厚物ミシンの基礎知識!?

釜と縫い

皮を縫うなら半回転釜、忘れないでくれ《長い剣先》こいつがポイントだぜ!

うーん、ここからはちょっと高度!わかってもらえるかなあ

プロフェッショナルなミシン屋さんに語らせるともっと別の視点もあるけどね!


まずは全回転釜、とりあえずはここをクリックして垂直釜の仕組みを見てもらいたい。(JUKI様すいません勝手にリンクしています)

どんなミシンでも針が針棒最下点から上昇をはじめ、2mm位上がったとき剣先がやってくる。そして針糸を手繰り釜をこし天秤によって引き上げられるこの動作は同じである。

厚物関係、特に硬い皮や帆布などを縫うと、針熱によって糸が切れる場合がある。もちろん針が熱をもって糸を溶かしてしまうのが原因ではある。では針のどこで切っているのだろうか?

実はこれが針穴えぐり側の両端エッジである場合が多いのだ。


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針穴の両脇から先端にかけて、実はここがもっとも厄介。

磨きの具合は爪を立ててみればよくわかる。爪が簡単に削れるようなら糸は簡単に切れてしまう。ようするに釜が糸を手繰る最中にこのエッジを糸が通過しなけりゃぁ糸は切れにくいのである。

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実際のタイミングで言えばここらあたりと思うが、特に垂直釜の場合、その剣先の形状故すくった糸を一気に手繰り始める。するとまず針穴のえぐり側のエッジで糸を激しくこする羽目に、またその後も縫製物のなかで、前の結節点から来ている糸が再度エッジでこすられる。やわらかいものではまったく気にする必要がないが、硬く針によって縫製物にあいた穴が広がってくれない場合、また糸や針のすべりが悪い場合、ここで一気に糸を切ってしまう。水平釜は垂直に比べ剣先が長く、また糸を手繰る方向が針に対してエッジとは異なる方向に手繰ってゆくためこの傾向が少し薄らぐ。ところが半回転釜はちょっと状況が違う。


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要するに剣先がとっても長いので、釜が針と一致し糸をすくってもその剣先で引っ掛けたまま手繰り始めない。そして針が縫製物から抜けたころ、やおら糸を手繰り始める。こうなれば針のエッジのトラブルから糸は開放される。そして針糸を全くひねることなくループの中をこえてゆく、最も糸にやさしい釜なのだ!!

では半回転が絶対かっていうと前述の通り回転が上がらない。

では水平釜と垂直釜で比較すると??

これも前述の通り釜がすくって釜で針糸を最も引き込む点までは水平釜のほうが若干有利、オープンフィンガーも作用し針糸がスムーズにくぐってゆく。ところが水平釜の場合こっからがイマイチなのだ。垂直釜の場合釜から糸が抜けるときその構造上針板の下面と抜けの部分の距離は比較的近い、(これは半回転も同じ)ところが水平釜は剣先より糸の抜け口が下がっている。要するに遠いのだ。糸は高速回転時は(滑り)、(慣性)などによって伸びを生じている。釜から抜けて針板針穴に入ってゆくまでの距離が長いと《コントユートピア》か《ミスター・チン》のゴムパッチン攻撃のように(たとえがカナリ古い)張力から解放された糸、が勢い良く自分で縮みながら針穴へと向かってゆく。ここでよりの戻りが発生してたりすると糸が自分自身で複雑に絡み合う。そして起こるのが《ダマ》とか《ロックンロールちょうちん》と呼ばれる現象である。《実際の原因は複雑で、水平釜だから駄目とかって訳ではない。なんせ同じ規格のドイツ製の釜に交換するだけで治っちゃう場合もあるのだ。実は釜もドイツ製が一番なんです。やっぱこれも磨きが違う

ここら辺のことはミシンがカナリ解っていないと理解不能と思うが、ワカラナイ場合は『ソンナモンダ』ということにしておいてくださいね。

まあようするに万能な釜はないちゅうことですわ!!


シンガー製品の中で垂直釜を使い厚物を縫おうとしたのは132種くらいだったんじゃあないかなあ?たしかにこれらのことを考えれば垂直釜のミシンではどうかなあと思ってしまう‥、もっともやわらかい素材なら全然考える必要ないんだけどね。

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