2月定例市議会において、日本共産党の片寄直行議員は3月3日、一般質問にたち、プルサーマル計画の中止をもとめたほか、地域経済の振興のために住宅リフォーム助成制度の実施や周辺部における生活用品の購買システムについて質しました。(一問一答質問)
プルサーマル計画は中止を
片寄直行市議が迫る
片寄 専門家は、中国電力の行った調査は「いい加減で正しくない可能性がある」と指摘している。活断層の再調査を中国電力に求めるべきではないか。
川原総務部長 追加調査をする考えはない。
片寄 プルサーマルについて議会と相談して決めるというが、市民の理解を一番に考えなければならないのでは。
松浦市長 当然そうだと思うが、市としてやるべきことはほぼやりつくした。判断材料はすべて揃った。今議会で判断したい。
片寄 自治労のアンケート調査では、早急に判断をと表明している松江市に対して53%が「妥当とは思わない」、と回答している。民意を確認してから判断すべきではないか。
住民投票をやればはっきりする。
松浦市長 一般の人に問うても基本的なことを押さえていないと意思確認はできない。最終的には市議会と私どもで判断する。
片寄 市民に対し侮辱した発言だ。市民を主人公にしていない。市長選挙でも大きな批判がでるだろう。
住民投票を踏まえた自治基本条例の制定を
片寄 市長が自治基本条例を制定したいと念頭あいさつで表明したことは、議会側が議会基本条例を制定した段階では当然のこと。直接的住民参加をはかる住民投票制度についての見解は。
松浦市長 前回の市長選挙のマニフェストにまちづくり条例(自治基本条例)を掲げたが盛り上がりがない。住民投票やアンケート活動を盛り込むことによって身近に感じてもらえるようにした。しかし、議会制民主主義とある意味で対立する。どのような案件を住民投票にしたらよいか、議論をしていきたい。
中海の環境と漁業の再生、「賢明な利用」の推進を
片寄 中海自然再生協議会が一昨年、結成されたが、(発足時)松江市はオブザーバーだった。協議会のメンバーから松江市の態度について厳しい批判をきく。中海の環境と漁業の再生、ラムサール条約でいう「賢明な利用」を推進する決意を伺う。
清水市長室長 当初は事業区域が限定されていたからオブザーバーだったが、全域に拡大されたので昨年十一月に正式な会員として参加している。清掃の実施や小学生を対象とした環境学習など環境教育に努めたい。赤貝の再生や漁礁の設置なども検討したい。今後とも自治体を超えた様々な団体と連携をとりながら進めたい。
住宅リフォーム助成 新規事業検討を表明
片寄 臨時経済対策として耐震化に合わせた住宅リフォーム施策がもりこまれているが、今後の施策は。
安井都市計画部長 市民の生命・財産を守る観点から、耐震改修を促進するための助成制度を緊急経済対策として今年度から実施したい。このたびの緊急経済対策による助成制度の活用状況やまちなか居住や景観形成などのまちづくりの観点、定住推進、地域の振興、空家等の既存ストックの有効活用、環境負荷の低減など、さまざまな角度からの研究を行い、新規の事業として引き続き検討したい。
片寄 定住するうえで日常生活用品の購買は欠かせない。行政の対策が必要ではないか。
能海産業経済部長 旧八束郡、旧松江市の周辺部では生活必需品の確保にも事欠いている。光ファイバーやケーブルテレビ網を活用した新しい地域購買システムの構築を研究したい。
松江市国民保険条例の一部改正について
議第11号松江市国民健康保険条例の一部改正については、40歳から64歳までの国保加入者の介護納付金の限度額を9万円から10万円に引き上げるものです。松江市国保の介護納付金は2008年度で一人平均22500円もの負担となっており国保料を押し上げています。介護保険会計への国庫負担を増やすことが大切で、所得の少ない国保加入者の介護納付金の引き上げはすべきではありません。以上の理由から可決に反対するものです。
松江市介護保険条例の一部改正について
議第14号松江市介護保険条例の一部改正については、3年ごとの介護保険計画の見直しによる保険料の値上げです。松江市の介護保険会計には政府の社会保障切捨ての「構造改革」による負担増、利用抑制、介護報酬の引き下げなどの影響で介護給付費準備基金は7億6千万円余も積み立てられました。厚生労働省は全国で起きているこうした事態に対し、第四期の介護保険料の設定に当たっては、最低必要と認める額を除き基本的に次期計画期間において歳入として繰り入れ、第四期介護保険料の上昇を最小限のものとするよう十分に検討されたいと、各保険者に要請しました。その理由として、基金は3年間の中期財政運営を行うことから生じる剰余金を適切に管理するために設けられているものであること、計画期間内の給付に必要となる保険料については各計画期間における保険料でまかなうことなどから、本来は基金が造成された期における被保険者に還元されるべきものであり、基本的には次期計画期間内において歳入として繰り入れるべきものである、と明確に述べています。
松江市では約4億円が取り崩され保険料の値上げは基準額で月220円に抑制したといいますが、基金はまだ3億6千万円積み立てられています。残りの基金を活用すればさらに150円の引き下げが可能で、保険料の上昇は最小限に抑制できます。この大不況で市民生活が大変なとき、市民負担を減らす努力をすべきであり、220円もの値上げ条例に反対します。
平成21年度松江市一般会計予算について
議第72号 平成21年度松江市一般会計予算について
4月に市長選挙を控えていることから骨格予算編成となっていますが、今日の深刻な景気・雇用情勢の悪化を背景に臨時経済対策の切れ目のない施策展開は望まれるところです。しかし、本案には次の理由により反対します。
第一は、電源立地地域対策交付金いわゆる原発交付金の使途の問題です。
合併後のスローガンとして、新市の融合一体化を標榜し、行政サービスも公平・統一の方向に向かっているというのに、一部の地域だけは直接、市民に対して電気料金が還元されています。合併後5年目というのにいまだ改善の姿勢がみえません。恒久的に実施する施策ではありません。早期に修正すべきです。
また、電源立地地域対策交付金のハード事業及びソフト事業の合計で73億円余が予算化されていますが、概算でソフト事業30億円の50%約15億円が公立幼稚園、公立保育所、市立女子高、学校給食センターなどの職員人件費に充てられています。経常経費である人件費まで電源立地交付金に依存すると、交付金が廃止・縮小されたときには極端な財政悪化になります。執行部に提供いただいた資料によると、平成22年度は30億円台、平成23年度以降は20億円台に大幅に減少します。こうなると、財政上の関係から原発増設や原子力関連施設による交付金を要求するようにさえなりかねません。原発交付金依存体質から脱却し、健全財政に転換すべきです。そして、原発の危険から市民の安全・安心を守るために学校や公共施設、個人住宅の耐震リフォームなど耐震化の促進や防災対策にこそ重点的にあてるべきです。
第二は、同和対策事業を終了したのにもかかわらず、依然、同和教育を人権課題の筆頭にかかげ、別格扱いにしていることです。
人権同和教育について教育委員会は、そのあり方、内容について2009年度に見直す方向を打ち出しましたが、一方では、旧同和地区の子どもを対象にした学力促進学級を継続するという矛盾した対応をとっていることです。同和対策の根拠とされていた法律が2002年3月31日に失効しましたが、島根県も松江市も5年間の延長措置をとりました。これで同和対策のハード事業は終了しました。ソフト事業においても人権施策のなかで展開できるのであって、同和問題をことさら強調し継続するのは解決方向に逆行します。
学力向上対策というなら、関係地区児童に限定することなく、全児童・生徒を対象として取り組むべき課題です。
第三に、学校給食の民間委託の問題です。
学校給食は教育の一環であり、安全性とともに食糧生産、配分、消費について正しい理解をすることにあります。宍道給食センター、南学校給食センターでの民間委託の実施が推進されていますが、地産・地消の推進に逆行するものです。
以上の理由からこの予算案に反対します。
プルサーマル関連の請願・陳情について
陳情第2号 島根原発におけるプルサーマル実施計画に関することについては、松江市の中に検討委員会を設置して慎重に検討すること、判断にあたっては議会だけでなく市民の意見を聞く場を設けることを求めています。プルサーマルについての専門的検討以前の問題であり、当然、採択すべきです。
請願第6号 プルサーマル計画に関することについては、耐震安全性について慎重に検討・確認を行うこと、市民への説明する場を設けることを求めるものです。プルサーマル計画にあたって何よりも耐震安全性の慎重な対応を求めるもので、採択して当然のものです。
請願第15号 プルサーマル計画に同意しないことを求めることについては、活断層の追加調査と耐震安全性評価を見直すことなしにプルサーマル計画に同意すべきではないという趣旨のものです。まさに、今の焦点となっている問題です。
もともとプルサーマル計画に関して市長は、耐震安全性が前提として、耐震バックチェックの最終報告評価が出てから判断するつもりだったはずです。それが、一転して、中間報告評価で判断ができるとの原子力安全・保安院の見解を信じ込んでしまったことに問題の元凶があります。そして、市民の中に核燃料サイクル不確立の不安や島根半島の活断層の評価に対する不安があることを知りながら、それを徹底的に解明する努力をしないまま経済産業大臣のお墨付きをもってゴーサインを出そうとする市民不在のやりかたに問題があります。市長の顔は国ばかりに向いていて、市民には向いていないことを象徴的に表すものです。市民に顔を向けた政治をしようと思うなら、市民に説明しただけではいけません。市民が納得するまで根気良く科学的解明をすすめる立場をとることです。
端的にいえば、活断層調査を徹底的にやったうえで判断することがなぜできないのか、ということです。広島工業大学の中田高教授が美保関町森山のところと鹿島町廻谷のところをトレンチしてみればわかると助言しておられるのに、保安院が「必要ない」といったら、市長はそのことを盾にとって、市民の不安解消に応じようとはしません。
3月16日、市長が二階経済産業大臣に要請された耐震安全性についての内容は、今すぐは必要ないが将来的にはいつかやってほしいと受け取れるむなしいものです。
ただちに活断層調査の再調査をやらなければ可否判断に応じないというスタンスで望むべきものです。
核燃料サイクルの確立について、あるいは使用済みMOX燃料が島根原発に置き続けられることのないようにとの要望について、いくら大臣がやりますといっても、技術と政治がついてこなければできるものではありません。なにら前進といえるものはありません。
原発特措法の延長と対象事業の拡大、(仮称)古浦に西長江線の事業採択など地域振興策についての要望は、プルサーマルや耐震安全性の基本問題とはまったく関係がりません。この問題をからめて要望することは、プルサーマルの不安にかこつけて、国に財政的支援を求める、たかりの構図と無駄使いの何者でもありません。
この請願は現在の住民の不安とその解消方向を具体的に要請したものであり、採択すべきです。不採択とした委員長報告に反対いただきますよう、議員諸氏のご理解ある判断をお願いし、私の反対討論を終わります。