先日、2000年の国勢調査人口を基にした国立社会保障・人口問題研究所によるわが国の将来推計人口が公表されました。
この報告書によれば、人口推計上の最大の要素である合計特殊出生率を下方修正し、日本の人口減少が早まると予測しています。中位推計では、日本の人口は2006年をピークに減少に転じ、2027年に1億2千万人を割り込み、2050年に1億人、2100年には6400万人になるとしています。中位推計での合計特殊出生率は、2007年に1.31まで低下した後に上昇に転じ、2049年には1.39の水準に達すると仮定しています。
低位推計では、2004年をピークに減少に転じ、1億2千万人を2023年に、1億人を2043年に割り込み、2100年には4645万人になると予測しています。ここでは、合計特殊出生率がずっと低下を続け、2049年に1.10に達すると仮定しています。
過去の人口推計では、この合計特殊出生率が数年後に下げ止まり、増加に転じ、かなり高い位置で一定となることを期待したもので、この半世紀、常に実勢とかけ離れた高い人口予測となり、政策決定を誤らす要因となってきたのではないかとの指摘もあります。
1995年の国政調査結果を基に、人間生物学的根拠による推計を行なった政策研究院の予測では、合計特殊出生率が2010年には1.2となり、2030年には1.13まで落ち込むと予測し、2001年に人口減少が始まり、2018年には1億2000万人を割り込み、2028年には1億1千万人を割り込むと予測しています。国立社会保障・人口問題研究所の低位推計よりも5年早く1億2000万人を、15年早く1億1千万人を割り込むとしています。
ちょっと乱暴ですが、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計と高齢化率推計の相関関係を、我が県の現在の人口と高齢化率に当てはめて推計してみますと、20年後の人口が低位推計を当てはめると669,000人、中位推計で688,000人、50年後にはそれぞれ、469,000人、528,000人となります。この数字は1997年に発表された都道府県別総人口予測における我が県予測よりも高い値であります。
つまり、我が県の将来人口は、低位推計を当てはめた数値よりも更に低い水準になるのではないかと想像するのであります。
ここまで長々と述べたのは、我が県の人口減少は社会的、人間生物学的現象であり、それをしっかり見据えた県土づくり、県の政策決定が必要と思うからであります。
過日の新聞で「ガルブレイス先生の礼賛」というコラムに出会いました。
ガルブレイス先生とはジョン・ケネス・ガルブレイス・ハーバード大名誉教授のことであります。ご承知のように、日本では「不確実性の時代」で有名な経済学者ですが、米国ではケネディ大統領のブレーンだったリベラル派の大家と見られるようです。ちょっと引用しますと、
日本の話を持ち出したのは先生の方だった。
「日本は再び世界の偉大な模範になっているね。これでもう十分だ、と決めてしまった。物やサービスをもっと手に入れようと働き続けるより、余暇がある生活の方がいいというわけだ」
皮肉か冗談か。どう応じていいか迷った。
「執ように続く経済成長より、もっと幸せな公式を見いだした。10年間の景気後退のことだが」
「いえ、それが大間題なのです」とさえぎろうとしたが、先生は続ける。「なかなか良い選択だったようだね。物やサービスの生産を低くする。必要もない鉄道はもう造らない」
昨年、お会いした時も「経済にあまり力を入れなくとも、心地よくあればいいと日本は発見した」と礼賛論をうかがったのを思い出す。
「これは世界でまったく例がない。リラックスした平和な存在たらん、というわけだ」
というものであります。
知事は、21世紀の船出の年であった昨年は、20世紀末を引きずる、戦後最大の危機とも言える一年であったと施政方針で述べられましたが、まさに同感です。であるからこそ、本年を、21世紀が人類にとって、日本国民にとって、島根県民にとって希望の世紀、平和の世紀、人間の世紀としていくため、新たな決意を込めた出発の年としなければならないと思うのです。
これからは、「戦争と革命の世紀」と言われた20世紀の価値観、例えば、国家主義や民族主義、共産主義、あるいは官尊民卑、男尊女卑、中央集権、経済至上主義の思想など、こうした20世紀的価値観にしがみつくところは、今後、ますます光を失い、21世紀の新たな、より高い価値観を体現したところが混迷を抜け出して勝ち残り、時代をリードしゆくことになるとも言われております。その価値観の基本は日本国憲法のうたう「個の尊厳」ではないかと思っています。
今、私どもの価値観を転換し、「個の尊厳」が最大に尊重され、生きがいを持って、人間らしく、おおらかに助けあって暮らせる、ガルブレイス先生のおっしゃるような精神性が発現し、息づくような県土づくりをめざすべきではないかと考えるのであります。
知事は新年度予算編成において、国、地方にわたる厳しい財政状況を踏まえ、ハード事業を抑制し、ソフト事業に軸足を移す画期的とも言える予算編成に取り組まれました。また、庁内若手を中心としたプロジェクトチームによる新行政システム推進に関する報告書がまとまり、21世紀をリードしていくための新しい行政機構、財政健全化への道筋、新時代の分権のあり方など、新時代を拓くに相応しい提言が盛り込まれました。
20世紀の最後に4期目の県政を担当された知事にとって、4期16年間は前世紀の最後の時期であり、20世紀を総括し、新しい21世紀、本県が心機一転、めざすべき道筋をつけていく年とすべきではないかと思います。
「闇が深ければ深いほど暁は近い」「ピンチこそチャンス」と言われます。今まさにさまざまな意味でターニングポイント、ハードからソフトへ、我が県の最大の武器である「豊かな自然」と「人間の質」を更に、最大に生かす、生活の質の向上という方向をしっかりと見据えた県土づくりを目指すべきではないかと考えます。知事の、新しい時代の県土づくりに対する所信を賜りたいと思います。 |
生活の質の向上という方向を見据えた新しい時代の県土づくりに対する所信についてお答えします。
二十一世紀は、二十世紀に築いた物質的な豊かさの上に、人々がゆとりを持って伸びやかに暮らし、感性が重きをなす時代であります。
私は、二十一世紀の本県について、緑豊かな山々からもたらされる清らかな水や、心地よい大気に包まれ、四季が織りなす自然の恵みを受けながら、整備された基盤の上に、人やもの、情報が活発に行き交い、県民が質の高い生活を送っている、そのような姿を思い描いております。
こうした島根を築くためには、厳しい財政状況にはありますが、道路などの遅れている社会基盤の整備に努める一方、これまで整備に取り組んできたさまざまな定住、交流の基盤や、本県の恵まれた歴史的、文化的遺産などの地域資源を活用したソフト事業に重点的に取り組んでいく必要があると考えております。
こうした取り組みを通して、県民一人ひとりが、この地に生まれ、この地に生きることが誇りとなる「光り輝き、豊かさとやさしさに満ちた二十一世紀の島根づくり」に邁進してまいりたいと考えております。 |
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財政問題についてお尋ねいたします。
新年度予算編成では、昨年10月に公表された中期財政見通しで示された税収〜この税収も一昨年の中期財政見通しを下方修正したものでしたが〜を大きく割り込んだため、大型プロジェクトが一段落し、ハード事業が地方財政計画を大きく上回るマイナス伸び率にもかかわらず、中期財政見通しを大きく上回る財源不足が生じることとなり、145億円余の基金を取り崩して対応することとされています。
その中で、一昨年12月の全員協議会で竹腰議員が取り上げた起債制限比率上昇の最大要因、平成11年から16年までの上昇分6.8ポイントの約半分を占める新世紀道路ネットワーク事業に本年と同額の300億円が計上されました。
地方交付税を取り巻く環境が非常に厳しい中、新世紀道路ネットワーク事業を支えてきた2本の柱、地域総合整備事業債の廃止が決まり、地方特定道路整備事業債の交付税算入率も下がった結果、経過措置のある地域総合整備事業債を最大限利用するとともに、全国で1000億円枠の市町村合併分として、島根県としては思い切った30億円を計上するなど、厳しいやり繰りをした結果、後年度負担増が昨年までと比べて12億円増にとどまったとのことでありますが、今後のやり繰りはさらに厳しくなることが予想されます。
新行政システム推進報告書では、シュミレーションを示し、新世紀道路ネットワーク事業の取り扱い次第で将来の財政への影響が大きく変わってくるとし、今後の検討が必要としています。
県の長期計画によれば、計画の着実な推進によって2010年に74万人の県人口を想定していますが、最初に述べたように、我が県の人口減少率は日本全体のそれよりも大きく、20年後には1割程度、50年後には4割近く減るのではないかとの予想もできるところであり、想定を実現することは相当困難ではないかと思いますし、中山間地の人口も確実に減りつづけるでありましょう。道路の利用者も減ることは必然であります。
知事は、ITに先進的取り組みをされ、その意義を中山間地域や離島などの地理的ハンディキャップを克服し、地域が抱えるさまざまな課題を解決していく大きな可能性を持つとされております。私も同感であります。私は、NPOなどの行政補完機能を協働システム、共助システムとして機能させることによって、そのハンディキャップをさらに埋める有効な手立てになるのではないかと思っています。智慧次第では、ハードの不足をソフトで補うことが十分できる時代であると思うのです。
今、新世紀道路ネットワーク事業に象徴されるハード面の基盤整備から方向転換を図るべきではないでしょうか。我が県の産業構造、現下の雇用情勢を考えれば、少なからぬ影響が出ることも考えられますが、そのためにも新世紀型産業創出や人材育成などに力を更にシフトし、次の心豊かな時代への足場を更に固めるべきと考えます。
石倉議員と教育長の論議がありましたが、1/33の費用で明るい夢、豊かな明日が買えるとしたら、一歩を踏み出すべきではありませんか。
財政改革に関する県民意識調査では、県財政の将来に「とても不安に感じる」は6割を超え、「少し不安を感じる」をあわせると9割以上が不安を感じています。財政健全化のための対策では「人件費の抑制」が65%、次いで「県債に依存した事業を減らす」が5割弱です。公共事業に対する評価では、ムダがあるとするものが8割弱で、公共事業推進に際し重視すべき事項では「費用対効果」が3割強、「地元からの要望」「事業計画への住民参加」「環境への影響」がそれぞれほぼ3割で並んでいます。
こうした意識調査結果を見るとき、新世紀道路ネットワーク事業等の公共事業のあり方について、行政や議会の論理だけではなく、幅広い県民の論議を基に方向付けていくべきと考えます。
知事は新年度予算編成にあたり、今後10年間、起債制限比率を18%台以下に抑える方針を示されましたが、起債制限比率に最も影響する県単300億道路を今年度と同額計上されました。知事の300億計上に対するご所見をお尋ねいたします。 |
新世紀道路ネットワーク整備事業の予算計上の考え方についてであります。
平成十四年度当初予算の編成に当たりましては、公債費の増こうを抑制する観点から、公共事業につきましては、マイナスシーリングを設定いたしましたが、整備の遅れた道路につきましては、重点的な予算配分を行うこととし、前年同額まで、要求を認めたところであります。
しかしながら、新世紀道路ネソトワーク整備事業につきましては、財源の大半を占める臨時地方道路整備事業債の交付税措置が見直されることとなり、県の実負担の増こうが懸念されたところであります。
そこで、経過措置のある地域総合整備事業債と新たに制度創設される合併特例事業債を、財源として活用することにより、交付税措置の見直しによる実負担の増こうを極力軽減し、総額を維持したところであります。
今後十年間、起債制限比率を十八%台以下に抑えるという目標を達成していくためには、今後とも、公債費の増こうを抑制する措置を引き続き講じていく必要があり、そのような厳しい状況の中で、遅れている道路など生活関連基盤について、いかに整備考進めていくか、様々な観点から検討してまいりたいと考えております。 |
また、県民本位、地域主体を基本姿勢とされる知事ですが、今後の県政運営上の最大の焦点とも言える新世紀道路ネットワーク事業のあり方について、県民の深い論議を求めることについてご所見をお尋ねいたします。 |
新世紀道路ネットワーク整備事業のあり方に対し、県民の議論を求めることについてであります
新世紀道路ネットワーク整備事業をはじめとする本県の道路整備は、平成十年度に策定した「しまねの新たな造路計画」に基づいて進めているところであります。この計画の策定に当たっては、県内の各界各層の方々で構成する懇談会やパブリックコメントにより、これまでも県民の意見が計画に反映されるよう取り組んでまいりました。
本県の道路整備を進めるに当たっては、今後とも、アンケート調査や意見募集を実施するなど、県民の意見が十分に反映されるよう努めてまいります。 |
県単300億道路の取り扱いをどうするかは別にして、新行政システム推進報告書で提言された公共事業の集中投資、発注ロットの拡大、効果が実証されている電子入札の導入、地域で施設管理を担う手法の導入は、公共事業の効率化にとって避けて通れない課題であり、公共事業評価システムの構築とともに喫緊の課題ではないかと考えます。公共事業効率化への取り組みについて、知事の基本的な考え方をお尋ねいたします。 |
公共事業の効率化への取り組みについてであります。
県民生活の向上や産業の振興を図り県勢を発展させていくためには、公共事業による社会基盤の整備が不可欠でありますが、その実施に当たっては、効率的な執行が極めて重要であると認識しております。
このような観点から、従来より、長期間にわたる事業について再評価を実施するとともに、「島根県公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」に基づき、適切な発注ロットの設定や事業箇所の重点化等に取り組んできたところであります。しかしながら、厳しい財政状況の中、これまで以上に、効率的・効果的な事業実施が必要となっております。
このため、今後、公共事業を進めるに当たっては、電子入札や設計図書の電子納品等を行う「公共事業支援統合情報システム」の導入について検討するとともに、中山間地域や離島を抱える本県の実情に十分配慮した上で、費用対効果の検証により事業の優先順位を決定する仕組みである「公共事業評価システム」の策定に取り組んでまいりたいと考えております。 |
中期財政見通しでは、特段の対策を講じない場合、今年度の基金残高1000億円余が、5年後の平成18年には底をつくとされています。新行政システム推進報告書では、将来にわたる安定的持続的な財政運営のためには500億円程度の基金の確保が必要としています。将来にわたる安定的持続的な財政運営にかかる基金維持について、知事の基本的な考え方をお尋ねいたします。 |
基金の維持についての基本的考え方についてであります。
基金は、災害の発生などによる思わぬ支出の増加等に備え、財源に余裕のある年度に積み立てをしておくものであり、将来にわたる安定的かつ持続的な財政運営を行う上で、極めて重要な役割を果たすものであります。
平成十四年度末の基金残高は、景気の悪化に伴う予想をはるかに超えた県税収入の落ち込みを、基金の取り崩しにより対応した結果、一千億円を割り込む見込みであります。予期し得ない県税の減収が取り崩しの原因とは言え、その目減りは、今後の財政運営に警戒信号を発するものとして、厳しく受け止めているところであります。
今後は、行政評価による事務事業の見直しや将来の公債費の増こう抑制など、財政健全化に向けた取組みをこれまで以上に強力に推進することにより、収支不足を極力圧縮し、基全の目減りを最小限に抑えてまいりたいと考えております。 |
お隣の鳥取県では、現下の厳しい雇用情勢にかんがみ、3年間に限って職員給与を4〜7%削減し、高卒者を臨時で雇用することが華々しく報道されました。こうした動きは全国に広がっています。
本県経済の消費部門に占める公務員のウェートは相当なものがあり、職員給与縮減は、例えば、住宅建設などにも直接跳ね返り影響も大きいのではないかと思うのでありますが、県民意識には公務員給与に対して厳しい見方もあります。
財政の健全性確保と雇用拡大という視点で、職員給与縮減とワークシェアリングに対する考え方についてご所見をお尋ねいたします。 |
職員給与縮減とワークシェアリングに対する考え方についてであります。
先ず、財政の健全化の視点から職員給与縮減についてでありますが、現在、給与カットなどの何らかの給与縮減措置を講じている都道府県は、全国で二十四団体あり、これらの団体は、何れも厳しい財政事情に加え、給与水準が高く、これを引き下げることが取り組みの大きな要因になっているものと推察しております。
一方、本県の状況を見てみますと、県の財政状況については、厳しい状況にありますが、ラスパイレス指数などで比べると、給与水準は全国でも最低水準にあることや、予算総額に占める人件費の割合も全国で最も低くなっていることなどから、現時点では、給与縮減措置をとるま下の状況にはないものと考えております。
なお、手当の見直しなどによる人件費の抑制については、これまでも取り組んできており、例えば、時間外勤務の縮減により、平成十二年度において、前年度に比べて、率にして、約十二バーセント、金額にして、約五億円の手当の縮減を図ったところであります。
また、昨年末には、職員定員を、今後十年間で約五百人削減することを方針決定したところでありますが、このことは中長期的な人件費総額の縮減にもつながり、財政の健全化にも資するものであると考えております。
次に、ワークシェアリングの考え方も含めた雇用対策についてでありますが、県では緊急雇用対策として、今年度から、三十六億円の基金を活用した「緊急地域雇用創出事業」により様々な事業を展開しているところであります。
これらの事業により、全体で約五千人の雇用を創出することとしておりますが、その中では、例えば小学一年生の三十人以上のクラスに非常勤講師を配置する「しまねスクールサポート事業」や、地域で活躍する運動部活動指導者を高校へ派遣する「学校体育振興事業」などの直接的な雇用の創出も図っていくこととしているところであります。
また、その他、各般にわたって、雇用の創出につながる事業に対しても積極的に予算措置を行ったところであります。
何れにいたしましても、財政の健全化とともに、喫緊の課題である雇用対策につきましても、今後とも積極的に取り組んでまいる考えであり、引き続き、種々の状況変化を見定めながら、必要に応じた措置を講じてまいりたいと考えております。 |
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情報化についてお尋ねいたします。
県の熱意と民間業者のご支援もあって、全国に先駆けて全県高速インターネット環境整備への道筋がついたところであり、その積極姿勢を高く評価いたします。ばらつきのあった市町村の意識にも変化が現れ、8割近い市町村が14年度中の高速インターネット環境整備を望んでいるとのことで、中村教育委員長の言葉を借りるまでもなく、中山間地や離島地域も世界と対等に競争できる環境の一つが整うこととなります。
また、事業家だけでなく、そこに暮らす県民も生活の利便性を飛躍的に向上させるためのツールを手に入れることができるようになります。しかし、如何に立派なツールが提供されても受け手がなければ絵に描いた餅であります。
国では急速に進展するIT時代に対応し、ユーザー掘り起こしのため、10/10の補助でIT講習会を開催してきました。私の身近でも、この1年で確実にその裾野が広がっていることを実感しています。この事業は国民成人の5.5%の受講者をめざして国で計画された事業ですが、本県におけるIT講習会の現在までの実績と評価、新年度の取り組みと今後の考え方についてお尋ねいたします。 |
IT講習会の現在までの実績と評価についてお答えします。
県民のITに関する基礎技能の早期普及を図るため、国の「情報通信技術講習拾進特例交付金」制度により、昨年一月から、県、市町村及び関係団体においてIT講習会が開催され、多くの県民の参加を得て概ね順調に事業実施が図られているところであります。
本県の昨年十二月末現在の受講者は、二万八千人余で、今年度末の受講総数は、約三万五千人余が見込まれ、国が基準としております成人人口の五.五%を上回る五.九五%の受講率となる予定であります。
事業内容についてのアンケート結果によれば、ほとんどの市町村で受講者から好評を博するとともに、次年度以降の事業継続が要望されているところであり、大きな効果があったものと考えております。
新年度の取り組みと今後の考え方についてでありますが、県民がITを自由自在に使いこなしていく力量(いわゆる情報リテラシー)の向上を図ることは、各般のIT戦略を推進する上での基本となる重要課題であると認識しております。
このため、本県では、国の交付金で実施したIT講習会の成果を踏まえ、この取り組みを更に充実・発展させていくため、平成十四年度から二ヵ年にわたり単独事業として継続していくこととしたところであります。
具体的には、市町村IT化総合推進補助金のメニューの一つとして、市町村の行うIT講習会に対し、県が三分の二の補助を行うものであります。
なお、ITを使いこなす県民一人一人の力量は千差万別であり、それに応じてIT講習会に求められる役割も多種多様であることから、今後は、このような県民ニーズに幅広く対応できるよう、講座内容・講座数・受講時間帯など具体的な実施方法については、市町村の創意工夫によって柔軟かつ弾力的に設定できるよう配慮したところであります。 |
もう一つの課題は、魅力あるアプリケーションの提供であります。この開発についても市町村への手厚い支援策を準備され、積極的に取り組まれようとしています。官と民との協力と役割の分担についてどのようにお考えかお尋ねいたします。また、開発されているしまねまめなかネット≠ノは大いに期待しておりますが、その概要と全県展開についてお尋ねいたします。 |
アプリケーション開発についてでありますが、全国に先駆けて整備が進む本県の情報通信基盤を、県民福祉の向上や産業の振興へ結びつけていくためには、併せて、魅力的なアプリケーションを開発していくことが重要であります。
このため、県自ら、平成十四年度当初予算において、「統合型地理情報システム(GIS)」、「しまねミュージアムネットワーク」、「しまね・まめなかねット」、「バーチャルしまね観光ナビゲーション」、「教育情報ネットワーク」、「県議会情報発信システム」など様々なアプリケーションの開発を進めることとしたほか、市町村における積極的な取り組みを促進するため、市町村IT化総合推進補助金の中に補助率二分の一のメニューを創設したところであります。
このようなアプリケーション開発に当たり、行政としては、ソフトウェア産業や通信事業者、情報機器メーカー等の最新の技術動向を十分把握した上で、その導入を図る必要があります。
また、県内産業においても、経営効率化や販路開拓、新たなビジネスモデルの導入等に向けて、アプリケーション開発に積極的に取り組んでいく必要があることから、このような産業界のニーズに対し、行政として的確な情報提供の場を設ける必要もあります。
このような観点から、先端技術を広く県民に体験してもらう「しまねITウェーブ2002」を、情報産業等の応援を得ながら開催することとしたところであり、今後とも、民間との適切な協力関係・分担関係のもとでIT戦略を推進してまいります。
しまねまめなかねットは、インターネットなどの情報通信技術(IT)を活用して、高齢者の方々の社会参加や日常生活を支援する目的で構築するものであります。
具体的には、高齢者の方々が買い物サービス、外出支援サービス、電子メールの交換などの必要なサービスをパソコンや携帯電話などを使い、いっ、どこからでも自由に利用できるようにしたいと考えております。
現在、県におきまして鋭意開発作業を進めているところですが、開発に当たりましては、利用したいサービスの内容はもちろんのこと、文字を大きくしたり、音声で読み上げることのできる機能を採用するなど使いやすさにも配慮し、高齢者の立場に立って作り上げることが大切であります。
このため、今月中頃から仁多町及び邑智町で具体的ソフトを用いて実証実験に取り組み、高齢者の方々はもとより、両町の住民の方々に実際に利用していただき、幅広くご意見をお聞きすることとしております。
この実証実験を踏まえて、より内容を充実させ、この秋にはしまねまめなかねットのソフトを完成し、県内全市町村に無償で提供することといたしております。
市町村において、それぞれの地域の特色を生かした内容とするなど、より工夫をしていただき、このしまねまめなかねットが高齢者の方々はもとより、地域住民の方々の様々な交流の場として大いに活用されることを期待しております。 |
また、もう一つというより最大の課題、誰にも簡単に使え、かつ安価な情報端末の開発について、高速インターネット網整備では最先端を自負される県の取り組みをお尋ねいたします。 |
誰にも使いやすい情報端末の開発についてお答えいたします。
情報通信環境が整備され、誰もがその恩恵に浴するためには、それぞれの使う努力に加え、身体的ハンデを抱えていたり、急激な進歩に戸惑いを覚える高齢者など、誰もが使いやすい機器やソフト・の開発が望まれるところであります。
本県におきましても、産学官の連携のもと、マウスやキーボードに頼ることなく、音声やペンで入力ができるソフトウェアや手で画像確認が出来る触覚ディスプレーなどがすでに開発されてきております。また、県産業技術センターでも、年齢や能力に関係なく、誰もが利用できる「ユニバーサルデザイン」対応型の端末機器の開発に取り組んでいるところであります。
今後とも、研究開発助成や利用者のニーズと企業の技術をマッチングさせる場の提供などを通じて、使いやすく、安価で、良く売れる機器の開発に向けた企業の取り組みを支援してまいりたいと考えております。 |
最後に、電子自治体への取り組みに大きな期待を寄せていますが、県のホームページを見て、情報発信の姿勢についていささか不満を感じております。情報公開制度により、請求された資料のほとんどは開示されていると思います。多ければ良いというわけではありませんが、請求されたから開示ではなく、県民に有用な情報はどんどん発信すべきと思います。情報発信について考え方をお尋ねいたします。 |
次に、情報発信の考え方についてであります。
本格的な地方分権の時代を迎え、自己決定・自己責任に基づく県政を実現していくためには、県民の意見を施策に的確に反映させていく必要があり、その前提
条件として県民への情報提供は不可欠な要素であると認識しています。
インターネットが普及しつつある今日、ホームページを活用した情報提供は従来の広報媒体に比べ、情報の受発信が容易にでき、かつ迅速性に優れていることから、県民に対する情報提供の手段として極めて有効であると考えています。
県ではこれまでも、誰もが利用しやすいホームページづくりを心掛けてきており、求める情報に素早く的確にアクセスできるトップページの表示や、様々なパソコン機器及びソフトウェアを利用しておられる方への配慮などを行ってまいりました。
現在、県の各機関におけるホームページの開設状況は、本庁では九十パーセント、出先機関においては五十五パーセントでありますが、今後できるだけ早い時
期に県の全ての機関でホームページの開設を目指してまいります。
また、ホームページに掲載される情報を常に最新のものとするとともに、その内容の充実を図り、紙媒体では時間的、量的に提供が困難であったものについても、県民がいつでも、どこでも、すばやく、分かりやすく入手できるよう、積極的に情報提供に努めてまいりたいと考えています。 |