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興味と辟易〜初めての中国

[2005.6/12]
 尽きない興味と辟易。初めての中国への旅の印象です。
 尽きない興味、それは人々の多様性と将来への無限の可能性。辟易、それは日本人のプライドを痛く傷つけられたような思い。
 行こう行こうと思いながら実現しなかった中国への旅、6月初旬に初めて訪れて感じたことを報告致します。

【揺れる日中関係
 竹島の日の条例制定や歴史教科書問題等で日韓、日中が大いに揺れています。私は、揺れる日韓、日中関係への憂慮の思いと関係修復の道筋を自分の立場で進めたいという気持ちから、改めて歴史教科書問題に関する何冊かの本を読んでいるところでした。折りしもそのような時、初めて中国の地を踏むことになりました。わが県と姉妹提携を結ぶ寧夏回族自治区との友好交流の一環で行われている植林事業に参加するためです。
 友好交流事業に参加するのに合わせ、日中問題を知るため、莫邦富という親日派中国人ジャーナリストの「日中はなぜわかり合えないのか」というタイトルの本もこの旅に合わせて読みました。それは、中国人の日本への親近感が急速に低下し、日本人への反発が大変強いと言われていますが、そのあたりの空気は実際にどうなのか、肌で感じたいというのが今回の旅の大きなテーマと思ったからで、その背景を知日派中国人ジャーナリストはどう見ているのか知りたいと思ったのです。
 私のそのテーマへの答えは、北京へのチャーター機の中で早くも姿を見せたようです。客室乗務員に笑顔がないのです。決定的だったのは、北京空港に到着しバスに乗り換えようとするとき、タラップの下で待機(案内?)していた男性客室乗務員が携帯電話で誰かと話していて、バスはどれですかとの客の問いに一顧だにしようとしなかった(無視といっても良いと思えた)ことです。
 改革開放で市場経済へと移行しているものの、まだ計画経済下の悪弊が残っていると聞いていましたが、いくらチャーター機とはいえ一応国際便です。これを反日感情の表れと感じることは余りに穿った見方なのでしょうか?
 北京のガイドは、過日の反日デモの参加者は高々数千人、北京の人口は1500万人で、それからすればほんの一部、中国で一番人気のある車はホンダアコードです、日本製品をボイコットしたら中国経済は大混乱、そんなことは不可能と言っていたけれど、この言葉は何割も割り引いて聴く必要がありそうです。
 確かに日本製品は隅々まで浸透している印象でしたが、中国が自動車産業に力を入れようと最初に協力依頼したのはトヨタ、しかしトヨタはそれを断り、VWが引き受け、今最もシェアを占めるのはVWというような話を聞けば、いつでも日本製品を排除可能ではと思えます。
 もう一度チャーター機に戻りますが、帰りの便(確か客室乗務員は同じメンバーだったと思います)、今度は注意深く機内アナウンスを聞きました。お客は日本人だけなので、中国語、英語は不要と思うのですが、3ヶ国語のアナウンス、これはいかにも計画経済的な名残かもしれません。そして、日本語アナウンスは投げやりで気持ちがこもっていないと感じたのは私一人だったのでしょうか?
 もう一つ、一緒に行った人が、件の男性乗務員に英語で話しかけた際、最初に返ってきた言葉は南京大虐殺についてどう思うか、日本人には反省はないのではないかという言葉だったとか。そのときは、環境問題等将来に向かって一緒に力をあわせて取り組みたいというようなことで収まったとのことでしたが。

【尽きぬ興味】
 今回、感動を受けたものはいくつかあります。寧夏で見た明代の万里の長城(土塁)、兵馬俑、碑林等等、深い歴史と蓄積を垣間見ることができました。
そして、尽きぬ興味を抱かせたのは、変貌する中国のエネルギーとしたたかで多様な中国の人たちの生き様でした。それは畏敬の念をも持たせるものでした。
 まず目に飛び込んできたのは、北京空港の隣接地に林立するクレーンの林です。林というのは決して誇張ではありません。まさにその通りなのです。北京でも、銀川の街でも、銀川郊外の砂漠の中でも、西安でも、とにかくいたる所で建設ラッシュです。日本で鋼材の値段が高騰するのも当たり前です。日本経済が中国経済に引っ張られている、その現実を見せ付けられました。
 それは、一方では現代と、中世・近世が混在しているということで、泊まったANAホテルの窓下には、中国の人々の営みがありました。木切れやごみのようなものが散乱する中で遊ぶ父と子、夜の明けきらない薄暗い中で洗顔する女性、夜中の洗濯物、一見映画のセットと思える無機質な廃墟の中の現実の光景でした。
 銀川でも西安でも近代的なデパート、日本やアメリカかと見間違うショッピングモールには豊富な品が並んでいます。そして、ベンツやBMW、トヨタのランドクルーザーで見てくれと言わんばかりに振舞うブランド品に身を包んだ男女。一方では、雨の中でいつ止まるとも知れない車を相手に、収穫した決して立派といえない桃や杏を売る農民、ペットボトルを潰し、詮をして袋に集める男、西安の南門の下で古着に包まって寝る男、そして千円、千円と声を限りに言い寄る男たち、女たち。貧しい農村、豊かな農村、目に飛び込むそうした混沌は中国の無限のエネルギーを感じさせるものでした。この落差は広がるのか縮まるのか?中間層が生まれるスピードは日本の比ではないだろうと感じ、中国のガイドに、貴女のお国の10年後はすごい変貌を遂げているでしょうねと思わず声を掛けました。
 
【辟易】
 銀川の一杯2元のラーメンと、観光地ではあるけれど田舎のレストランで食べた半分10元のラーメン。10袋で1000円が別の店では15袋1000円になり、マネージャーの特別の配慮で18袋になり、交渉で20袋になり、準備されていたようにすぐに出てきたビニル袋の中で25袋になる。国立の美術館、由緒ある名刹と思しきお寺、国公認の土産物店、話には聞いていたけれど惨め、羞恥、同情、舐められ、尊厳を踏みにじられ、なんとも複雑な観光地めぐり。日本人の反中感情が沸かない訳がないと思われるかの国の商魂。
 他人事ながら、濡れ手に粟の旨い人たちがおり、一方で、政治改革が進むとどうなるのかと要らぬ心配をしてみたり、決してそんな馬鹿なこと(旨い人が損をする)にはならないようになっているよなと妙に納得したり。
 ツアーというものを経験したことのないものには実に驚愕、新鮮、納得、辟易のかの国の商習慣でした。

【恩に報い共存】
 聖徳太子、天台、伝教や儒教等等、かの国から私たちの祖先はどれだけの財を享受したのか、また、戦後保障を求めようとしなかった周恩来。私は万感の報恩の思いをもってかの国を見ているつもりです。
 決していい印象ばかりではなかった初めての中国ですが、一方では魅力が溢れでる中国。遠くの親戚より近くの他人、決して他人ではなくルーツを共にする人々も大勢いるであろうとても近い国、中国。民間レベルの交流を深めていくことも勿論基本であり最も大切なことですが、トップの太いパイプを構築しなければ現在の危機的日中関係を変えていくことは極めて困難なことと思いを新たにした中国訪問でした。
 小泉首相、そして一部の強硬な皆さん、隣国との友好構築にもう少しだけ配慮していただけないでしょうか。
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