財源総額の確保に併せ、適正な配分方法の実現につなげて参りたいと考えています。
 夕張市が財政再建団体への移行を表明しました。
 ホームページを見ましたが、情報開示が充分でなく、住民と危機感の共有ができていなかったのではないかと感じました。
 県内でも合併を前後して、財政運営をめぐる問題や公金への意識、会計処理をめぐる問題がでてきた。
 総務省では、市町村の財政状況の把握と地方自治法に基づく技術的助言など、目配りを行うよう都道府県に求めたと聞いています。
 併せて、不透明ではあるが、地方財政を取り巻く厳しい環境の中であり、夕張市に続くところが出ないのか懸念しています。
 県内自治体の情報開示への取組みを含めた現在の状況と、今後の県内自治体への支援方針をお尋ね致します。
 県内市町村の財政状況ですが、平成十八年度の普通会計予算から判断しますと、人件費や投資的経費の削減など行財政改革の効果が出ているものの、依然として高止まりしている公債費などにより、結果として多額の収支不足が生じています。
 各市町村は、この収支不足を基金取り崩しにより対応せざるを得ない状況にあります。
 特に、財政調整的な基金である財政調整基金及び減債基金については、平成十七年度末の基金残高見込みの三分の一程度の取り崩しを余儀なくされるなど、財政状況は一段と厳しさが増しているといえます。
 県としましては、極めて厳しい財政状況にある県内市町村が、自立に向け徹底した行財政改革に取組み、そして、適切な財政運営を行っていくためには、中期財政計画を作成し、将来的な見込みも含め積極的に情報開示することが必要と考えております。
 ちなみに、平成十八年三月31日時点では二十団体が中期財政計画を作成しており、残りの一団体についても現在作成中です。また、中期財政計画の公表については、既に十七団体が実施しており、残りの団体についても公表することを求めております。
 今後とも、決算の状況などから県内市町村の財政状況の 一層の把握に努め、県内の市町村が財政再建団体に移行しないように、適時適切に中期財政計画や公債費負担適正計画の作成などに技術的助言を行ってまいります。
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 質問の第二は、指定管理者制度と県立図書館についてであります。
 最初に、指定管理者制度導入後の状況についてお尋ねします。
 様々な懸念なども抱えながら、全国の先頭を走るように県の諸機関に指定管理者制度が導入されて1年が経過しました。サービス効果など、現在までの状況をどのように総括されているのかお尋ね致します。
 導入に前後して職員給与の激減問題を抱えた機関においては、退職者が相次いだり、人間関係で問題が生ずるなどの不幸な話が伝わってきました。
 更に、指定期間が3年、5年となっていますが、指定期間の関係で、例えば家が建てられないとの嘆きや、ヘッドハンティングの恐れなどが語られるなど、職員のモチベーション維持について大丈夫だろうかと感じます。指定管理者職員のモチベーションに対する現状認識についてお尋ね致します。併せて、検討の課題と思われる指定期間の見直しについて、考え方をお尋ね致します。
 また、利益を出した指定管理者では、更新に際して競争相手があった場合、指定管理料が下がり、職員のやる気やサービスの低下について危惧するのですが、見解をお尋ね致します。
 各施設の運営状況については、指定管理者に対し、毎月業務報告を求め、利用者の要望への対応や入館者数などを、逐次把握しているところです。
 サービスの提供状況を見てみますと、指定管理者の努力により、全ての施設において、開館時間や予約受付時間の延長など弾力的な運営が行われる一方、利用者の声に応え、車いすの方に配慮した施設整備が行われるなど、きめ細やかな対応も行われているところです。
 こうした取組みの結果、しまね海洋館など集客施設全体の利用状況について、前年度に対する入館者数の増減率を比べてみますと、平成十六年度がマイナス10.6パーセントであったのに対し、制度導入を行った平成十七年度はマイナス1.9パーセントに止まっており、その下げ幅は大きく改善されています。
 また、産業交流会館や体育施設など貸出施設の利用率は増加または横ばいとなっています。
 この一年間の指定管理者の頑張りにより、集客施設・貸出施設ともに施設利用の向上が図られているものと考えております。
 次に指定管理者職員の勤務意欲と指定期間についてお答えします。 指定管理者制度は、コスト縮減やサービス向上を目的に「民間で出来ることは民間へ任せる」という観点から、広く民間企業等の参入を前提としています。
 従いまして、指定管理者のもとで働く職員の勤労意欲について、県として各指定管理者から特にうかがったことはございませんが、利用者アンケートにおいて、「職員の対応に好感が持てた」との回答が多く見られました。
 こうしたことから、職員の皆さんには日々意欲をもって取り組んでいただいているものと受け止めております。
 また、指定期間については、サービスの安定性や継続性を確保するために、一定の期間を設けることが必要であると考えています。
 この期間については、様々な考え方があるところであり、指定管理者制度の目的を踏まえつつ、利用者、指定管理者双方にとってメリットのある期間となるよう、関係者からも意見を伺いながら、更新時に向け検討してまいります。 最後に、更新時の指定管理料に関する考え方についてであります。
 指定管理者の選定にあたっては、いわゆる「安かろう悪かろう」といった事態を招くことのないよう、サービスとコストの審査ウェイトを同等に設定し、コスト面のみに着目した審査ではなく、安定した施設運営と期待されるサービスが実現可能なコストが提案されているか審査しております。
 また、指定管理料については、「基本的に精算は行わない」、「目標を上回る収入の増は指定管理者に還元する」仕組みとしており、指定管理者が経営努力により利益を出したとしても、更新時の指定管理料の算定の際に、単純にその利益を差し引くような制度とはなっておりません。
 次に、県立図書館への指定管理者導入についてお尋ねします。
 お隣のことを引き合いに出して恐縮ですが、鳥取県では、県民が情報過疎に甘んじなければならない現状から、人材育成や産業振興を図るには、必要なときに必要な情報にアクセスできる環境整備が必要不可欠との観点から、県立図書館こそその役割を担う中心拠点と位置付け、4年前、46歳の館長を抜擢したとのことです。その後、開かれた図書館を目指して様々な改革に取組み、全国に誇りうる図書館作りが進んでいます。予算の面でも資料購入費がわが県の3倍など、力の入れようが伝わってきます。
 県立図書館が担うべき役割と現状について、知事の所見をお尋ねします。
 現在の県立図書館は、県内最大の図書館として昭和四十三年十月に建設されました。それ以来、来館者への図書貸出や相談サービスをはじめ、図書や資料貸出により市町村図書館等の活動を支援してまいりました。
 もう一点の主要業務として、明治六年の島根県立松江書籍縦覧所以来、県内外に残る島根県に関する古文書等の郷土資料の収集・保存・解読をはじめ、市町村立図書館等で対応困難な専門書等、幅広い資料の収集・保存に努めてまいりました。こうした研究成果は、例えば、一昨年は収集した古地図の一部を館内で展示公開し、来館者の皆さんから好評を得たり、古文書を読む会の活動に活用してまいりました。
 この二つを主な県立図書館の機能として、図書館サービスを提供してまいりましたが、八市全市に図書館が設置されることになるなど、県内に三十二の公立図書館が整備される状況になってまいりました。
 今後は、市町村の図書館との機能分担や連携のあり方を整理し、他館とのインターネット検索システムを活用した情報提供サービスを拡充するなど、高度で課題解決に役立つ県民サービスの提供ができるよう努めてまいります。
 サービスの向上と経済的効果を求める指定管理者制度において、ややもすれば、人件費がこれだけ安くなり職員の対応もよくなった、おまけに職員の対応が良くなり来館者も増えたので良かったといった捉えかたをされがちではないかと思います。
 図書館、特に県立図書館が本来の役割を果たすには、非常に高い専門性と蓄積を必要としていると思います。安易な形で導入されるとすれば県民にとっては不幸です。
 県立図書館は、平成20年の指定管理者制度導入を目指すこととされています。検討の過程で注目されるこのような時こそ県立図書館のあるべき姿や、自己改革への取組みを発信し、県立図書館の姿を一人でも多くの県民に知ってもらい、利用者を増やす絶好のチャンスであると思います。
 県内の図書館関係者が固唾を呑んで見守っています。開かれた図書館作りに向けた自己改革への所見をお尋ね致します。
 まず、開かれた図書館づくりについてであります。
 県立図書館は県内全域を対象にした広域図書館として、県民の皆様のニーズに応えるため、一般図書や散逸のおそれのある県内の貴重な郷土資料、古文書等の収集を図るとともに、貴重資料のマイクロフィルム化やデータベース化、研究・整理を実施してまいりました。
 県立図書館は県内の公立図書館では最も早く設置され、その間収集した蔵書も県内随一であります。蔵書は「親子で絵本を読む会」や「古文書を読む会」など学習や歴史研究にあたって活用してまいりました。
 このほか開かれた図書館に向けては、図書館の膨大な蔵書を県民の皆さんに知っていただき、図書館に親しんでいただくため、普段は入室できない地下書庫などを見学する「図書館探検ツアー」も継続して取り組むこととしております。
 そして、「本を借りよう」という人だけでなく、「図書館で聞いてみよう」「司書に相談してみよう」と思われる図書館になるためのひとつとして「ビジネス・就業支援コーナー」を設置しております。
 これからはビジネス支援だけでなく、子育て支援、高齢者支援などの県民が日常生活で抱く様々な不安や課題解決に役立つ情報提供が的確に行えるよう調査相談機能の強化が必要であります。
 そのためには、職員のさらなる専門性とスキルを高め、より一層、県民の皆様にとって利用のしやすい、開かれた県立図書館となるよう努めてまいります。
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 質問の第三は、外国人労働者と移民問題についてであります。
 昨年の12月議会でも行い、重ねてで恐縮ですが取り上げさせていただきます。
 最初に、外国人労働者等の現状についてお尋ね致します。
 以前は見ることのなかった業種にも見られるようになるなど、外国人労働者が大きく増加している印象を受けています。研修生も含め、県内の外国人労働者の現状と外国人花嫁の現状についてお尋ね致します。
 また、受け入れ数が大きく増加しているように感じますが、その背景と増加していることに対する所見をお尋ね致します。合わせて、外国人研修生の人間性や働き方に対して、研修生を受け入れている企業の評価をお尋ねすると共に、外国人研修生が暮らす地域で地元住民との交流が乏しいように思いますが、その現状と、住民が外国人研修生をどのように評価しているのか、また、外国人花嫁問題をどう見ていらっしゃるのかお尋ね致します。
 治安問題等不安視される中で、自由民主党では、在留期間を5年に延長する法案提出の動きが固まってきたとのことです。在留期間延長に対するご所見をお尋ね致します。
 島根労働局の調べによると、本県の事業所に直接雇用されている外国人労働者数は、平成十年に454人であったものが平成十七年には1086人と、議員御指摘のとおり2.4倍に増加しています。
 内訳は、技能実習生が最も多く、ついで日系人となっています。また、出身地域別ではアジアと中南米、職種別では製造業の生産工程作業員がその殆どを占めています。
 外国人労働者が増えた背景としては、「技能実習制度」が導入されたことや、「出入国管理及び難民認定法」が改正され、日系人等が自由に職業を選択できるようになったことから、深夜労働や休日勤務、低賃金などの労働条件や、職務内容などにより、日本人労働者の確保が難しい雇用分野に技能実習生や日系人等の進出が進んだことが考えられます。
 また最近では、一時的な増産への対応に派遣会社からの外国人労働者を充てる事例も見られ、雇用の需給調整としての側面も窺えます。
 このように、多様な要因から生じる雇用のミスマッチを外国人労働者で補う状況があることから、外国人労働者は、本県の経済・産業活動の維持に一定の役割を果たしていると認識しております。しかしながら、本県の有効求人倍率が一倍を下回る中では、県自ら行う無料職業紹介や再就職カウンセリング等を通して、県内求職者の就労を促進する必要があると考えております。
 次に、在留期間の延長についてであります。
 現在、自民党の「外国人労働者問題に関する特別委員会」や政府の「経済財政諮問会議」等で、在留期間の延長を含む外国人労働者の受入れの見直しが議論されております。
在留期間の延長は、受け入れの拡大につながるものであることから、例えば、「高度人材」「単純労働者」といった受け入れの対象別に考える必要があるなど、在留管理の体制整備と併せて慎重に検討すべきものと考えております。
 いわゆる「外国人花嫁」については、統計データがありませんので、出身地域を含めて実態を把握することは極めて困難であります。
 外国人花嫁に対する考え方でありますが、基本的には婚姻は、個人の選択に委ねるべき問題であると考えておりますが、いずれにしても地域社会の構成員として、疎外されずに暮らすことのできる地域づくりを進める必要があると考えております。


 外国人研修生につきましては、企業からは、総じて真面目で熱心という評価を得ているようです。
 また、地域住民との交流の現状や住民の研修生に対する評価ですが、地域の祭りに参加したり、近所の人に料理をふるまうなど交流を深めている事例もある一方で、昨年度島根県が実施した「島根県在住外国人実態調査報告書」によると、日本人との付き合いの程度を聞いた設問で、「特に付き合いはない」という回答があり、交流が少ない状況もうかがわれます。
 次に、移民受け入れの現場になりそうな部分の現状認識と、移民受け入れを検討することについてお尋ね致します。
 最近宍道町の里を歩く機会がありました。たまたま、田んぼは誰が作っているか聞いた4軒全てが、隣部落や隣町の人、集落営農に支えられ、誰一人自力でやっていません。
 その支えても、全て60歳以上。目にした草刈をする人は、65歳、72歳、そして恐らく62,3歳の3人。その他、畑だけのお宅2軒、田んぼを持つお宅4軒も、後をやる意識のありそうな後継者を持つ家は1軒のみでした。10年後、この地域の農地はどのようになるのでしょうか。
 尋ねた美郷町と金城町のある集落営農も10年後の後継者には極めて悲観的でした。中山間地の農業後継者問題について、本当に10年後20年後も農地は守れるのでしょうか。
 また、隠岐の産婦人科医問題に象徴される県内の医師不足問題について、確保に向けて必死の取組みをしていただいていますが、いくつかの構造的要因が指摘されています。将来的に産婦人科医、小児科医等が本当に充足でき、離島や中山間地の住民の命が守れるのでしょうか。
 それぞれ、ご所見をお尋ね致します。
 石見地方のあるIT関連企業では、企業側の求める人材像と求職する側のギャップがあり、結局外国人労働者で埋めざるを得ないと聞きました。雇用のミスマッチを外国人労働者が埋める実情についてご所見をお尋ね致します。
 中山間地域においては、過疎化、高齢化が著しく進展しており、現在農業を行っている方々の取組みを受け継ぎ、継続的に安定した経営を展開できる担い手を確保することが重要となっております。
 御指摘のありました外国人労働者が、集落の中で、地域農業の後継者となり、積極的な経営を行う担い手となることは、在留期間が限られていること等に鑑み、現実的には想定しにくいのではないかと考えております。
 中山間地域の農業後継者の確保は、容易な問題ではありませんが、まずは、集落の中で、今後の農業のあり方を充分に話し合い、営農の組織化や既存集落組織の広域化、法人化など、地域ぐるみの新たな担い手づくりを検討していただくことが重要であり、県、市町村、JA等の関係機関が一体となって、この取組みを支援していくことが必要であると考えております。
 次に移民の受け入れと医師不足への取り組みについてであります。
 県民の皆様が、安心して医療を受けられることは、生活の基本であり、離島や中山間地域の医師不足や産婦人科、小児科など特定診療科における医師不足が、定住条件をおびやかすことがあってはならないと考えています。
 そのため、県は、今年度から設置した医師確保対策室を中心こ、即戦力となる医師を確保するため、島根大学を卒業した医師への働きかけや県人会を通しての情報収集などを精力的に行うとともに、島根大学との連携を強化し、安定的に医師の養成や派遣がなされる仕組みづくりにも取り組んでいます。
 併せて、私自らも、国への重点要望や日本産科婦人科学会へ直接出向き、抜本的な医師確保対策の実現を強力に働きかけているところです。
 知事は、昨年の議会で国民の文化的同一性が高い我が国にとっては、「国」 のあり方にも関わることであり、多角的な観点から、国において慎重に検討されるべきことと考えていると答弁を頂きました。 
 知事の答弁はよく理解できるところですが、本当に国の検討を待っているだけでいいのでしょうか。
 滋賀県では、中国人花嫁による二人の幼児殺害という痛ましい事件がありました。受け皿が未整備のまま、一方で、様々な形でなし崩し的と思えるほど外国人労働者の受け入れが増え続けています。世界のグローバル化は一層の外国人労働者の流入を予感させます。
 この移民問題・外国人労働者受け入れをもう一つの目的に、多民族国家・シンガポールでの調査活動を行いましたが、意見交換した4人の日本人は、いずれも避けて通ることはできず、真剣に検討すべき課題と言っていました。
 例に挙げた県内における後継者や人材確保が将来的におぼつかなくなるとすれば、課題の整理や県民意識の調査や啓発、国への提言なども含めて検討して行く必要があると思います。改めて知事のご所見をお尋ね致します。
 ご提案の移民の受け入れにつきましては、医師免許の国際化が図られていない中で、外国人医師が日本で医師として働くためには、日本の医師免許を取得する必要があります。加えて、ことばの壁や出身国との医療に対する考え方の違いなど様々な課題があり、外国人医師が、日本の医療現場で、医師として働くことはなかなか容易ではないと考えています。
 一方、既に日本の医師免許を持つ外国人医師については、在留資格に関する就労制限が今春から撤廃され、規制緩和が図られつつあるところです。こうした流れの中で、今後、外国人医師をより受け入れやすくするためには、医師免許の国際化などさらに踏み込んだ議論が必要であると考えていますが、私としては、各国の医療水準や長期的な医師の需給見通しなど充分に見極めなければならない課題もあり、国において様々な角度から慎重に検討されるべきことと考えます。
次に、移民の受け入れについてであります。
 移民の受け入れは、その影響が極めて大きいことから、国民的な議論を重ねつつ、多角的な観点から国家レベルの課題として慎重に検討されるべきものと認識しております。
 県としましては、在留外国人の現状把握や関係機関との連携に努めるとともに、在留外国人が同じ地域の構成員として社会生活を送ることができるよう、県民意識の啓発や外国人への総合的な生活支援に努めてまいります。
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 質問の第四は、就業環境の整備についてであります。
 最初に、いわゆるニートを取り巻く問題ついてお尋ね致します。
 2月議会で取り上げたことが引っかかっていましたので、「ニートと言うな!」を手にしました。
 そこには、一般的に使われるニートという用語が、明確な現状認識と分析がされないまま使われていることから、認識と対策を矮小化させてしまっていると指摘しています。
 私も、ニートが激増し、困ったものだという意識でしたが、イメージとして持っていた、引きこもりや犯罪親和層などの全く働く意思のない層、そして、今仕事に着きたいと思っていない「非希望型」は、この10年人数が変わっていないと分析しています。
 激増しているのは、いわゆるニートでくくられる中で、働く意思はあるが今求職活動をしていない「非求職型」であり、ニートの外の層といわれる失業者とフリーターだと分析し、特に、この層への対策が必要だとしています。
 そこで質問ですが、ニート問題への問題提議に対する認識についてお尋ね致します。
 島根県就職支援機構の調査を見ると、「正社員」とパート・フリーター・派遣社員との賃金や身分格差を問題視する意見がとても多くあります。社会的にこの格差を是正する取組みこそが、ニート・フリーター対策のホシではないかと思います。県内の状況をどのように考えているのか、今後の取組みの考え方も合わせてお尋ね致します。
 いわゆるニートとは、「働いておらず、教育も訓練も受けておらず、求職活動もしていない」状況の若者と捉えられていますが、その中には、「全く働く意思のない」者や、「働く意志はあるが、今は求職活動していない」者が含まれています。
 ニートになる理由としては、厳しい雇用情勢などの環境的要因によるものと、「働く目的や意味を見いだせない」など個人的要因によるものがあります。
 このように、ニートは様々な若者を包含していますので、実態に即した対応が必要であると考えています。
 次に、ニートの県内の状況並びに今後の取組みの考え方についてであります。
 ニートの県内の人数については、独立行政法人労働政策研究・研修機構の資料によりますと、平成十四年で約三千四百人となっています。
県としましては、ニートの実態に即した対応について、関係各部局が連携し、検討することにしております。
就労意欲が低い若者の現状認識についてお答えします。
 高校生の半数、大学生で四割近くが就職後三年で退職している現状や、ハローワークから、「職業紹介しても長続きしない」、「企業を紹介しても連絡なしに面接に行かない」などの情報もあり、企業経営者からは、これらの傾向を就労意欲の低さと指摘する声もあります。
 この現状は、少子・高齢化が急速に進む本県にとりまして、今後の産業人材を確保する上から憂慮すべきことと認識しております。
 次に、少子化と就業・雇用環境についてお尋ね致します。
 岡山で仕事をしていた知り合いの娘さんが、7月に結婚することになり挨拶に来ました。お子さんはと聞きますと、なるべく早く欲しいけれども共働きでないと無理ですが、求人票に育児休業制度を記載している企業がありませんと嘆き、就職の困難さを話していました。ポルトガル語を独学でマスターするほどのキャリアの持ち主ですが、そんなことは役に立ちません。
 また、2歳の子どもを抱え、10月に出産を控えた証券会社に勤務する女性は、最初の時は支店長が当然の権利だからと快く育児休業を許可してくれたが、今回は、帰ってもポストがないよと言われ「20年も勤めてきたのに」と途方にくれていました。
 法で制度化されていても現実に機能していない現実があると思います。
 今月初め、1.25ショックが全国を襲いました。本県は、全国平均を上回る0.08の下落幅でしたが、それでも1.40の出生率。
 経済的支援や子育て支援策の充実も、一向に歯止めにならない現実にショックもありますが、当然だろうと思います。
 先程、格差是正の話をしましたが、結婚できるのはできちゃった婚か、年収500万円以上、結婚できても就業環境は厳しいは、雇用環境も厳しく、小さい子どもを抱えているとまともな職業にはつけない現実。その上、女性の民間企業平均賃金は男の7割。
 出生率の回復には、格差を是正し、働き方をしっかり支援する必要があると思いますがいかがでしょうか。育児休業取得環境等の現状認識と改善に向けた取組みの考え方、多様な働き方を保証できるような、雇用環境の改善にむけての考え方をお尋ね致します。
 「働き方の支援」、言い換えれば「仕事と家庭の両立支援」については、「子育て環境づくり」、結婚や就職などの「ライフプラン応援」とともに、少子化対策の大きな柱として取り上げています。
 子育て中の労働者を支える施策については、育児休業や育児時間等の制度は充実してきましたが、県が実施した意識や実態に関する調査結果によりますと、取得できない職場の雰囲気があることや、同僚に迷惑がかかることなどから、出産を控えたり、出産を機に退職する場合も多く、制度が十分に活用されていない状況が見受けられます。
 この背景には、仕事優先の職場風土があることや、全国に比べて従業員規模の小さな企業が大半を占める本県の実情から、制度利用に対応した人員等の体制が未整備であること、さらには、行政が行ってきた意識啓発や施策が、十分な効果を発揮し得ていなかったことなどが挙げられます。
 従いまして、今後は、意識啓発と体制整備の両面から、国とも連携を図りながら、取組みを進めていく必要があると考えています。
 まず、意識啓発につきましては、経営者に対して、少子化の現状や対応、企業に求められる役割等についてご理解いただき、地域の子育て支援への企業の関わり方や、家族や家庭を大切にするライフスタイルへの転換、出産や子どもの成長に合わせた多様な働き方の創出等について、あらゆる機会を通じて啓発していきたいと考えています。
 また、雇用環境の改善につながる効果的な施策については、国の施策も活用しながら、子育てに対応した職場環境づくりを推進していきたいと考えています。
 次に、キャリア教育についてお尋ね致します。
 就職支援機構が行ったパート・フリーターへの意識調査でも、収入は少なくても自由に働くほうがいいという意識の若者が相当数に上っています。
 先日、あるお宅で、今年工業高校を卒業しながら働いていない青年に会いました。働く意思を持っている全く普通の青年です。また、サービス業をリストラされたが、職安への交通手段が劣悪なため、求職活動をしていない若者もいました。
 アルバイトをしながら祖母に大きな車を買ってもらって乗り回している若者に、収入はいくらかと尋ねたところ8万円と答え、これ以上無理して働きたくないと言ったのは典型でしょうか。
 先日、委員会で松江商業高校を訪問した際、先輩達の出前講座が生徒達に好評だとお聞きしました。生徒達の感想を読ませていただき、大きな効果を感じました。
 近年、中学校でも職場体験活動への取組みが増え、高校でもそうした動きが広がっています。
 しかし、松江商業の生徒達と話をして、小中学校で職業観を育てる教育の充実の必要性を痛感しました。高校入学や大学入学には一定の意識を持って進学させなければ、就労意識の低い若者を拡大再生産することになるのではないかと心配です。
 就労意欲が低い若者の現状についてどのように認識しているのか、小学校、中学校、高校を通じたキャリア教育についてのご所見をお尋ね致します。
 現代社会において、フリーターやニートの増加が問題となるとともに、個人投資家が株取引により巨額の利益を得ていることが、マスコミでさかんに報道されております。
 私としては、学校教育において、児童生徒に対し、自らの体を動かし、汗を流して働くことの尊さを教えていくことが大切であると考えております。
 これまでも、小学校においては、様々な職場見学や、農業や商業の学習などを実施するとともに、中学校及び高等学校では、職場体験あるいはインターンシップや、経営者・技術者による講演等を実施しております。 また、ふるさと教育でも、小・中学校において様々なものづくり体験が実施されており、こうした取り組みも、キャリア教育の一環であると考えております。
 これらに加え、現在、大田市仁摩地域において「キャリア教育推進地域指定事業」 を実施する中で、小・中・高を通じたキャリア教育や、学校・家庭・地域が一体となったキャリア教育について研究を進めているところであります。
 今後とも、これらの施策を通じて、コミュニケーション能力や、自らの考えをまとめ実行する能力などを養いつつ、勤労観や職業観を育むため、キャリア教育の一層の充実に努めてまいります。
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 質問の第五は、介護保険法改正についてであります。
 介護保険法改正によって地域包括支援センターの役割が重要になっていますが、本来の役割が果たせるのかという疑問の声を聞きます。特に、小規模保険者では人の配置も含めて大変な事態が予想されると聞きますが、実態と今後の対応についてお尋ね致します。
 次に、今回の改正の目玉とも言える介護予防についてでありますが、実効性あるものにしていくためには、保険者の行う地域支援事業への取組みが重要です。特に、対象者をどう参加させるかが鍵になると思いますが、市町村の取組状況と県の役割と考え方についてお尋ね致します。
 介護保険法改正や医療関連法改正において、考え方の大きな柱の一つが健康づくりだと思います。わが県では、健康長寿しまねや8020運動の推進など、健康づくりに取組んできましたが、その成果と充実に向けた今後の考え方についてお尋ね致します。
 次に、地域包括支援センターについてお答えします。
 地域包括支援センターは、介護保険制度改革に伴って新たに創設され、介護保険給付の対象とならない方に対する介護予防のためのプランの作成や高齢者の総合相談、権利擁護等を行う機関です。
 加えて、要支援一・二に認定された方の予防給付ケアプランの作成業務もあわせて行うものとされています。
 このうち、予防給付ケアプラン作成業務については、居宅介護支援事業所へ外部委託することができるとされていましたが、本年一 月末に決定された介護報酬改定における業務委託基準では、外部委託できる件数が大幅に制限されることとなりました。
 このため、予防給付ケアプランの約六割程度を地域包括支援センター自らで対応していく必要が生じ、この制限が適用される本年十月以降、円滑な業務実施ができるかどうか懸念される事態が生じています。
 一部の保険者では既にセンター職員の増員を決定したところもありますが、未だ多くの保険者は対応に苦慮しており、県にもたくさんの相談が寄せられています。
 予防重視型介護保険制度への転換を図るために、地域包括支援センターは極めて大きな役割を担っており、ケアプランの作成が円滑に行われないために、サービスの受給に支障が出ることは、あってはならないことであります。
 このため、委託限度の基準の緩和や適用の延期について、これまで国に対して直接要望してきましたが、先日、国が招集した都道府県・保険者担当者会議でも重ねて要望し、強く働きかけたところです。
 また、近く中国・四国民生主管部長会議が松江で開催されますが、ここでの議題としてとりあげ、中四国各県の総意としてこの問題へ の適切な対応を国に求める予定です。
 更に、県独自にも、例えば、居宅介護支援事業所から地域包括支援センターヘ職員の応援態勢がとれないかなどあらゆる解決手法を探ってまいります。
 次に、地域支援事業についてお答えします。
 この事業は、今回の介護保険制度改革で、介護予防を重視する観点から、従来の「介護予防・地域支え合い事業」、本県で言う「高齢者丸ごと安心生活サポート事業」と「老人保健事業」 の一部を組み替え、拡充強化したものです。
 具体的には、健康診断等で要介護状態になるおそれのある高齢者を把握すること、そういった方への運動機能向上のための軽いトレーニングや栄養改善指導等を内容とする「介護予防事業」介護予防ケアマネジメントや、総合相談、権利擁護事業などを行う「包括的支援事業」家族介護支援など保険者の裁量で法の趣旨に則って組み立てる「任意事業」を内容とするものであり、この四月から、各市町村において様々な工夫を凝らしながら取り組まれています。
 例えば、松江市では、かかりつけ医や歯科医師等と連携を図って、より多くの要介護状態になるおそれのある高齢者を早期に把握し、個々の状態に応じた介護予防メニューの組合せによる効果的な実施が図られています。
 また、雲南市では、高齢者が参加しやすい環境づくりを進めるため、市内二十九もの会場で「はつらつデイサービス事業」 が展開されています。
 このように、本事業の主眼である介護予防が円滑に実施されるためには、対象者をきめ細かく把握することや、高齢者を地域で支える環境作りをすること、また、対象者が参加しやすいよう身近なところで事業が提供される体制づくりなどが重要なポイントと考えております。
 このため、県といたしましては、こうした先進的な取組みについて情報提供するとともに、県自身も、新たに県介護予防評価支援委員会を設置し、市町村が、提供した介護予防サービスを自ら分析・評価し、一層効果的な事業展開ができるような手法を提示するなど、専門性を生かした支援を行って参りたいと考えております。
 次に、健康長寿しまねや8020運動の推進についてであります。
 健康長寿しまね推進計画は、昨年中間年を迎え、脳卒中・がん等の死亡率の減少、糖尿病等の生活習慣病の予防、8020の達成状況について、中間評価を行ったところです。
 その結果、脳卒中・心臓病・胃がんの年齢調整死亡率(高齢化の進行を補正した死亡率)は約二割、肺がんも約一割減少しました。喫煙率は男性で三割低下、野菜摂取量は男女とも増加しました。歯科では八十歳の人の残存歯(残っている歯)が平均三本増加、壮年期の歯周病有病者数も約二割減少するなどの成果が見られました。一方、糖尿病有病者の増加、肥満者の増加、運動習慣のある人の減少など、生活習慣病に結びつく課題も明らかになりました。 今回の中間評価で得られた結果につきましては、県のホームページ等により県民の皆様に公表するとともに、明らかになった課題については、早急に対策を講じることが必要と考えております。特に、有病率の高い糖尿病については、昨年度、県医師会と共同で「島根県糖尿病予防・管理指針」を策定いたしましたが、すでにこれを活用して糖尿病の予防、適正治療の取り組みを進めているところです。
 折しも、今般の医療制度改革において、各医療保険者に内臓脂肪症候群、いわゆるメタボリックシンドロームに着目した健診・保健指導が新たに義務づけられ、国をあげて糖尿病等の生活習慣病予防対策の強化に取り組むこととなりました。
 本県におきましても、昨年設置した保険者協議会、地域・職域連携推進協議会の場を通じて、生活習慣病対策の一層の強化に取り組んでいきます。
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 質問の第六は、認定子ども園についてであります。
 今年度から制度施行される「認定子ども園」制度ですが、対象者、特に0歳から2歳児の扱いについて、現場で考え方を巡って混乱が起きているようです。県のご見解をお尋ね致します。
 次に、保育所、幼稚園で行われてきた乳幼児への対応から、幼保園が設置されるようになり、今回「認定子ども園」制度が発足したわけですが、子ども園設置によって利用者にどのような利点が生まれるのか、子育て支援にどう貢献すると考えているのかお尋ね致します。
 また、全国1000箇所設置と言われる中での県内の動向と、認定子ども園に対する基本的な取組みの考え方をお尋ね致します。
 まず、認定こども園の認定要件において誤解を生じやすい0歳児から2歳児の扱いについてお答えします。
 認定こども園は、三歳以上の子どもを対象とした幼稚園と0歳からの子どもを対象とした保育所という制度の上に新たな機能を付加して、小学校就学前の子どもに対する教育と保育、保護者に対する子育て支援を総合的に提供するものです。
 従って、認定こども園における0歳から二歳児の受入の可否は、認定を受ける主体が幼稚園か保育所かで異なり、主体が幼稚園の場合は、認可外を含めた保育所を併設する場合を除いて三歳以上児が受入対象となり、保育所の場合は、0歳児からが受入の対象となります。
 この制度につきましては、法が成立したばかりであり、十分な説明の機会が持たれていないことから、関係者を始め県民に十分理解されていないと認識しています。
 県としましては、これまでも関係者の皆さんに情報を提供するよう努めておりますが、今後は、より一層、この制度の理解が深まり、誤解や混乱が起きないように丁寧な説明や情報提供を行いたいと考えています。
 二点目は、認定こども園設置による利用者の利点などについてであります。
 認定こども園は、家庭で保育を受けることが出来る子どもも、出来ない子どもも受け入れて、教育と保育を一体的に提供するものであり、子どもの家庭環境の違いに関係なく教育と保育が適切に提供されることとなります。
 例えば、保育所に入所している子どもの場合、親が仕事を辞め保育できる状態になれば、保育所を退所せざるを得ませんが、この認定こども園であれば、幼稚園機能の中で同じ施設に継続して通うことが可能となります。逆に、幼稚園に通っている子どもの場合、親の就職により長時間の保育が必要な状態になっても、保育所に転園することなく継続して幼稚園での保育を受けることが可能になるなどの利点があります。
 また、認定こども園には、地域の子育て支援の実施が義務づけられていますので、一時的な保育の実施や保護者からの相談への対応など在宅で子育てをしている家庭への支援が拡充されるものと考えています。
 三点目は、認定こども園の県内の動向などについてであります。
 公立保育所を所管する市町村、公立幼稚園を所管する市町村教育委員会、私立の幼稚園と保育所及び認可外保育所二百四十人ヶ所の施設等に対して、五月に認定に関する意向についてのアンケートを実施しました。
 現時点では、百五十二ヶ所からの回答のうち、二十一ヶ所から認定を受ける計画があるとの回答がありました。また、計画がないとしたものが六十五ヶ所、未定が六十六ヶ所となっています。
 なお、制度が十分周知されていない中での調査であることから、今後、制度の理解が進み、認定基準が明らかになっていけば、認定に対する施設側のニーズが変化することも予想されます。
 当面は、本県の実情を踏まえた認定基準を設定するため、制度についての周知を図るとともに、認定基準の内容について関係者から幅広く意見を募りたいと考えています。
 また、認定基準設定の後は、認定こども園には先ほど申し上げましたようなメリットがありますので、関係施設の設置者等に、的確に情報を提供し、制度の普及を図りたいと考えています。
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 質問の第七は、靖国問題と歴史認識についてであります。
 通常国会も終わり、いよいよ次の重要な政治日程は自民党総裁選挙に移ることになります。ある政治学者は、総裁選挙の最大の論点は靖国問題、論議の半分以上の時間が費やされると予想していました。
 先日読んだ本に、靖国の本質を「悲しみから喜びへ、感情の錬金術をほどこす装置」であり、戦没者の英霊化を最大限に推し進め、新たな戦争への国民動員に巧みに利用してきたとし、それは、靖国参拝を批判する中国・韓国にも、ナチスドイツにも、米英にも存在してきたと書かれていました。こうした「英霊祭祀」本質論に対する知事のご所見をお尋ね致します。
 我が国は、第二次世界大戦において、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与え、世界で唯一の原爆被爆を経て敗戦を迎えました。
 戦争の道を歩む中で、当時の靖国神社は、国のために戦い、心ならずも命を落とされた人々を祷るとともに、国民の戦意を高める役割をも担っていたものとえております。
 翻って、戦後、我が国は世界平和を希求する国家として生まれかわりました。
 私は、今日の我が国の平和と繁栄の礎となられた戦没者の方々に、感謝と慰霊の祈りを捧げ、平和の大切さに思いを致すことは、日本人として自然なことであり、そうした気持ちから靖国神社を参拝される国民も多いものと考えます。
 読売新聞社主の渡辺恒雄氏が、総裁候補である安部官房長官に「靖国には参拝するな、市場原理主義者は閣内に入れるな」と注文をつけたと発言しています。また、「論座」では、わが国の戦争責任について歴史検証すべきである、国会に戦争責任検証常任委員会を設置してはどうかと発言しています。
 渡辺氏の戦争責任と歴史検証発言に対する知事のご所見をお尋ね致します。
 読売新聞グループの渡辺会長の発言については、我が国が将来に向けて、より望ましい道を志向するためには、戦争責任について検証することが重要であるとの考えを示すとともに、時の為政者は靖国神社への参拝は控えるべきとの個人としての意見を述べられたものと思います。
 先日、シンガポールに住む友人が、家のすぐ近くに戦争記念館が開館し、見て嫌悪感を持ったとメールで知らせてきました。その後、友人に取材してもらい、「戦時中、日本とシンガポールが調印式を行った場所だから、二度とあのような戦争がないよう、皆が忘れる事のないよう残しておきたいとの思いからで、反日感情をあおるようなものではないと思う」と友人が言っていたという返事を貰いました。
 リー・クアンユーは著書の中で「自らの暗い過去を直視し、積極的に償っていこうとするドイツ人とは違い、どうも日本の指導者は、過去というものは世代が変わるにつれて忘れ去られるものであり、日本軍の戦時中の行為にまつわる話は、ほこりにまみれた記録の中に埋もれていくのだと思い込んでいるふしがあります」と書いています。
 「親日国家」と思っていたシンガポールの新しい戦争記念館が、反日感情をあおるものでないこと、アジア諸国に日本への不審の念が広がらないことを祈る思いです。知事に所感があればお尋ね致します。
 シンガポールにおける戦争記念館の設置についての詳細は承知しておりませんが、歴史の事実を風化させることなく正しく認識し、戦争のない民主的で平和な国際社会を築くための努力は、いずれの国においても大切なことであると考えます。
 我が国は、戦後一貫して、決して武力に頼ることなく、いかなる問題も平和的に解決する立場を堅持してきました。これは世界に誇るべきことであり、今後とも平和を愛する国家として、国際協調に力を尽くすとともに、こうした我が国の姿勢を理解してもらうための外交努力を切に望むものであります。
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 現行制度では、外国人を農業後継者や医師として受け入れるのは、難しいことは解るが、農業や医療の担い手不足の厳しい現状を考えれば、将来に向けて研究とか、国に制度改正への働きかけをしていく必要があると考えるが如何か。
 島根県で医師や農業後継者となって頑張りたいという意識を持った外国の方が出てくれぱ有意義なことであり、国の制度などのあり方について、十分に検討を要することと考える。
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