質問の第一は、三位一体改革とわが県の対応についてであります。
先日、三位一体改革を柱とする「経済財政運営と構造改革の基本方針」(骨太の方針第三弾)が閣議決定されました。
昨年6月発表された小泉総理の骨太第2弾以来、今日までいわゆる三位一体改革で大変な議論が行われてまいりました。この改革は、真に地方の分権型社会形成のための三位一体改革でなくてはならないと思っております。「経済財政運営と構造改革の基本方針」の閣議決定を受け、何点か知事のご所見を伺いたいと思います。
国庫補助負担金については、概ね4兆円程度を目途に廃止、縮減等の改革を行うこととされており、その際の税源移譲については補助金の性格などを勘案して8割程度を目安に、義務的な事業については効率化を図った上でその所要の全額を移譲するとされています。
またその税源移譲は基幹税の充実を基本に行うとされています。タバコ税や酒税などが言われていただけに基幹税の言葉は良とするものですが、具体的な税目は工程表に明記されていません。所得税から個人住民税への移譲はもちろん消費税から地方消費税への税源移譲が重要なポイントと考えます。ぜひとも国に対して引き続き強く要望していただきたいと思いますが如何でしょうか。
また、義務的な事業とは何なのか判然としないのであります。場合によっては生活保護に係る給付費まで削減される可能性も否定できません。知事におかれましては、直ちに国庫補助負担金等整理合理化方針なるものを確認され、必要な事業は義務的なものとされるよう強く国に対して要望していただきたいと思いますが如何でしょうか。
本県では財政健全化に取り組まれていますが、さらに厳しい状況を踏まえて、先頃発表された中期財政見通しでは一段の下方修正をされました。骨太の方針第三弾が推し進められようとする改革の流れの中で、本県としてもさらなる合理化に取り組む必要性など、わが県の財政健全化計画との整合に対する見解をお尋ねいたします。
さらに、三位一体改革で常に云われてきた国税:地方税=1:1という目標はどこかに消えてしまったのですが、真の分権型社会実現のために改めて強く国に働きかけるお考えがあるのかお尋ねいたします。 |
「三位一体の改革」に関する本県の対応についてであります。
「三位一体の改革」は、地方分権の理念を具体化するため、国から地方への税源移譲を基本とした地方税財政基盤の確立を目指すものであります。
今回の方針は、関係省庁の意見が対立する中一で、小泉総理大臣の裁断によって税源移譲を断行し、基幹税の充実を基本として行うとされていることなど、「三位一体の改革」を一歩前進させるものと評価しております。
しかしながら、廃止・縮減する国庫補助負担金の内容や、これに対床した必要額が確実に税源移譲されるかどうかなど、今後各年度の予算編成過程に検討が委ねられている部分もあるところです。
国庫補助負担金が廃止・縮減されても、引き続き地方が実施すべき事業については、地方への負担転嫁とならないよう、必要額が税源移譲されることが当然であります。また、移譲税目についても税源の偏在性が少なく、安定した税収が見込まれるという点で消費税の移譲が必要と考えております。
今後、具体策に向けた政府の検討作業を注視し、こうした点や地方分権をより進めるための更なる税源移譲について、全国知事会や中国知事会とも連携して強く要望してまいります。
また、今回の改革による本県への影響は現時点では不透明でありますが、「三位一体の改革」においては、地方にとってもより一層の効率化が求められることとなります。
先般公表した中期財政見通しにおいては、昨年公表された地方財政計画規模の計画的な抑制の方針も一定程度反映しているところでありますが、このような状況も踏まえ、あらゆる事業について聖域なき見直しを行うなど、財政健全化に向けた取り組みを強力に推進してまいります。 |
もとへ |
質問の第二は、財政健全化と歴史民族博物館建設についてであります。
先の県知事選挙において、多くの県民の支持によって5期目の県政を担当されることになり、懸案であった両事業について、歴博は規模の見直しをした上で予定通り建設、古文研については、財政健全化の推移を見て判断を下すこととされ、当分の間延期の決断をされました。
財政健全化論議の中で、歴博、古文研のみを論議すればいいというものではありませんが、象徴とも言えるこの問題への対応が職員の士気に、県民の信頼感に大きな影響を及ぼすのではないかと考えますし、わが県の将来を考えた時、もっと大胆にソフト重視へと軸足を移す必要があるのではないかとの思いで、あえてこの問題に絞って取り上げます。
私もこの度の統一地方選挙を戦い、多くの県民の皆様と意見交換いたしました。また、この半年あまりの間、やはり多くの県職員とも胸襟を開いて語りました。私が聞いた、歴博、古文研に対する意見の圧倒的多数は「財政健全化の中でなぜ今ハコ物建設か」というものでした。勿論不要とする意見はありませんが。
この歴博建設と起債償還にかかる一般財源については、見直された総事業費126億円の内一般財源23億円、起債償還は据置3年、償還にかかる一般財源からの持ち出しは2.5億円とのことであります。
また、管理運営費が483百万円、年間利用料収入見込みが1億円とのことですので、383百万円の持ち出しで、償還にかかる2.5億円と合わせて、一般財源から633百万円が毎年支出されることになります。
実は、この数字を出してもらうのに4日間かかりました。ペーパー1枚の書類で、担当してくれた職員が何回も催促した上であります。
この厳しい財政状況の中でありますので、建設を決定された政策企画会議の中では当然費用対効果・行政評価も含めての論議があったと思います。もちろんその理由の説明は先日伺ったのですが、先ほどの数字がすぐに出てこない実情を見ると本当に突っ込んだ論議がなされたのかという疑念を持つのであります。
また、今議会には、保育料の軽減対策が補正予算の目玉の一つとして計上されています。知事は、“子育てするなら島根がいちばん”日本一の子育て環境を目指すと言ってこられましたが、歴博建設決定の一方では保育料の軽減対策も当初の考えから相当後退したように聞いています。
知事は、所信表明の中で、観光産業にも多大な波及効果を及ぼし、地域振興の起爆剤になるものと確信している旨述べられました。
私は、観光振興のためには、箱物を並べればこと足れりというのではなく、他にも優先して力を入れなければならないことがたくさんあるように思います。宍道湖北岸にできたティファニー美術館、フォーゲルパークも開館からの時間経過とともに入場者数も減少している現実もあります。
観光産業にも多大な波及効果を及ぼしとされた“波及効果” について、入り込み数への効果、経済波及効果における想定されている数字をお示しください。また、費用対効果・行政評価についての見解をお尋ね致します。
次に、歴博建設決定は各施策を総合的に評価検討された結果であろうと考えますが、歴博の優先度についてご見解をお尋ねいたします。 |
入館者数につきましては、他県類似施設の例を基礎に試算して、平年ベースで年間約二十万人と見込んでおり、このうちの半数が観光客数として新たに増加する数と試算しております。
費用対効果につきましては、維持管理費と借入金の償還にか中る一般財源への負担額六億円余に対し、観光入り込み客数の増により、約35億円の生産誘発額が発生するとの試算が可能であります。
このような、経済的な面だけでなく、県民が郷土への誇りの気持ちを新たにできること、明目の島根を担う子供たちの心の中に、郷土を愛する気持ちを醸成できることなど、無形の資産の形成においても、将来につながる極めて大きなものがあり、投資に見合う効果は十分生まれてくるものと考えております。
博物館の行政評価につきましては、入館者数が基本となりますが、リピート率や満足度も重要な指標と考えております。
従って、貴重な資源を新たな視点から掘り起こした魅力ある展示や高いホスピタリティーなど、何よりもまず、利用者から高い評価をえられる博物館を目指してまいります。 |
また、知事は政策企画会議の中で「歴博は中止すべきとか、先送りすべきという論議は出ていない」と記者会見でおっしゃったと聞いていますが、職員との意見交換を振り返ってみたとき、本当にそのような論議がなかったとすれば、政策企画会議は機能しているのか、必要なのかという素朴な疑問を感じるのですが、ご見解を賜りたいと思います。
次に、古文研建設についてであります。
松浦松江市長は、06年度着工は副知事との約束であると本会議での答弁の中で明言されたと報道されています。07年には基金が枯渇するとの見通しの中でありますが、新しい建物の整備は延期しますと述べられた古文研建設についてご見解をお尋ねいたします。
一般県民と県行政を支える県職員が心から納得できるご答弁を期待いたします。 |
政策企画会議における歴史民俗博物館や古代文化研究センターを巡る一連の審議に関する御質問についてであります。
これまでも申し上げましたように、審議の過程では、個別事業について、基本政策との関連性、県民生活への貢献度や県民ニーズ、緊急性の三つ判断基準のほか、これまでの経緯や財政に与える影響、さらには代替手段の有無などの観点から議論しました。
そして、議論を進めるなかで、まず、歴史民俗博物館については、本県で大量出土した銅剣銅鐸等の青銅器文化財が、本県のみが有する古代文化の貴重な財産であり、これをきちんと保存展示することが緊急の課題であること。また先人の足跡を具体的に表現、展示することにより、島根の誇りとして広く国内外へ強く訴えることできるものとなることから、厳しい財政状況の中にあっても優先して取り組まなければならない事業の一つとして、規模は縮小するものの予定どおり建設することで共通の理解を得たところであります。
古代文化研究センターについては、古代文化センターなど既存施設で調査研究機能を代替できることから、新たな施設の建設は当面凍結し、財政健全化の取り組みの成果を見極める必要があるとの方向性で一致しました。
これらの審議状況やこれまでお聞きした県民の方々の声などを踏まえ、最終的には、私の信念と責任で料施設に関する方針を決定したものであります。
政策会議の意義についてでありますが、これまでの6回にわたる会議で、総合計画の策定方針や施政方針、新しい予算編成システムなど、重要政策の方向性や方針について、所管部局長としての立場を超えて全庁的な視点で活発な議論を行っており、重要な役割をたしていると考えています。 |
もとへ |
質問の第三は、個人情報保護法成立と県の対応についてであります。
5月23日、個人情報保護関連5法が成立いたしました。今回成立した関連5法案は、21世紀のIT社会の進展、電子政府、電子自治体の構築などの基礎的条件であるプライバシー保護に関する法整備を行ったものであります。
国の個人情報保護基本法においては、国と同時に地方公共団体の責務についても明確にされているところであり、また、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」については、我が県の個人情報保護条例との整合性を改めて検討する必要があると思います。マスコミ報道によると、既に総務省から地方公共団体における個人情報保護対策に係る指導通知も発出されていると伺っております。
こうした観点から、今後の見直し作業を視野に入れて何点かお尋ねしたいと思います。
第一に、実施機関についてであります。我が県も含め全国的に見ても個人情報保護条例において公安委員会や警察を対象としているものは無いようですが、今日までのいきさつはともかくとして、個人情報の取扱いに伴って生じるおそれがある個人の権利利益の侵害を防止しなければならないという基本に立てば、対象外とする積極的な理由はないものと考えますが、ご所見を伺います。
第二に、本人関与に関する規定についてであります。
国会においては、いわゆる自己情報コントロール権という表現で激しい議論があったようですが、本県の条例では、開示請求権や訂正請求権まで規定していますが、残念ながら利用停止請求権までの規定はありません。本人関与を担保するため利用停止請求権についても検討すべきだと考えますが如何でしょうか。
第三に、救済措置の充実についてであります。
国の行政機関法制では第48条に「行政機関の長は、個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならない。」と規定されており、その基本姿勢が明記されています。県職員の意識を変革する観点からも、「不服申立て」の規定に併せ「苦情処理」に係る規定についても定める必要があると考えますが如何でしょうか。
第四に、一番困難な罰則規定についてであります。
国の行政機関法制においては、公務員の守秘義務もあり、場合によっては法令順守義務違反として懲戒免職もあるとのことで、当初行政機関職員などの罰則規定は無かったわけですが、防衛庁の情報漏えい事件などを受けて、国民の信頼を得るために修正作業が行われ罰則規定がおかれました。
今回の個人情報保護法制の整備に当たっては、マスコミなどから「官に甘く、民に厳しい」という指摘もなされました。県民の大切な個人情報を取扱う我が県の職員自らが襟を正して職務に当たることが必要であります。県民の理解を得るためにも、国の法律を参考に検討を進めるべきだと考えますが如何でしょうか。 |
実施機関につきましては、個人の権利利、益の保護のためには、基本的には、県のすべての機関が対象となることが望ましいと考えておりますが、今後、公安委員会、警察本部長と十分協議の上、検討を進めてまいります。
次に、条例では、開示を受けた個人情報が適正に取り扱われていないと認められるときには、開示を受けた者は、実施機関に対して、その取扱いの是正を申し出ることができますが、利用停止請求権という権利としては認めておりませんので、今後、規定の整備の検討をしたいと考えております。
また、個人情報の取扱いに関する救済手段としては、不服申立てや訴訟がありますが、今後、個人情報にかかる苦情が増えることが予想されることから、苦情処理に係る規定の整備の必要性があるものと考えております。
罰則規定につきましては、職員には、国家公務員と可様に、地方公務員法上の守秘義務違反に対する罰則規定等がありますが、国家公務員については、これに加えて個人情報の不適正な取扱いに対して罰則規定が整備されたこととの均衡の観点.から、今後、検討をしたいと考えております。
なお、今後、これらの規定の整備につきましては、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」が遅くとも平成17年5月までには施行されることを踏まえ進めてまいります。 |
第五に、本年8月からは住基ネットが本格稼動致します。県としては可能な限りの個人情報保護に関する取り組みを進めるとともに、各市町村の条例の見直し作業についても積極的に助言していく必要があると考えます。本県市町村の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。 |
県内59すべての市町村におきましては、既に個人情報の保護を目的とした条例が整備されているところであります。
一方、先に成立した国の「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」には、利用停止請求権や苦情処理等に関する規定が盛り込まれたところです。県内市町村においては、本年4月1日現在、例えば、自己情報について利用中止の請求等ができる旨の規定を条例に設けているのが17市町村、苦情の処理についての規定を条例に設けているのが23市町村であります。今後、国の個人情報保護法制と同様な個人情報保護対策を実施するためには、各市町村の条例の見直しが必要となります。
県としては、既に、地方公共団体における個人情報保護対策等に関する総務省からの通知について、県内各市町村等に対し周知しておりますが、このたびの国における個人情報保護法制の充実・強化を踏まえ、今後、各市町村において条例の見直しを含めた適切な対応が行われるよう、引き続き助言及び情報提供に努めてまいります。 |
もとへ |
質問の第四は、医療問題についてであります。
最初に、隠岐病院についてであります。
関係町村の厳しい財政状況を背景に揺れ続けている隠岐病院の整備問題ですが、病院整備の方向性が検討される中、西郷町の危機的とも言える財政状況が明らかになったことによって、建設問題の最大のネックであった関係町村の厳しい財政問題が改めてクローズアップされ、病院整備に向けて影響が出るのではないかと危惧しています。
事実、現状のルール下での病院整備について、絶望視するような声も聞こえてくるのであります。
県におかれては、今まで離島医療の維持・充実のために積極的に取り組まれてきましたが、現在の隠岐病院を取り巻く状況と、島民の生命を守ると言う観点から、一歩踏み込んだ支援のあり方も検討すべきではないかと思うのであります。
病院整備に向けて纏められた経営健全化の最終報告に対する見解と、病院整備の方向性の検討状況をお尋ねするとともに、さらに一歩踏み込んだ支援のあり方についての考え方をお尋ねいたします。 |
病院の経営健全化の取り組みについてでありますが、本年3月に隠岐病院経・営改革計画策定委員会から、向こう5年間の経営改善計画が、広域連合長に報告されたところです。
この計画は、隠岐病院における資金ベースの経営収支の黒字化を目標に、収入の確保と経費節減のための具体策、業務委託の推進や組織の見直しなどを内容としたものであります。
県といたしましては、この計画が経営健全化に向けて、病院職員の総意のもとに作られた計画であり、その姿勢をまず評価しているところです。
また、この計画内容のうち、特に増収策と経費節減策については、職員からの提案をもとにまとめられたものであり、病院職員が一致団結して取り組めば、達'成できない計画ではないと認識しております。
次に、病院整備の検討状況であります。
昨年から広域連合内で行われてきた実務レベルの検討会議を踏まえ、本年三月には広域連合に隠岐病院整備方針検討会議が設置されたところであります。現在、隠岐圏域の医療提供体制のあり方と、その中における隠岐病院の役割を検討するとともに、整備に伴う病院収支の見通しや構成町村の財政負担等について、県も一体となって協議を重ねているところであります。
3点目に県の支援のあり方についてでありますが、隠岐地域は離島という地理的特殊性から、地元で、は過去から医療の確保等に大変苦労してきておられます。
平成11年に県が参画した広域連合が設立された目的も、隠岐病院を中心とした離島における医療の提供体制を強化するためであり、以来県はマンパワーの確保はもとより、財政面においても従来以上の支援を行ってきております。
県といたしましては、構成町村の財政負担能力や新町建設計画における隠岐病院整備の位置付けなどの検討状況を踏まえ、支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。
今後も地元町村と一体となって離島医療の確保に取り組んでまいります。 |
次に、県立中央病院についてであります。
県立中央病院の現今の経営状況は、収益的収支においては、償却前損益では厳しい経営努力の結果大健闘といっていい収支状況ではありますが、膨大な減価償却費により多額の純損失を計上し、資本的収支においては、建設時の企業債償還により内部留保資金が大幅に減少し、数年内には枯渇が見込まれる状況にあります。
また、昨年の診療報酬引き下げに見られるように国民医療費の抑制政策等により、今後さらに経営環境が厳しくなると予想されていることから、県議会決算委員会でも度々経営健全化に向けた取り組みの強化が指摘されています。
現在院内では、経営健全化に向けて様々な取り組みがされていると伺っています。経営健全化に向けては、経費削減努力の中にあっても良質な医療の提供は、最低条件であります。そのためには、現場を支える職員の意識改革と問題意識の共有が不可欠と考えますが、その辺りの取り組みが手薄との指摘もあります。経営健全化に向けた現在の取組状況と、問題意識の共有に対する考え方、県議会決算委員会での指摘事項である経営健全化計画策定の状況をお尋ねいたします。 |
経営健全化に向けた現在の取組状況であります。
国の総医療費抑制策が続く中、平成14年度の診療報酬改定は、史上初めて診療報酬本体が引き下げられるとともに、急性期特定入院加算をはじめとする報酬体系の整備により、医療機関に対し、急性期医療と慢性期医療の選択を迫る、機能分化を強く誘導する内容となりました。
このため、中央病院では、急性期型病院としての機能を強化し、新しい診療報酬制度に対応するなど、増収対策に積極的に取り組んでまいりました。
また、一方で、時間外勤務手当の縮減や、委託契約の見直しによる委託料の減額など、費用縮減対策にも職員が一丸となって取り組んでいるところです。
この結果、平成14年度決算においては、診療報酬のマイナス改定にも関わらず、前年度に比べ4億8000万円余りの医業収益の増となり、償却前損益では5億円余りの黒字を計上いたしました。
また、県立病院の経営健全化のために.は全庁的支援体制をとる必要もあることから、平成13年6月に、「県立病院のあり方検討会」を設置し、県立病院の役割や一般会計負担のあり方等について一体となって検討を進めているところであります。
しかしながら、今後も厳しい経営環境が続くものと認識しており、より一層経営健全化に向けた取り組みを強化し、将来的にも安定した病院経営が行えるよう、全力を尽くしてまいりたいと考えております。
次に、問題意識の共有についてであります。
中央病院の経営は極めて厳しい状況が続いておりますが、これを打開していくためには、議員ご指摘のとおり、職員の意識改革と問題意識の共有化が極めて重要であるとの認識の下、平成14年7月には、病院長自ら、全職員に対し「緊急一事態宣言」を発し、現状への理解と職員一丸となった、経営改善への取り組みを要請したところであります。
また、本年度からは、経営健全化計画の策定による目的の明確化を図るとともに、知事と現場を支える職員との対話の場を設けることとしておりますほか、私もできる限り病院に出向き、直接職員と対話することにより、「職員の意識の覚醒」と「問題意識の共有化」に努め、関係職員が一体となった病院運営ができるよう努めてまいりたいと考えております。
なお、経営健全化計画の策定についてでありますが、現在、昨年度までの検討を踏まえ詰めの作業を行っているところであり、8月中には策定することとしております。 |
次に、近年、働く女性の増加や高齢化などを背景に、女性が直面する病気や健康上のトラブルが多様化しています。そうした中で、女性特有の心身の悩みは女性の医師に相談したいという女性たちの切実な声にこたえようと、女性医師による「女性専用外来」を開設する動きが各地で広がっています。
また、ふつうの病気にも“性差”があり、女性という性を考慮した医療を行うべきであるという「性差に基づく医療」という考え方が1990年代からアメリカを中心に広がってきました。
21世紀を支える女性が、より安心して医療を受けることができる環境整備のため、県立中央病院としても「女性専用外来」の開設に取り組むべきだと考えますが、ご所見をお尋ねいたします。 |
生涯を通じた女性の健康づくりの推進につきましては、本県の男女共同参画計画にも重点目標として掲げているところであります。
女性は、その身体に妊娠・出産のための仕組みが備わっていることから、男性とは異なる健康上の問題があり、女性の生涯を通じた健康づくりを支援するためには、この健康上の問題に適切に対処していくことが極めて大切な事柄と認識しております。
婦人科的疾患や更年期障害、その他女性の健康を巡る様々な問題について、心の悩みを含め、女性医師の対応により診察を受けやすくする必要があることから、適格な医師の確保等の諸課題を解決しながら、県立中央病院に女性専用外来の設置を検討してまいります。 |
もとへ |
質問の第五は、少子化対策についてであります。
“子育てするなら島根が一番”と宣言された知事は、肉付け予算である6月補正予算の目玉として保育料の軽減対策に取り組まれることとされました。
この事業は、市町村事業に県が補助をするというものであり、その効果に期待をしているのですが、現場からは、財政難で県の考えについていけないというような声や、実施内容についての不満、市町村の自主性を縛ることへの不満も聞こえてまいります。実施に向けて、各市町村のヒアリングの状況と今後の県の対応をお尋ねいたします。
次に、目玉とも言えるこの取り組み等により、わが県の子育て環境は全国でどの程度に位置するとお考えかお尋ねいたします。 |
本事業の構築に当たりましては、事業の実施主体となる市町村に対して、早くから情報提供を重ね、理解を得るよう努めるとともに、数次にわたり実施の意向を聴取してまいりました。
この過程で、市町村の財政負担を考慮した制度とすべきとの御意見や、軽減率に関しては市町村に選択の幅を設けるべきとの御意見があり、県といたしましては、こうした御意見も踏まえ、市町村の意向に配慮した事業構築を行うよう努めてきたところであります。
その結果、本事業を「実施可能」とする市町村が38、実施困難とする市町村が10であり、残る11市町村は「検討する」との意向でありました。
本事業は、できるだけ多くの市町村に実施していただくことが、何よりも重要であると考えており、「検討する」とされた市町村に対し、その後、改めて詳細を説明した上で、意向を聴取したところ新たに11市町村から、「実施する意向である」旨の回答を得たところであります。
現時点では、全体の約4分の3である44市町村が実施に前向きであると認識しておりますが、今後更に、様々な機会を捉えて十分説明を行い、一層の理解を得て、市町村とともに少子化対策の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、全国での位置づけについてでありますが、子育て環境には、保育、母子保健、医療、労働、教育など様々な分野があり、総合的に見る必要がありますが、主な施策の推進状況は次のようになります。
まず、子育て支援施策推進の基本となる「エンゼルプラン」を策定している市町村の割合は、94.9%と全国第5位であります。
こうした状況を受けて、保育環境整備は進んできており、一時保育と障害児保育の実施率は、全国第4位とトップレベル、また、休日保育と延長保育の実施率は、それぞれ第17位、第26位と、総じて良好な状況にあります。
また、母子保健、医療の分野については、不妊専門相談センターは、既に設置しておりますが、周産期医療や、小児救急医療の体制整備については、現在検討しているところであります。
このような状況の中で、今年度新たに全国初となる全小学校区における放課後児童クラブ機能の整備に着手するとともに、全国でも数少ない意欲的な取り組みとして、第三子以降の保育料軽減など重点的に取り組み、環境整備は一段上進むものと認識しております。
今後とも、総合的な施策の推進に一層努めるとともに、市町村等と連携を密にしながら、子育て環境全般の更なる充実を図ってまいります。 |
次に、国の少子化対策の柱の一つとして取り組まれている保育所の待機児童ゼロ作戦ですが、今年で3年目となる総合的な対策によって、全国的には待機児童ゼロに向けて相当進んでいるとの話も聞くのであります。
一方、わが県、特に松江市においては、若いお母さん方から保育所がいっぱいで働きたくても働けない、何とかならないでしょうかとの声をずいぶんお聞きします。
その松江市においては、入所定員が平成12年当時から235人、1割近く増え、入所児童数もそれに伴って増加しているにもかかわらず、待機児童が増え続け、受け入れ枠の拡大が保育所入所ニーズを増やすような結果になっています。
また、保育所への入所円滑化対策によって、定員を相当超える入所者が受け入れられていますが、入所率が3年間 120%を超える保育所にあっては、定数の見直しか入所率の削減が昨年の会計検査院の勧告によって求められたことから、待機児童解消にとっての不安定要因となっています。
保育所待機児童の現状をお尋ねするとともに、待機児童解消に向けた取り組みについてお尋ねいたします。 |
本県には、現在263か所の認可保育所があり、本年4月現在で1万6000人余の児童が入所しておりますが、その一方で、7市町において合計185人の保育所入所待機児童が生じております。
このうち約7割は3歳未満児であり、近年の乳児を中心とした入所希望の増加が要因の一つと考えられます。
このため、市町村においては、保育所の新設・増築等による定員増や、定員を超えて児童を受け入れることができる「保育所への入所円滑化対策」などの対応がなされてきたところであります。
県といたしましても、待機児童の解消に向けて、施設整備に対する助成や、認可外保育施設の認可保育所への移行の働きかけなど、市町村とともに取り組んできたどころであり、今後も、市町村の取組みに対して積極的に支援していきたいと考えております。 |
最後に、幼保一元化については、平成10年以降、施設の共用化、資格の相互取得促進などの連携が図られてきました。待機児童解消という課題がある中、幼稚園では年々入園者数が減少し、空き教室も出ている現状にあります。待機児童解消の有効な手段ともなりうる幼保一元化について、どのように取り組むお考えかお尋ねいたします。 |
幼稚園と保育所は制度上、その目的や役割は異なっております。
しかしながら、両施設ともに就学前の幼児を対象としており、保護者のニーズに的確に対応していくために、また、効率的な行財政運営の観点からも、運営の弾力化や、相互の連携強化を図っていくことが必要であります。
現在、県内の公立幼稚園においては、地域の実情に応じて、3歳児保育や、保育時間を延長する、いわゆる預かり保育を実施する幼稚園が年々増加してきており、本年度は、県内公立幼稚園105園の内、3歳児保育は58園(昨年度より12園の増)、預かり保育は64園(昨年度より25園の増)で実施されております。
県教育委員会といたしましては、本年度から幼稚園と保育所の連携のあり方等について、宍道町と加茂町を研究協力地域として指定し、実践的な研究を進めていくこととしておりますが、この取組の成果を、県内各市町村に普及していきたいと考えております。
現在、幼稚園における空き教室は、必ずしも多くないことから、この教室の活用により、待機児童の解消を図ることは難しいと考えておりますが、幼稚園と保育所の一体的な取組を推進していくことで、入園児の増加を図ることもできると考えております。
このような観点から、今後とも、健康福祉部と連携しながら、よりよい環境での保育を推進していきたいと考えております。 |