その3‥天秤
究極はカム天秤 だって機構学の教科書にも出てるんだもん!?
ほかの部位の説明と比較するとこいつが一番厄介なんだ。 天秤の種類って大まかには3種類、カム天秤/スライド天秤/リンク天秤が存在している。 上の図(とある本から勝手に転載しています。スンマセン)は各運動の曲線を大まかに示したものである。この図には釜が糸を引き込む'釜糸吸収量曲線'が書いてないので少し解りにくいが上記のようにカム天秤とリンク天秤では糸の供給曲線が異なってくる。。。 おっと、天秤の役目ってしってる?釜が糸を手繰って下糸を針糸のループの中をくぐらせるのに必要なだけ繰り出す役目がある。 しかし本縫いの場合、一針縫うごとに消費される糸の量は(縫い目ピッチ+縫製物の厚さ)しかない。 天秤のストロークが仮に75mmあってピッチが10mm、素材の厚さが5mmだとすると、天秤が上死点〜下死点まででおよそ150mmを供給するわけだ。 すると消費は15mmなので今糸調子出てきた糸が実際に縫い目を形成するまで10回も針や釜の周りをくぐる必要がある。おいおいそんなに糸をシゴクナヨ!要するに糸が痛むのだ。だから天秤のストロークは最小にとどめておきたい。(ここら辺が小釜のほうが縫いがよいといわれる所以だぜ) たしかにカム天秤の場合は釜が欲するとおりの糸を供給することが可能なので,ストロークは最小にとどめることができる。しかしリンクやスライドじゃあそうは行かない。機構上の問題で単に往復運動しか出来んだ。 だからつらい、スライドと比べるとリンク天秤は若干引き上げ区間が遅い。よってリンクの場合供給を若干多めにするか、供給を増やしておかないとうまくいとが釜を回ってくれない。 それじゃあ世界一はカム天秤??と思いきや、これも回転が上がらないんだ。リンクは高速回転OK!!しかし縫いは…。じゃあスライドはどう?厚物系のストロークで3000rpmでの運転が精一杯。ここを辺をこえるとオーバーヒート。 まとめ ミシンはいったいどのくらいの厚さまで縫えるのか知ってる? 天秤上死点で送り歯の移動が終了するよう合わせれば、そのときの針先から針板上面までの距離がその最大可縫厚さとなる。 天秤上死点以降も送り歯が動いている場合、送りの終了時点での針先からの距離となる。 送っているところに針をさせば針は曲がり針板の針穴ではない部分にディープキッス!!針折れの原因だぜ!しかし早く送り始めればしまり不良の原因。。。。 ええ〜、それじゃあどうしたらいいのおお?って思うでしょ? だから工程に合わせる。調整する。街で売ってる機械はただの素材、素材は料理してこそおいしくいただける。 ミシンなんてTOTALのバランス、上手に調整されたミシンて結構縫えちゃうんだよね。 でもね 《やっぱミシンの究極は'半回転釜/カム天秤/ボックス送り/だぜ!》 なんてここ数日考えていたら、あった。身近に。。それはこれ↓ 家庭用の足踏みミシンだ! 我が家には10年前に買った別のミシンがあるんで《夏休みの工作》としてこいつを皮革が縫えるミシンへ改造を行うことにした。果たしてうまく行くんかなあ???天秤のストロークさえ足りればうまく行くはずなんだけど。。
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