厚物ミシンの基礎知識!?

総合送りと上下送り

小回りの効く上下送り!

パワフルな総合送り!どちらも工業用にしか存在しないぜ!


総合送りと上下送り、この二つの違いは送りと同調して針も一緒に動くか動かないかなのである。針送りミシンの起源はSINGERの歴史の中でも意外に新しく、実際完成され始めたのが108Wあたりである。

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では?どう違うの??

あ)縫いやすさは?

上下送りの場合針の位置が一定なので、エッジガイドを取り付けた場合たえず針とガイドの位置関係が同じであるから小さなコーナーが来ても(特にインカーブ)縫い代は比較的安定する。

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上の図のように上下ではエッジガイドと針の位置の関係を示す。

しかし針が振る場合、直線部分と曲線部分で針位置の関係がの関係が変化してしまうため、どうしても縫いにくいのである。ただこれを是正する方法はある。ってゆうか上の108Wは最初っからそうなっている。要するにエッジガイドも針位置と同期して動けばよいのである。

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108Wの構造は独特で、ニードルバーフレームの回転中心はフレームの懐中心付近に構成されており、送り歯も一体でそこに組みつけられる。よって針と送りは完全同期している。それゆえエッジガイドはベット側の回転中心付近に取り付けられており同期して案内することも可能(なはず、実機見てないんです、これが)。

この事はテープ付け工程にも同様のことが言える。針が振っている機械では、曲線部を持つところにテープ付けを行う場合同様の理由でバインダーも動かさないと縫いにくいのである。

おーっ、同調バインダー世界一!!と思っていたが、イタリア人はもっと賢かった。総合送りでもう一段テープ巻きの性能を上げる術を考えていた。その内容は…、ひ・み・つ。

い)送り力は?

通常送り力は総合送りのほうが良いとされている。針が一緒に送るんで?!というわけだが一般的な工程の場合必ずしもそうとは言い切れない。

総合送りミシンで生地のイサリ(上の生地と下の生地の縫いずれ)を調整する場合、上送りの量とした送りの量のバランスを微妙に変化させることがある。

針が有効に作用しているとすれば調整しても変化しないはずだが、実際これをやればイサリはカナリ変化する。

そのことから考えても実際送り力に作用しているのは送り/押さえの接触面じゃあないかと推定する。上下送りの場合送り歯の幅も狭く、機械の実力を十分に出し切っていないのではないか?まあテストしたことがないんで断言はできないけど。

ただ工程によっては針も振ってないと十分送りきらんこともあります。

う)段部の上り下りは?

この件に関してはむしろ送りの軌跡と送り/押さえの形状に起因する場合が多いようで。

軌跡がボックスならもっとも有効。少ない上送りの上下量で段部上ってゆくぞお!

え)縫い傷は?

こいつはどちらかというと総合送りのほうが有利。

縫い傷が発生する原因は生地が送り/押さえで叩かれることにより発生する場合と、縫製物がスリップして送りきらず、引っかいてしまった引っかき傷のどちらかがほとんど。前者の場合送り歯の上下量と上送りの上下量を極力少なくし、押さえ圧を最小限にとどめることが重要(送り歯の上下量は、送りの上下カムの偏芯量を減らすしかないのであるが)

ただ上下送りで送りの上下量を少なくすると、縫いが悪くなる場合もありリスクが大きい。また縫製物を針板状面から引き離せないので引っかき傷が出る場合が多い。

イタリアの高級かばん屋さんで使用される総合送りミシンを見ると縫い傷を嫌って上下送りカムの偏芯量を小さいものに変えてる場合が多い。


上下か総合か?の部分は好みの部分もあるんで一概には言い切れないんだけどね。

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