野 村 正 樹 山陰名湯〈瓜子姫〉殺人事件
松江は「水の都」と呼ばれるように、湖と運河の街である。湖畔公園は、松江市内の西にひろがる宍道湖のほとりにあった。 宍道湖は東西に長く伸びた周囲五十キロほどの湖で、西端は出雲大社や出雲市の近くまでひろがる。東端の松江市からは大橋川となって鳥取県の境港市で日本海とつながっている。そのために海水と淡水が微妙に入り交じる汽水湖となって、名物のしじみやうなぎなどの美味しい魚介類が取れることでも有名だ。 県立美術館は大橋川にかかる宍道湖大橋の南詰めの湖畔にあり、周辺一帯は 芝生、樹木、石畳や階段などで構成されたひろい公園になっている。 ここから湖を望むと、松におおわれた「嫁が島」という小島の向こうに沈む 見事な夕日が鑑賞できるビュー・ポイントとしても名高い。 |
平成12年 双葉社刊